南波あつこ原作の“片想い女子のバイブル”を映画化した「先輩と彼女」。昨年10月に公開され大ヒットを記録した本作のDVDリリースを記念して、主演の志尊淳さんにインタビュー。作品への想いや撮影エピソード、さらに意外なプライベートの過ごし方までたっぷり語ってくれました!
「少女漫画すごーい」って思った
――昨年10月に公開された映画「先輩と彼女」のDVDがリリースされました。振り返ってみて志尊さんにとってどんな作品になりましたか?
少女漫画が原作の作品をやるのが初めてで、そこは自分じゃ不可能な分野だと思ってたので、それをひとつの作品にしていただいたというのが自分にとって大きなものになりました。
戦隊もの(「烈車戦隊トッキュウジャー」)が終わってから最初の仕事だったので、戦隊ものの芝居っていう型にはまっていたあとに、自分が柔軟性がどれくらいあるのかっていうのを試されている部分もありましたね。
芝居面でも学ばせていただく部分が多かったなと思います。
――公開時には舞台あいさつも行われましたが、いかがでしたか?
やっぱり少女漫画の作品だからか分からないですけど、出てくるときに「キャー」っていう声援をもらえて。
――それは少女漫画だからではなくて、志尊さんのパワーですよ。
いやいやいや(笑)。「あ、少女漫画すごーい」って思ったんです。何かちょっといい気持ちでした(笑)。
――役者仲間などの周りの方々の反応はいかがでしたか?
照れくさくて、見てほしくても見てねって言えないんですよ。一緒に行こうって言われて。「一緒には行けねーよ!」って(笑)。
――D-BOYSの仲間たちからは?
見てくれたって連絡くれましたけど、照れくさかったって言ってましたね。やっぱり照れくさいみたいですね。
――かなりのキュンキュンぶりですもんね(笑)。撮影時の印象深い出来事はありますか?
冬場の撮影だったんですが、春夏秋冬を演じなければいけなかったので寒かったのがすごく印象に残っています。
日数が限られた中で1日でけっこうたくさんのシーンを撮るので、時間にも追われてましたし、寒さも厳しかったですし。でも、その中でどれだけ自分の力を発揮できるかというのが勝負だったりもするので、忍耐力がついた部分もあると思います。夏の薄着のシーンでもシルエットを重視するために下着を着こまないでやったりしましたね。
――戦隊ものの過酷な撮影で鍛えられていた部分はありますよね。
そうですね。それはあると思います。
キラキラした世界観を崩さないように
――少女漫画が原作ということで、この世界観を表現するために大切にしたことはありますか?
やっぱり少女漫画原作でも映画にしたときは人間になるわけで、その人間くささを演じればいいんですけど、やっぱりキラキラした世界観があるので、そこを崩さないようにできることは何でもしましたね。
でも、やっぱり自分で考えられる部分っていうのは少なくて、監督さんとかカメラマンさん、メイクさん、衣装さんにお力添えをいただいた部分も大きかったですね。
――監督と演技の相談はしましたか?
かなりしましたね。毎シーン毎シーン、リハーサルをやるたびにこういうほうがいいと思うんですよねとか、こうやってみてとか、そういう話し合いを重ねました。でも、僕はリハーサルのときのほうが細かく相談していて、本番に入ったら僕よりも芳根さんと監督がよく話していましたね。
――残っているシーンはありますか?
教室で座っているシーンでは、監督に「志尊くんどうやって座る?」って言われて、僕が芝居のことを考えてたんですよ。お昼休憩のあとで時間があって。芝居のことを考えてたそがれてた格好があの姿なんです。
で、それがいいからそのまんまでいこうって話になったんです。
――素の姿がキラキラしちゃってた!
いやいや、そんなことないです(照)。
――本作では、恋愛のきれいごとではない部分もリアルに描かれていますよね。
女性が好きなキャラクターって、何もかもできて完璧なダメなところがないキャラクターだと思うんですが、そうではなくて、人間っぽくていいなっていうキャラクターで演じがいがありました。
――共演の芳根さんも繊細なお芝居をされていましたよね。ご一緒していかがでしたか?
すごい度胸がある女優さんだなと思っていました。芳根さんがこの作品をやったのってまだ2年目とかだと思うんですが、いい意味ですごい自分を持っている人で。撮影したのは彼女が高校生のときだったと思うんですが、ここまで自分なりの表現ができるのは才能だなって感じました。一緒に演じていて刺激的でした。
――今回DVDがリリースされますが、DVDならではの楽しみ方をご提案いただけますか。
自分としては照れくさいですけど、巻き戻しができるっていうのが大きいんじゃないですかね。お気に入りのシーンを繰り返して見られる。「映画館で13回見ました」というお手紙をいただいたりしたんですが、DVDなら何回も見られますし。いつでも見られるっていうメリットもありますよね。あとは特典映像ですね。
――特典映像としてキャストの座談会が収録されますね。
座談会でひさびさに再会したら、何だかへんな空気で(笑)。
――へんな空気なんですか?(笑)
カメラが回るとみんな構えるというか(笑)。だからみんなの魅力を掘り下げようと僕が頑張りました。
――志尊さんがリーダーシップを取ってトークを回す感じですか?
