米代恭が2020年2月から「週刊ビッグコミックスピリッツ」で連載をスタートし、「次にくるマンガ大賞2021」ノミネートや、『アメトーーク!』マンガ大好き芸人での紹介が話題を呼び、緊急重版が相次ぐなど今話題の同名漫画が原作のMBS/TBSドラマイズム『往生際の意味を知れ!』(MBS 毎週火曜 深夜0時59分~/TBS 毎週火曜 深夜1時28分~)が3月7日(火)より放送スタート。W主演を務める見上愛さんと青木柚さんに、脚本を読んだ感想、撮影時のエピソードなどを聞きました。
◆原作や脚本を読んだ感想を教えてください。
青木:恋愛を軸に話が進んでいくのですが、斬新な展開の連続ですし、スリリング。その中で日和と海路といった登場人物たちが執着し合ってるシリアスなところや少し滑稽なところのバランスが、一周回って愛らしいお話だなと引き込まれました。
見上:私は原作が発売されたころから、次の話が出るのを楽しみに読んでいました。毎話すごく裏切られるんです。推理ものっぽい一面もあって、「きっとこうだろう」と思って読んでいくと、「あれ違った」みたいな裏切りを毎回されて、それがすごく面白いなと思っていました。原作と台本の違い的なことで言うと、まだ漫画は完結していないので、この先日和たちがどうなるか分からない部分がまだたくさんあります。原作は海路(青木)目線で描かれているのですが、脚本では日和(見上)の気持ちも分かりやすく描かれています。とっぴな女の子に見えるかもしれませんが、ただ真っすぐに大切なものを守ろうとしている子なんだなっていうのが見えてきました。
◆役作りで工夫されたこと、難しかったことは?
青木:普段演じるときはリアリティを大事にしているのですが、海路はわりと説明的で漫画っぽい話し方をする人。漫画原作だからそういうふうに演じようというよりは、海路が日和に執着しているからこそ、言葉がたくさん出てくるんだろうなと思ったので、話し方だったり、トーンは意識するようにしていました。
見上:日和もどんどん話が進むにつれて、生きている感じがしない方が面白いと思って。私が原作で感じた「え、何?」というのを、ドラマでも皆さんに感じてほしいなと思ったからこそ、漫画っぽい感じを残して、同じ世界に生きている感じがしないようにしました。温度感や話し方、声の使い方から動きで、いつも以上に作っていきました。後半にいくにつれて、だんだん日和は思っていることを隠さなければならないのですが、思わず出てきちゃうところを止めずに人間味を強めに出していきました。青木さんと今まで共演していても、そういう生っぽいお芝居を求められることが多かったので、2人が感じているものはそのままに、バランスを見ながらやっていた気がします。
◆撮影で印象的だったことはありますか?
青木:話の展開がジェットコースターのようにあっちに行ったり、こっちに行ったりすることが多い上に、順番通りに撮れるわけではないので…。重いシーンも多くて、僕が“やばい日”、見上さんが“やばい日”のようなことが結構ありました(笑)。撮影が進むにつれて、見上さんが役と同じようにだんだんと鬼気迫る感じになっていったなっていうのは、そばで感じていました。
見上:今回、同世代の共演者の方が多くて。妹の珠緒(安斉星来)と千世子(宮﨑優)、典子(樋口日奈)や榊田(三山凌輝)役の2人も同世代ぐらいで。こんなに同世代の方と一緒にお芝居する機会がこれまであまりなかったので、みんなのほのぼのした雰囲気にとても救われました。撮影の合間はずっと笑ってはいたけれど、重たいシーンの撮影は結構いっぱいいっぱいなことが多くて。そこにのりちゃん(典子)たちが現れると、天使みたいなオーラで、いるだけで癒やされるみたいな、その存在に助けられました。
◆好きなシーンはどこでしょうか?
見上:山本未來さんがお母さん役を演じてくださっているんですが、そのお母さんがとても怖いんです。後々そのお母さんが出てくるところは見どころです!
