山田悠介の原作を、東海発のボーイズグループ・BOYS AND MEN(通称:ボイメン)メンバー総出演で映画化した「復讐したい」(3月5日(土)全国公開/中部エリア2月27日(土)先行公開)。本作の舞台は、犯罪被害者が加害者への殺傷を許された“復讐法”のある未来の日本。妻を殺した男への復讐を誓う主人公・高橋泰之役の水野勝さんと、両親の命を奪ったテロ組織への復讐に燃える板垣潤也役の田中俊介さんに、映画の見どころなどを伺いました。
これは僕らに興味がなくても絶対面白いと思う作品(水野)
アクションシーンに注目してほしい(田中)
――出演が決まったときはいかがでしたか?
水野 学生時代に山田悠介さんの小説をよく読んでいたので、この作品に出演させていただくのはとても光栄でした。命についても考えさせられる作品なので、僕らに興味がなくても絶対に面白いと言っていただけると思います。
田中 僕も純粋にうれしかったのはもちろん、今までボイメンが演じてきたような作風とは真逆の作品だったので、「どうなるのかな?」という楽しみがありました。僕たち自身こういう作品を演じるのが初めてだったので、挑戦でしたね。このタイミングで携われて本当に良かったです。僕たちは役者としても本気でやっていきたいと思っているので、いい意味でファンの方を裏切る作品に出演できてうれしかったです。自分自身はもちろん、ファンの方からも「これからが楽しみ」だと思ってもらえる作品になったと思います。
――お2人の役柄について聞かせてください。
水野 僕は中学校教師の高橋泰之を演じました。学校では道徳的なことを教えていますが、愛する妻・泉(高橋メアリージュン)を殺されたことにより、犯罪者を合法的に殺せる“復讐法”を利用して、吉原(雅斗)君演じる犯人の小寺に復讐するんです。二面性のある役だったので、復讐法に反対しながらも妻を亡くしたことにより賛成派に回るという演じ分けや、泰之の心の葛藤を表現するのがすごく難しかったですね。泰之にとって妻がどれだけ大事な人だったかをしっかりと持っていなければいけないので、そこは常に意識して演じました。
田中 僕が演じたのは、テロリストに両親を殺害された板垣潤也という役です。テロ被害者の会のリーダーとして、同じ思いを持った人たちの代表として、みんなの気持ちをくんで復讐するという役柄でした。自分の「復讐したい」という気持ちのほか、みんなの気持ちも背負わなくてはならない役で。僕は普段リーダーの立場ではないので、いろんな気持ちを1つにまとめて突き進むことに苦労しました。
――犯罪被害者という難しい役どころですが、どのように役作りされましたか?
水野 僕は犯罪被害者になったことがないので、勉強してから演じたいと思ったんです。だから、犯罪被害者の方の心境や、目の前で事件を見てしまった人のフラッシュバックやトラウマ、それによってどういう変化が起きるのかを調べて演技に取り入れました。
田中 僕も水野君と同じで、大事な人を悲惨なかたちで亡くした経験がないので、そこまで気持ちを持っていくのが大変でした。例えば、両親が殺されたら僕も復讐法を利用して復讐したいと思うかもしれませんが、いざ目の前にその犯人がいたら引き金を引けるのかな…と。
――ちなみに、お2人は復讐法に賛成ですか?
水野 僕は反対です。でも、泰之と同様に自分を取り巻く状況の変化で反対派が賛成派に回ってしまうのがこの復讐法だと思っています。だから、今は反対ですが実際その立場になったら賛成するかも、というのが僕の答えです。ひと言で賛成・反対とは言えないですね。
田中 僕も…まあ……反対ですかね。
――先程、もし被害者になったら「復讐したい」ともおっしゃっていましたが。
田中 …はい!
水野 (笑)。
田中 自分の大切な人が亡くなったら、そういう気持ちになってしまうと思うんですよ。絶対この手で仕返ししたいって。でも、人の命がかかわることですし、そんな簡単に賛成とは言えないです。実際そうなってみないと分からないですよね。
――室賀厚監督からは演技について何かアドバイスはありましたか?
