『警視庁・捜査一課長』秋山貴人プロデューサーが語る「攻め続けた」理由と唯一無二の魅力

特集・インタビュー
2023年04月03日
『警視庁・捜査一課長スペシャル』©テレビ朝日

昨年、シリーズ誕生10周年という節目を迎えた『警視庁・捜査一課長』(テレビ朝日系)のスペシャルが4月4日(火)に放送。主演・内藤剛志が演じる、ヒラ刑事から這い上がった“たたき上げ”の捜査一課長・大岩純一と、捜査員たちの熱き奮闘を描く人気シリーズだ。

連続ドラマとしての集大成となった『season6』の最終話(2022年6月16日放送)は、Twitterの世界トレンド1位、視聴率も個人全体6.1%、世帯10.9%(※ビデオリサーチ調べ、関東地区)を獲得。長きにわたり、視聴者から高い支持を得ていたことが伺い知れる。

そんな本作の待望のスペシャルで、監督・プロデューサーを務める秋山貴人さんに、本シリーズにかける思いやこだわり、現場での内藤さんのエピソードをはじめ、今回のスペシャルの見どころなどをお聞きしました。


◆今回スペシャルが放送されるに当たって、現在のお気持ちはいかがですか?

2016年に連続ドラマシリーズが始まったころから携わっているのですが、他の刑事ドラマがやらないようなことにどんどん挑戦して、とにかく攻め続けたシリーズだと思っています。それを『season6』まで毎シリーズ改良を重ねて、最後に世界トレンド1位を獲得できたというのは、今まで目指していたところにやっと到達できたのかなと。「木曜ミステリー」の枠が終了するのを機に連続ドラマとしてもいったん節目を迎えたのですが、このようにスペシャルが放送されることになりまして、視聴者の方には毎回驚きを感じていただきたい、という思いでずっと続けてきたので、今回も攻める姿勢は崩さず、面白いものを提供できればと挑んでいます。

◆このシリーズが多くの視聴者に愛される秘けつはどこにあると思われますか?

このドラマの特性として、事件を何でもすぐに解決できるスーパーヒーローはいないんです。無骨に、愚直なまでに真っすぐに、汗をかきながら、ささいな推理線を元にみんなで動いて真実にたどり着くといいますか。その魅力をうまく皆さんが体現してくださっているなと思います。そして、ただ攻めるだけでなく、ある種の“約束ごと”も大切に、さまざまなバリエーションを作ってきました。例えば、一課長の「ホシをあげる!」というせりふだったり、笹川刑事部長(本田博太郎)の登場の仕方だったり…。そういった部分はずっと守りながら作り続けてきましたし、今回も楽しみにしていていただきたいです。

◆内藤さんは、座長としてどのようなスタイルの方なのでしょうか。

内藤さんは本当に素晴らしい座長です。刑事ドラマという性質上、毎回その話限りのゲストの方々が来てくださるのですが、内藤さんは“ゲストの方々がやりやすいように”ということをいつも気にかけてらっしゃるんです。俳優として長いキャリアをお持ちですし、ご自身がゲストとして別の作品に出演された経験もおありなので、きっと出来上がったチームに入っていく時の不安な思いや、やりづらさみたいなものが分かるんですよね。ゲストの皆さんがパフォーマンスを最大限発揮できるようにといい空気を作って下さるので、とても輪に入りやすいチームなのではないかなと思います。

『警視庁・捜査一課長スペシャル』©テレビ朝日

◆今回のスペシャルの放送について、内藤さんは何かおっしゃっていましたか?

今回内藤さんがしきりに現場でおっしゃっていたのは、「ぶっ飛んでいていいんじゃないかな」ということ。その言葉通り、そういう場所でこういうシーンは撮らないでしょう、というところにも果敢に挑戦しています。従来の刑事ドラマでは取り入れないようなチョイスも多く、面白いことはどんどん積極的に取り入れていこうと臨まれていました。

◆今までのシリーズでも劇中に登場するユニークな要素が話題を呼び続けてきましたが、どのように毎回題材を決めていくのでしょう?

今回のスペシャルでいう“映えスポット”や“ギャル”といった題材は、まずホン作りの最初の段階から決めていきます。そこからリアリティを追求すべく、今回は“ギャル監修”の先生もお迎えしまして。のあぺちゃ(井上望愛)さんというモデルをやられている方に、「こうやったほうがよりギャルっぽくなります」というようなことをご指導いただきました。

◆今回、メインゲストとして人材派遣会社社長・池井景子役で石田ニコルさんが登場しますが、印象はいかがでしたか?

石田さんには、“刑事をも圧倒し、論破してしまうような強い人を”とお願いしたのですが、それを見事に演じ切ってくださいました。今まで刑事たちが接してきた人々とはまたちょっと違ったキャラクターたちとの世界が展開するのですが、彼女に求めていた“力強さ”がその中でしっかり体現されていると思います。

◆撮影時に印象に残っているエピソードを挙げていただくと?

たくさんあるのですが、渋谷のセンター街で撮っていた時なんかは10代くらいの若いギャルの子たちが内藤さんに「一課長いつも見ています」と話しかけていて、内藤さんがとても喜んでいました(笑)。あと、今回のみならずずっとそうですが、やはり金田(明夫)さんと斉藤(由貴)さんが現場にいらっしゃると雰囲気がより明るくなりますね。撮らなくてはいけないシーンが多いハードな時もとても楽しかったです。

◆今回のスペシャルで“ここにも注目して”というポイントを教えてください。

まず、ビジュアル面から長年の刑事ドラマにおける方法論といいますか、「刑事ドラマってこういうものだよね」というものを一度取り払って再構築しています。もしかすると「あれ、これって一課長だよね?」と思われる方もいるかもしれないのですが、根本はブレずに大切にしつつ、皆さんの興味を誘い、より物語に没入していただけたら、と。なので、今まで支えてくださったファンの皆さんには、「今までと違う部分もありますが、きちんと一課長ですのでご安心ください」とお伝えしたいです。

『警視庁・捜査一課長スペシャル』©テレビ朝日

◆となると、大岩一課長もよりパワーアップされる?

はい。一課長は今まで以上にとにかくカッコよく、渋く描いています。そんな中で、ときどき発する「トイプードルおにぎり」などのかわいらしいワードにも注目していただけたら(笑)。そんなちょっとユニークな展開にも真剣に取り組んでいく一課長と、捜査員たちの姿をぜひ楽しみにしていていただきたいです。

◆最後に、本シリーズにおける今後の展望をお聞かせください。

今後このシリーズがどうなっていくかは全く分からないのですが、1回1回が勝負だと思っています。テレビやドラマを取り巻く環境がここ数年で激変しているので、来たる時代に適応しながら、変えないところは変えず、変えるべきところは変えていく、その2つの姿勢でやっていけたらなと。本当に唯一無二のドラマだと思っているので、この先もファンの皆さんに喜んでもらえるような作品にしていきたいです。

●text/片岡聡恵

番組情報

『警視庁・捜査一課長スペシャル』
テレビ朝日系
2023年4月4日(火)午後8時~9時54分

番組HP:https://www.tv-asahi.co.jp/ichikacho_sp/

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