青木:日和の“アルカイックスマイル”(口元だけほほ笑んでいる表情)です。役柄上、一番近くで見ていましたが、「漫画のまま!」と感じる瞬間がたくさんありました。どんどんそのスマイルの精度が上がっていくんですよ。なので、ぜひ“アルカイックスマイル”集を作ってほしい(笑)。
◆日和が海路に「精子が欲しい」というシーンについては?
見上:結構最初の方に撮影をしたので、探り探りやったのを覚えてます。
青木:え、本当?
見上:どのぐらい漫画感を残して、どのぐらい生な感じにするかというバランスが難しかったです。結構原作に忠実なシーンになっていると思います。
青木:僕が見ていた印象で言うと、完璧でした。それだけではなくて、見上さんと日和ってビジュアルがとても似ているじゃないですか。米代先生も「この人しかいない」とおっしゃっていましたけど、本当にそのとおりで。この漫画っぽいシーンを演じても成立できる力は、まねできるものではないなと感じました。
◆見上さんと青木さんは3度目の共演ということですが、あらためて共演されての感想を教えてください。
見上:信頼できるなって思います。
青木:ありがとうございます(笑)。
見上:本当にどんな設定で向き合ってもあまり疑わなくて済むというか。もうその役として対峙できるんです。その力を持っているのはすごいなと思うのと同時に全部見透かされる感じがして怖いです(笑)。なんとなくでやったら、「こいつ、なんとなくでやってるな」とバレて、今後信頼されなくなるなという感じ。
青木:それは僕も一緒。確かにお互い同じような思考で、お芝居に取り組んだりする分、やっぱり緊張感はありますね。しかも、この3年間でそれぞれいろいろなことを経験してきましたし、最初に共演したときは2人とも10代で、その時とは状況や、考えるべき責任が変わってきて、ただお芝居に向き合っていればいいだけではなくなっているので。
見上:現場全体のことを考えて、お芝居していない時間の過ごし方とかですよね。
青木:そうそう。そういうところも、「この人にがっかりされたくないな」と思ったりしますね。でもそれはお互い口には出さずに感じていたんだろうな。これまでの共演で結構同じ時間を過ごした共演者だったからこそ、撮影を乗り切ることができたんじゃないかなと思います。
◆ご自身の学生時代でどうしても忘れられない出来事は?
青木:高校のときに仲のいい友達で集まって『ハイスクール・ミュージカル』みたいな感じで踊って、ワイワイやるというような文化祭のステージがあったんです。普段、人前でステージに上がることはなかったのですが、ダンスや歌が好きなので、いけるだろうなって思って。でも文化祭当日ステージに立ったら、緊張で全然⾳が聞こえなくなってしまって「やばい」と。男⼥で踊るパートから、男⼦4⼈でカッコよく踊るパートのときに⾃分だけ⾳が聞こえていないし、体も全然動かなくなってしまって、1⼈ぎこちないロボットダンスみたいになっていました。あれは忘れられないですし、やり直したいです。
見上:お昼休みに、放送室からマイムマイムを流し(先生の許可を得ています)、グラウンドで友達と踊り、ご飯を食べたのが楽しかったです!(笑)周りのみんなはグラウンドを見て、「何をやっているだろう」みたいな感じでしたね(笑)。キャンプファイヤーに思いを馳せながらマイムマイムを踊っていました(笑)。
◆一人の人を思い続ける、思い続けられるという役どころを演じるお2人ですが、共感できるところはありますか?