水野 欲しい演出や映像をコンパクトに伝えていただいたので、とてもありがたかったです。例えば「こういう感情を自分なりに落とし込んでから敵を見てくれればいいよ。じゃあどうぞ」。これだけです。でも、そのおかげで僕も演じやすかったですし、熱い気持ちも伝わってきました。
田中 確かに! すごく情熱のある方で、室賀監督の作品に携われてうれしかったです。僕たちも熱い気持ちしかないので、うまくシンクロできたと思いました。
水野 監督自らカメラを回すこともあったんですよ。
田中 そうそう(笑)。
水野 ドロドロの地面に顔を付けながら、「はい! 本番~」って(笑)。川のシーンでも、照明さんがいるのに自らレフ板を持って参加しているんです。「監督、モニター見てください」って思ったんですけど、監督は「ここで芝居見ているから、モニターいらないっす!」って言ってました(笑)。
田中 あと、監督は「アクションシーンにこだわりたい」と話していたので、作品にそれが出ていたときはうれしかったです。アクションシーンにはぜひ注目してほしいですね。
水野 その中でも最後のバトルシーンに注目してください! 朝からずっと撮っていてカット数も一番多かったですし、とても迫力のある仕上がりになりました。
現場はまさに“戦場”(水野)
勝の演技には本当びっくりしました(田中)
――本作にはメンバーが総出演されていますが、現場はどんな雰囲気でしたか?
水野 う~ん、まさに戦場でした(笑)。
田中 そうだね~。
水野 僕は現場で加害者役の吉原君と全く話さなかったですし。田中はテロ被害者の会のメンバー(勇翔、本田剛文、田村侑久)と話し合っていたよね。
田中 うん。僕はリーダーとしてみんなの気持ちを知ってないといけないと思ったので、撮影入る前に「おまえはどういう気持ちで蛇岩島(復讐法の舞台となる孤島)に来たのか」と、事前資料としてみんなと意見交換、意思統一をしました。これはグループとして普段一緒にいるからこそ聞けることですよね。1人でいろんな役者さんたちと深くまで話す機会ってなかなかないので、そういう部分ではグループで出演できて良かったです。
水野 僕もそう思います。メンバーとの共演だと、距離の取り方はもちろん、どんな演技をぶつけても拾ってくれる安心感や信頼関係があるので、いろんなアプローチができるんですよ。
――演技についてお互いにアドバイスしたりしましたか?
水野 完成した映画を観て、「どうだった?」って話はしたよね。
田中 うん。でも、勝の演技には本当びっくりしました。よかったー(棒読み)。
水野 (爆笑)
田中 (つられて爆笑)
水野 どこがよかったの?
田中 話すの恥ずかしいんだけど(笑)。
水野 (笑)。やっぱり田中とはよく話しますし、役者としても信頼しているんですよね。だから、今回も演技していてすごく楽しかったし刺激ももらえました。俺ら一番しゃべるよね?
田中 うん。勝が泰之を演じている姿を見て純粋にすごくカッコいいと思いました。勝が役に対するこだわりが強いことも分かっているので、そういう部分では相乗効果というか、「あいつがここまでやっているんだから、俺もこうしたい」という気持ちはありましたね。
水野 切磋琢磨でね。
田中 うん。いろんな作品でかかわって、お互い上に上がっていきたいですね。
――お2人は大事な人を失ったことにより加害者への復讐を決意するわけですが、お2人にとって大事な人は誰ですか?
水野 家族やメンバーはもちろん、スタッフの方ですよね。身の周りにいる人がいるからこそ人って成長できると思うので、大事だなと思います。
田中 僕も家族やメンバー、あとは応援してくださるファンの方などですね。僕たちはボイメンとして少しずつ夢を叶えている段階なんですが、小さな夢でも叶ったときに一緒に喜んでくれる人たちがいると、すごく励みになります!