どうなんですかね…。意外なことにあんまりみんなしゃべらないんですよ(笑)。
――戸塚純貴さんはにぎやかそうですけど…。
戸塚くんはスカすんですよ(笑)。それも敢えて面白さでスカしてくるんです。でも、本当はいっぱい引きだしがあるので突っついてました。
――芳根さんはこの作品の後にドラマ『表参道高校合唱部!』でも共演されましたね。
そうですね。かなり仲良くなりました。
とにかくいろんな作品に出会いたい
――スペシャルドラマ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』もすごくいいドラマでしたが、『あの花』も本作も、同世代の役者さんとの共演となりましたね。
『あの花』の撮影は過酷でした…。常に泣いてる、みたいな(笑)。
少し前まで、同世代の役者さんとは、切磋琢磨するのはもちろんですけど、ライバルとして見るみたいな傾向があった気がするんです。
18歳くらいで「テニミュ」とかをやっているときは、ライバルとして見ている部分があったんですけど、『表参道高校合唱部!』では一切そういうのがなかったんです。みんな戦友というか本当に仲良くなりました。
『表参道高校合唱部!』のときの男子メンバーは、撮影が終わってから週1、2で会うくらいの仲になって。ほんっとにかけがえのない友になれた。
『あの花』のメンバーもそうで、今でもよく集まったりしていて。一緒に芝居をしたからこそ分かる空気感だったりとか、しゃべらなくても芝居をしたっていう経験でお互いが近づいていくような感覚があって。だからこれからもいろんな人と出会いたいなって思います。
――役者仲間の作品はチェックしますか?
見ますね。『表参道高校合唱部!』の仲間とかは「見て感想を教えて」って言ってくるんで。それで感想を伝えますし、逆に、何も言ってないのに僕の出演作を見てくれて連絡をくれたりするんです。ちょっと照れくささがあったりするんですけどね(笑)。
自分もこれに出たかったなとか、そういうのもけっこうあるんですよ。それでくやしいとかは思わないんですけど。
――役者デビューして今年で5年になりますが、志尊さんにとっての役者の楽しさってどんなところにありますか?
正解がないところと、表現が自分発信のものなので本当に何通りもあればどんな捉え方もあるというところですよね。正解がない中で表現するっていうのが醍醐味です。
あとは、自分が持っている空気感を出す。そしてそれが評価される。
それと、たくさんの人たちと作品を作っていく上で言葉を交わして、会話できるっていうのが楽しいですよね。
――これから演じてみたい役柄はありますか?
今じゃなきゃできないものをやってみたいです。スポ根や青春群像劇みたいなものに憧れますね。でも「志尊淳ってこういうイメージだけど、こういう役もやるんだ」っていうのもやってみたくて。同じようなキャラクターでも、作品が違うと立ち位置も考え方も変わってくるんです。
だから、どんな作品に出会っても新しい発見があるし、毎回得るものがあるので、あまりとらわれないでいろんな挑戦ができたらなって思っています。
――脚本や監督には興味はないですか?
脚本はちょっと興味はないんですが、監督的なことは興味あります。
僕、監督になったらとことんこだわるタイプだと思うんです。自分が思っているものと違っていたら「もう1回」ってなりますね。
――ご自身がそういう監督とお仕事をされるとしたらいかがですか?
監督に指摘されるということは読み切れていないということなので頑張りますね。細かく指摘してくれる監督って愛があるんだと思うんですよ。役者それぞれ、怒られたほうがいい人と褒められたほうがいい人がいると思うんですけど、僕は状況に合わせて誰とでもやって勉強したいタイプですね。
というのも、戦隊ものは1年を5人の監督で回していくので、今週はこの監督、来週は別の監督というかたちで。当然、監督によってタイプも違うし、撮り方も違うんです。そこで対応していかなきゃいけないというところでいろんなことを学びましたね。
――監督によってだいぶ違うものですか?
ぜんっぜん違いますよ。怒鳴る監督もいれば、あまり言わない監督もいれば、カットを割る監督、長回しでやる監督と皆さん違いますね。
戦隊ものの監督って、皆さん戦隊愛がすごく強いので、どういうふうにやっていくっていうスタンスが本当にそれぞれ違うんですよ。
――なるほど。ここでも戦隊ものの経験が生きているんですね。少し話は変わって、プライベートの時間の過ごし方と、今年やってみたいことを教えていただけますか?