青木:僕はすごいなって思っちゃいます。一つのものをずっと熱量を維持したまま愛せるって相当だなって。僕は飽き性とまでは言わないですが、あまり何かを長続きする方ではなくて。一番続いていることでいったら、今やってる俳優のお仕事くらい。海路の真っすぐさと、異常にも思えるような一つのものをずっと愛せることは尊敬します。
見上:ファンとして同じ人を応援し続ける気持ちはすごく分かります。もしかしたら、海路も日和からの見返りを求めている感じではないから、ファンに近いのかもしれない。最初は海路の日和へのいきすぎた執着が理解できなかったのですが、DJ松永さんと米代恭先生の対談記事で、松永さんが「(海路の気持ちが)めちゃめちゃ分かる」とおっしゃっていて。その対談を読んで、そういう人もいるんだなって納得しました。
◆最後に、1話の見どころとメッセージをお願いします。
見上:本当に1話はわけが分からないと思います。私も漫画の1冊目を読んだとき、わけが分からなくて「え?」と。きっと「?」が10個ぐらい頭に浮かぶと思いますが、その気持ちを抱えたまま2話以降も見続けていただくと、とても物語に引き込まれていくと思うので、そのたくさんの疑問を恐れずに抱いてほしいです。
青木:そうだね。きっと「?」ってなるけれど、この作品の魅⼒につかまってほしいですよね。この作品の持つ⼒で、たぶん⾃ずと引き込まれていく⽅も多いと思います。原作を⾒たことがない⽅でも、⼀回この作品を⾒てもらえたら、どんどん⾯⽩くなって、⾒たことのないドラマの感覚に連れていってくれると思います。純粋なのか、めちゃくちゃ歪んでるのか分からない、⽭盾した愛情みたいなものが描かれているこの作品を、「こういう形もあるんだな」と思いつつ、アトラクションに乗るような気持ちで楽しんでください。
見上:私たち2人のキャラクターもですが、出てくるみんなにそれぞれ大事にしているものがあって、それのために手段をいとわない人たちが集結していて。それで物語が複雑に絡み合って、ややこしいことになっているのですが、それが私もすごく面白いと思ったので、いろんなキャラクターの「この人は何を大事にして、これをやっているんだろう」みたいなことを考えながら見ていただけたらなと思います。
PROFILE
見上愛
●みかみ・あい…2000年10月26日生まれ、東京都出身。A型。主な出演作には『よるドラ きれいのくに』『liar』、映画「異動辞令は音楽隊!」「衝動」など。映画『レジェンド&バタフライ』公開中。
青木柚
●あおき・ゆず…20001年2月4日生まれ。神奈川県出身。A型。主な出演作には『よるドラ きれいのくに』『カムカムエブリバディ』『モアザンワーズ』など。映画「まなみ100%」「神回」が待機中。
●text/田中ほのか hair & make/豊田健治(資生堂/見上)、Toyoda Yousuke(ROOSTER/青木)stylist/下山さつき(クジラ/見上)、小笠原吉恵(CEKAI/青木)
【衣装】見上・トップス¥44,000、パンツ¥33,000/Greed International、チョーカー¥50,600/PLUIE、その他スタイリスト私物 青木・カーディガン¥28,000、プルオーバー¥27,000、シューズ¥19,000/すべてzucca(A-net Inc.)、パンツ¥28,600/DISCOVERED
番組情報
ドラマイズム『往生際の意味を知れ!』
MBS
2023年3月7日(火)より放送スタート
毎週火曜 深夜0時59分~
TBS
2023年3月7日(火)より放送スタート
毎週火曜 深夜1時28分~
※第1・2話のみ5分押し
<配信>
TBS放送後に、TVer、MBS動画イズムで見逃し配信1週間あり
Huluで見放題独占配信
原作:米代恭「往生際の意味を知れ!」(小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中)
出演:見上愛、青木柚
樋口日奈/三山凌輝/安斉星来、宮﨑優、遊井亮子
山本未來
監督:アベラヒデノブ
脚本:開真理、竹村武司
音楽:岩本裕司
制作プロダクション:イースト・ファクトリー
制作協力:SS工房
プロデューサー:上浦侑奈、松本彩夏、小林有衣子
製作:「往生際の意味を知れ!」製作委員会・MBS
公式HP:https://www.mbs.jp/oujougiwa_no_imioshire
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