テレビアニメ『久保さんは僕を許さない』(AT-X、TOKYO MX、MBS、BS11 毎週(火)放送)が、4月4日から再スタートを切る。原作は、3月に「週刊ヤングジャンプ」での連載が惜しまれながらも最終回を迎えた人気漫画。高校1年生の“ヒロイン級”美少女・久保渚咲と、その久保さんから何かとちょっかいを出される存在感ゼロの“モブ男子”白石純太の“恋の2歩手前”を描いた青春スイートコメディだ。久保さん役の花澤香菜さんと、白石くん役の河西健吾さんに本作への思いを聞きました。
◆原作漫画を最初に読んだ時、どう感じましたか?
花澤:とにかく久保さんがかわいくて。“このヒロインは強いぞ”というインパクトがありました。ヒロインへの願望を詰め込んだような女の子で、それでいて、しっかり自分の意思で動いていますし。何より、白石くんへのあの“言葉責め”を見たら、きっと誰もが「俺も久保さんに責められたい!」と思ってしまいますよね(笑)。それくらい、久保さんには強烈な魅力を感じました。そこからさらに読み進めていくと、ただのラブコメではなく、いろんな楽しみ方のできる作品だなと、より引き込まれていきました。
河西:美少女の久保さんがモブ男子の白石くんをからかう物語かと思いきや、後になって、白石くんをからかった久保さんが逆に「ちょっとやりすぎちゃったかな…」と赤面してしまうという。その姿を見て、「おやおや? これはラブコメの匂いがするぞ」と(笑)。2人の恋の歩みがゆっくりなので、「もっと行っちゃえばいいのに!」とじれったくもなるんですけど、その歩幅が心地よくて応援したくなりました。
◆久保さん役の花澤さんは、ASMRのボイスドラマからの続投になりますね。
花澤:そうなんです。テレビアニメでも久保さんを演じられることになって、「よっしゃー!」とうれしくなりました。ASMRでは、人の頭の形をしたダミーヘッドマイクを白石くんに見立てて演じていて。なので、私の中でずっとダミーヘッドマイクだった白石くんにどんな声がつくんだろうと楽しみにしていたんです。そしたら河西くんが演じることになって、「何てことだ、めちゃくちゃぴったりじゃないか!!」とテンションが上がりました(笑)。
河西:そのASMRは僕も知っていたんですけど、テレビアニメで久保さん役を花澤さんが続投されるのかどうかは知らなかったんです。だから台本のキャスト表に花澤さんのお名前があったのを見て、「これは大変だ。あの声でどうやって僕は責められていくんだろう」とソワソワしました(笑)。実際にアフレコをしていても、花澤さんのあの声であんなにグイグイ来られると、やっぱり参っちゃいます(笑)。
花澤:私も、高校生の女の子がこんなこと言っていいのかなとドキドキしながら演じています(笑)。
河西:花澤さんとこういう関係性の役で共演するのは初めてなんです。なので、花澤さんに…いや、正確には花澤さんじゃなくて久保さんなんですけど、「あ、この人にからかわれるとこういう感じなんだな」と、とても新鮮です(笑)。
花澤:恥ずかしい…(笑)。
◆それぞれのキャラクターを演じる上で意識していることは?
花澤:白石くんとの関係性の部分は、最初は特に気を遣いました。久保さんが白石くんをただイジっている風にとらえられてしまわないように。
河西:白石くんに関しては、タイトルどおり“モブ”じゃないといけない。久保さんに対しても、「こんな僕になぜかまうんだろう?」と理解できずにいるので、そこは崩さないようにしています。でも、収録の合間に花澤さんとの会話が盛り上がって、そのままの感じがお芝居に出てしまい、「久保さんと白石くんが付き合ってるっぽく聞こえます」と注意されることがあって(笑)。
花澤:「距離が近すぎます」ってね(笑)。
河西:なので、そこはグッとこらえるようにしています。
花澤:久保さんにとって白石くんは、ちょっかいを出したくなる存在。その白石くんに河西君の声がついたことで、魅力が倍増しています。以前共演した作品では、河西君は陰のある男の子の役だったんですが、声に繊細さが乗っていて、すごくすてきだったんです。でも今回の白石くんは“モブ”なので、カッコよくてはいけないし、目立ってもいけない。それってすごく難しいはずなんですけど、河西くんは「あ、白石くんだ!」と思わせてくれるお芝居をされていて。「こういうのもイケるんスね、河西くん」と感動しました。
河西:ありがとうございます(笑)。
◆アフレコ現場は、どんな雰囲気でしたか?