――最後に映画のPRをお願いします。
水野 「復讐したい」は命について考えさせられる話なので、“あなたなら復讐法を選びますか? 選びませんか?”と問いかけたいです。この答えを、ぜひ劇場で見て考えてほしいです。
田中 若い方や女の子たちは「復讐したい」ってタイトルから怖いイメージを抱いてしまうかもしれませんが、すごくメッセージ性が強い作品なので怖がらずに見てほしいです。1つのアクション作品としても見応えがあるので、男性にも楽しんでいただきたいですね。見終わった後、あらためて周りの大切な人を思い浮かべて「大事にしたい」と思ってもらえたらうれしいです。ぜひご覧ください!
PROFILE
BOYS AND MEN
2010年に東海エリア出身・在住のメンバーで結成されたエンターテイメント集団。ライブやミュージカルをはじめ、テレビ・ラジオのレギュラー番組、雑誌・新聞の連載なども持ち、名古屋で圧倒的人気を誇る。メンバー11人はグループ内ユニットとして、水野勝・田中俊介・田村侑久・辻本達規・小林豊からなる「YanKee5」と本田剛文・勇翔・若菜太喜・平松賢人・土田拓海・吉原雅斗からなる「誠」に分かれて活動することも。結成5周年を迎えた2015年には、愛知県・日本ガイシホールで一万人ライブを成功させたほか、メンバー総出演の映画「サムライ・ロック」も公開された。メンバー総出演の冠番組『ボイメン☆MAGIC』が中京テレビ、TOKYO MXテレビ、タイWork Point TVにて現在放送中。2017年1月には、初となる日本武道館でのワンマンライブが決定している。
水野勝(みずの・まさる) 1990年11月22日生まれ/リーダー/テーマカラー・金
田中俊介(たなか・しゅんすけ)1990年1月28日生まれ/テーマカラー・銀
BOYS AND MEN 公式サイト:https://boysandmen.jp/
作品情報
映画「復讐したい」(PG-12)
2月27日(土)よりセンチュリーシネマほか中部エリア先行ロードショー
3月5日(土)よりシネマート新宿、ユナイテッド・シネマ豊洲ほか全国ロードショー
INTRODUCTION
“中高生が選ぶ一番好きな作家”山田悠介の同名小説を実写映画化したサスペンスアクション。東海エリアで圧倒的人気を誇る「BOYS AND MEN」の水野勝が映画初主演、メンバーも総出演する。そのほか、高橋メアリージュンや神保悟志、岡田義徳などが脇を固める。
あらすじ
世界で最も安全と言われる日本。2020年、犯罪者に対し被害者やその親族が直接制裁を下すことが許される「復讐法」が制定。中学校教師・泰之(水野勝)は、この法律に反対していたが、愛する妻を殺されたことにより犯人への復讐を決意する。そして、復讐法にのっとり復讐場所として定められた孤島へ向かう。
ちょうどその頃、無差別テロ事件を起こして逮捕された過激派環境保護団体「アースウィング」のメンバーたちも、被害者たちの親族により復讐されようとしていた。この島にやって来た復讐者には武器と食料、GPSが渡され、丸腰の犯人には位置情報を知らせる発信機が装着される。誰が誰を殺傷しても罪に問われないが、18時間以内に復讐が果たされなければ、犯人は無罪放免となる。さまざまな事件の被害者と犯人が入り乱れ、壮絶な復讐劇が繰り広げられることに……。
キャスト:水野勝、高橋メアリージュン、小林豊、田中俊介、勇翔、本田剛文、田村侑久、吉原雅斗、辻本達規、土田拓海、若菜太喜、平松賢人、上野優華、クノ真季子、海東健、神保悟志、岡田義徳 ほか
原作:山田悠介(幻冬舎文庫)
監督:室賀厚
脚本:赤松義正/室賀厚
配給:キャンター/スターキャット
映画『復讐したい』公式サイト:http://revenge-movie.com/
(C)2015 山田悠介/幻冬舎/「復讐したい」製作委員会
●photo/中村圭吾 text/遠藤綾野、金沢優里