仲のいい友達とゴハンに行くのが好きですね。ご飯にいくか、映画を見に行くかですかね。あんまり派手なことはしないです。
挑戦したいことは…今年こそ車の免許を取りたいですね。ずっと「取る取る詐欺」してるんです(笑)。
一歩踏み出せないんですよ…。教習所に通い始めたら「行こう」ってなると思うんです。そこに至るまでが…スケジュール見えないし、みたいな。
――仕事面で挑戦したいことはありますか?
とにかくいろんな作品に出会いたいという一心ですね。この気持ちはずっと変わらないと思うんです。まだぜんぜん見たことがない世界が多いので、いろんな作品に、どんな役であれ携わりたいですね。
クリスマスとかバレンタインは僕にとっては普通の日(笑)
――2月14日にDVDリリース記念のバレンタインイベントが開催されます。バレンタインデーにイベントというのはいかがですか?
ありがたいですね。バレンタインとかクリスマスって、仕事がないとどう過ごしていいか分からないんですよ。仕事をしているほうがうれしいです。大晦日もお正月も仕事をしていたいです(笑)。
――プライベートの時間を過ごしたいというようなことはないんですか?
特にないんです(笑)。
――華やかな想い出とかないですか?(笑)
ハロウィンとかクリスマスとかバレンタインとか、僕にとっては普通の日なんですよ(笑)。もし恋人がいたとしても特別感がないんです。
世の中がイベントだからっていうのでワイワイするのがあんまり得意じゃなくて。だから家でのんびりするとか。そういうときに外に出たくない(笑)。
「クリスマス、フォーッ!」みたいなのについていけなくて。
――さぞかしキラキラしたエピソードが聞けるんだろうと思っていたのですが…意外です(笑)。
いやいやいや(笑)。そんなことないんですよ。
――では、バレンタインデーにイベントがあるのは逆によかったですね。
いいですね。イベントに出ているっていうのがプレゼントですね。
――ファンはイベントで志尊さんに会えるのを期待していますよ。
いやいや、バレンタインは男性がされる側ですから(笑)。ホワイトデーイベントだったら僕から何かプレゼントしなきゃいけないですけど、バレンタインはされる側なんで受け身になってみようかと思ってます(笑)。
トークも芳根ちゃんにいっぱいしゃべってもらって、僕は聞く側に回ろうかなと。バレンタインデーですから(笑)。
――(笑)。それでは最後に本作の見どころをお願いします。
僕を知ってる人が見ると照れくさいという人が多いんですけど、それと同時にストーリーがよかったって言ってくださる人が多くて。何歳でも共感できるようなお話ですし、すごく真っすぐで、気持ちの揺れだとか人間のきれいじゃない部分も表現されています。日常的であり、人間的な描写がすごくあるんです。
やっぱり少女漫画の世界観ってキラキラしてるんですけど、すごくストーリーを大事にしたくて、かっこよく見えてるとか自分ではあんまり意識していなかったんです。ひとつの映画、ドラマとして、恋愛ストーリーを楽しんでほしいなっていう気持ちがすごく強いです。
特典映像の座談会を見てもらうと、役とのギャップがいろいろあったりするので、それも併せてDVDで何度も見てほしいですね。
PROFILE
志尊淳●しそん・じゅん…1995年3月5日生まれ。東京都出身。
2014年、『烈車戦隊トッキュウジャー』の主演・ライト/トッキュウ1号役で一躍注目を集め、以降、TBS「表参道高校合唱部!」CX「5時から9時まで~私に恋したお坊さん~」等ドラマ、映画など幅広い分野で活躍中。映画「手裏剣戦隊ニンニンジャーVSトッキュウジャー THE MOVIE 忍者・イン・ワンダーランド」が公開中。
オフィシャルサイト(http://www.watanabepro.co.jp/mypage/10000047/)
オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/jun-shison-we/)
公式twitter(https://twitter.com/jun_shison0305)
作品情報
DVD『先輩と彼女』
好評発売中
特別版 ¥6,000+税
通常版 ¥3,800+税
発売元:「先輩と彼女」製作委員会
販売元:ポニーキャニオン
(イベント情報)
「先輩と彼女」DVD発売記念2大バレンタインイベント開催!
日程:2016年2月14日(日)
★バレンタイン・トークショー
志尊淳 芳根京子 登壇
★志尊淳ハイタッチ会
詳しくはこちら(映画オフィシャルサイト)http://senpaitokanojo.jp
(C)2015「先輩と彼女」製作委員会