河西:この作品は、男性キャストが少なくて…。
花澤:河西君が男子1人になってしまうことが多かったよね。
河西:そうなんです。だから僕はもういつもドギマギしていました。
花澤:そうだったの!? あんなに一緒に楽しく雑談していたのに!(笑) まあでも確かに、女性陣とこの作品について話していると、どうしても「こんなことされたら、好きになっちゃうよね。男子として、河西君はどう?」という流れになってしまって。そういう質問が河西君に集中してしまうのは申し訳ないな、とは思っていたんですけど(笑)。
河西:あのやり取りは、“リアル久保”さんでした(笑)。
◆実際にアニメをご覧になって、いかがですか?
河西:色彩が淡くて、優しい世界観が全面から伝わってきますよね。
花澤:その中で動く久保さんがすごくかわいいです。髪の毛1本1本の動きまで感じられる画になっていて。もちろん、動く白石くんもかわいいです。久保さんに比べて、描き込みの差はかなりありますけど。“モブ”なので、絵が下手な私でも描けるんじゃないかというくらいシンプルな目になっていて(笑)。
河西:白石くんがあれだけしっかり“モブ”で、後々出てくる男子学生がカッコいいと、「白石くんをもうちょっとちゃんと描いてあげて!」と嫉妬してしまうこともありますけど(笑)。でも、そのギャップがいいんでしょうね。
花澤:白石くんのその存在感の薄さによって起こる、ちょっぴり間抜けな出来事がアニメになるとより面白くなっているので、そこも楽しんでいただきたいです。
◆劇中には、久保さんと白石くん以外にも個性豊かなキャラクターが多いですよね。
河西:登場人物がみんな魅力的なので、もしスピンオフを作り始めたら止まらないでしょうね。個人的に、担任の雲仙先生は妖精なんじゃないかと思います(笑)。
花澤:雲仙先生のあの頭身が妖精っぽいよね(笑)。この作品にはいい人しか出てこないので、どこを切り取ってもほんわかするんですよね。学校で言うと、久保さんは親友の葉月ちゃん、玉緒ちゃんとよく一緒にはしゃいでいて。その3人のバランスがすごくいいんです。あと、白石くん一家もすてきで。お母さんは優しいし、弟はかわいいいし。あの家族の生活もずっと見ていたくなります。
◆最後に、視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。
河西:久保さんと白石くんは少しずつ「この気持ちって…?」と思う域に進んでいきます。そんな2人をご覧になったら、きっともだえてしまうはずです(笑)。最後まで見守っていただけたらうれしいです。
花澤:1話1話でテーマの違いはありつつも、基本的には久保さんと白石くんのいちゃいちゃを楽しんでもらう作品なので(笑)、何話からご覧いただいても大丈夫です。原作ファンの方々は「自分の推しエピソードはアニメになるのだろうか」と気になっているでしょうから、そこも注目してください。細かいところで言うと、久保さんと白石くんがやり取りするSNSツール「PINE」の着信音の声も私が担当しているので、聞き逃さないでいただきたいです(笑)。
PROFILE
花澤香菜
●はなざわ・かな…2月25日生まれ。東京都出身。AB型。最近の声の出演作は、『鬼滅の刃』シリーズ(甘露寺蜜璃役)、「劇場版 呪術廻戦 0」(祈本里香役)など。「劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE」(常守朱役)が5/12(金)公開。本作では、オープニングテーマ「ドラマチックじゃなくても」も担当している。
河西健吾
●かわにし・けんご…2月18日生まれ。大阪府出身。A型。最近の声の出演作に、『鬼滅の刃』シリーズ(時透無一郎役)、『ブルーピリオド』(橋田悠役)、『東京リベンジャーズ』(河田ナホヤ役)、『Dr.STONE』(あさぎりゲン役)などがある。
作品情報
『久保さんは僕を許さない』
AT-X 4月4日より毎週(火)後9・30~
※リピート放送 4月6日より毎週(木)前9・30~
4月10日より毎週(月)後3・30~
TOKYO MX 4月4日より毎週(火)深0・30~
MBS 4月4日より毎週(火)深3・00~
BS11 4月4日より毎週(火)深0・30~
<STAFF&CAST>
原作:雪森寧々
監督:古賀一臣
アニメーション制作:PINE JAM
声の出演:花澤香菜、河西健吾、伊藤未来、雨宮天、加隈亜衣、竹達彩奈、能登麻美子、伊瀬茉莉也、龍田直樹 ほか
●text/篠崎美緒 ©雪森寧々/集英社・久保さんは僕を許さない製作委員会