鈴鹿央士さん演じる主人公の柏木心と元彼女・大森りんご(小西桜子)、今彼女・上条小夜(田辺桃子)の三角関係を中心として、恋愛に、生き方に不器用な若者たちの等身大の姿を描く、じれったくて切なくて甘いラブストーリー『スイートモラトリアム』(TBS 毎週火曜 深夜0時58分~1時28分)。2人の女性の間で揺れる心役を演じる鈴鹿さんに、役作りや共演の小西桜子さん、田辺桃子さんの印象などを聞きました。
◆原作や台本を読んで面白いなと感じたところはどこでしょうか?
物語は元カノが家に来るところから始まります。一般的に考えると「こうはしないよな」というような結構予想外のことばかりが起きる作品です。僕も台本を読んでいて、「心君はなぜこんなことをするんだろう」と思ったりしたので、きっと見ていて驚くところは多いんじゃないかなと思います。
◆小夜とりんご、それぞれに対する心の心情を鈴鹿さんご自身はどのようにとらえられていましたか?
僕もすごく悩みました。高校時代に付き合っていたりんごちゃんは自分で物事を選択したり、自分の好きなものに真っすぐ向き合う人。今カノの小夜ちゃんはどちらかというと、ちょっと心君に似ているところがあって。自分の好きなものもあるけど家族に言われているからとか誰かの目を気にしている人で、本当に真反対の2人。僕、シーンごとにどちらに引かれるのか2人を天秤で考えていたんです。でも意外とどっちでもないのかなと。天秤にかけようとしたのが間違いだったかもと思ったりして、心君って難しいなと思いながらずっと演じていました。
◆鈴鹿さんご自身は、りんご、小夜に引かれるところはありますか?
あります。りんごちゃんのような個性的な人と小夜ちゃんのような穏やかで自分のことを見守ってくれる人、その中間の人がいればいいのになと思いました。
◆自分が心と同じ立場だったとして、突然元カノが家に転がり込んできたら?
その状況に出くわしたことがないので分からないですけど、僕は泊めないと思います。1回終わりにしたなら、お互い前に進むべきだと思うので。
◆演じていく上で、りんごを受け入れた心の気持ちを理解できましたか?
はい。仕方ないというよりかは、心君の自分で決めないところというか、自分より先に人が歩いてくれたら、それについていきますみたいな性格なので、りんごちゃんがきっと走ってくれているので、そうなるよなと思っていました。
◆「『あぁ、こういう瞬間ってあるよなぁ』と共感する部分がありました」とコメントされていましたが、どんなところに共感されたんでしょうか?
心の物事を決められないところ。僕も学生のころ、将来の夢を書かなければいけないときに、特になりたいものがなかったんです。周りの人がサッカー選手と書いているから、自分もサッカー選手と書こうとか、パン屋さんと書いているから自分もパン屋さんと書いておこうみたいな感じで。高校生のときは、強いて言うなら英語が好きだったくらいだったので、英語の先生に「英語は何に使えますか?」と聞いて「通訳さんとかじゃない?」と言われて、通訳と書いておこうみたいな。ずっとそうだったので、何か決めなくてはいけないとき、結構難しいし、「選択に迫られてもな…」と思う自分が今でもいます。なので、心君がどうしたいか決めなきゃいけないシーンがたくさんあるのですが、そのシーンごとに「自分、決めていなかったな」と思ったりします。
◆他にも自分とこういうところが似てるかなと感じたところはありますか?
若林時英君が演じた田中とのシーンで、2人だけのノリみたいなものが生まれたのですが、それは岡山にいる小中高とずっと一緒だった友達とのノリに似ているかなと思います。原作でも田中と心君は打ち解けた仲だったのですが、現場でお芝居して2人で2人のノリが生まれて。毎回役を演じていて思うことなのですが、心君もりんごちゃんといるときと、小夜ちゃんといるときとで、打ち解け度合いが違うし、関係性というのも違ったりするので。でも、その友達の田中といるときの心君というのは、実際の自分と友達の打ち解け方と似ていると思いました。
◆鈴鹿さんにとって、心君は演じやすい役ですか?
演じるのは難しかったです。台本を読んでいて、想像できる心君の心情がたくさんあって、本当にりんごちゃんが、小夜ちゃんが好き?というものもあるかもしれないし、もしかしたらどっちでもないかもしれないという、心君には選択肢が多すぎるんです。でも、心君はあまり決断をしないから、その答えが台本に書いていないことが多く、自分で決めないといけないので、その枝別れした先の答えを見つけていくのが難しかったです。本当に選択肢が多いから、どういうふうに悩んでいるんだろうと、監督と話し合いながら演じていました。
◆心君を演じるに当たって大切にされたことは何でしょうか?
目を大切にしました。眼鏡を掛けているし、前髪も目にかかるくらいだったので、目の開き方や見え方で印象が変わってくると思うんです。きちんと意識したわけではないですが、目を隠す、出すことはそのときのお芝居の流れで感覚的に分けていました。それで言うと、アウターのポケットには手を入れないけど、パーカーのポケットには手を入れるということもしているのですが、そこはスタイリストさんと話し合って決めました。
◆今回共演された、小西さん、田辺さんの第一印象と、共演されての印象を教えてください。
今回、リハーサルを何度もやらせてもらえた現場だったのですが、りんご役の小西さんは、リハーサルのときが初めましてでした。どこかふわふわとしていて、りんごとは全然違う感じだったので、どういう人なんだろうなと思っていたのですが、いざ現場入ると、真っすぐお芝居と脚本に向き合っていて、「自分はこうしたい」みたいなものがはっきりされていて。現場で監督や僕らにそれを話してくださる姿勢がすてきだなと思いました。
小夜役の田辺さんは真面目そうだなと思っていたのですが、結構面白いことを言う人で、一緒にふざけたりしています(笑)。今回、小西さんと田辺さんと僕と監督とカメラマンさんみんなで話し合う時間を常に作ってくださって、熱く話し合っています。小西さん、田辺さんが本当に真っすぐでお芝居が好きなので、2人から刺激をもらえて、ありがたいなと思っています。
◆今回、主演として座長として気をつけたことはありますか?
僕は真ん中に立つタイプではないですし、引っ張っていく感じでもなくて…。スタッフの皆さんがすてきで、良い雰囲気の現場を作ってくださるので、僕はその中でキャストの人たちとスタッフさんとチーム一丸となって、面白がってやってもられたら一番いいのかなと考えながら現場にいます。
◆印象的なシーンを教えてください。
最後の方になってしまうんですが、「人が心の中にいる」という表現が出てくるシーンがあって、そこが印象に残っています。記憶は都合よく消せないし、頭で考えていることだけではなくて、1回好きだった人、愛した人というのは、心の中に残ってしまうよなと。少し前にプライベートで、男3人で河川敷に座って愛について語り合った日があって。「愛してるってあまり言いたくないよね」となったんです。「付き合って別れると“愛してる”が“愛してた”に変わるのが嫌だよね」と言われたときに「そっかー」とそこでも思いながら、「過去形になるのがすごく苦しいよね」という話をしたんです。なので、「心の中にいる」というのは、現在進行形なものだから、過去形ではないその言葉が「すごくいいな」と思いました。
◆鈴鹿さんご自身は、安定と刺激どちらを選びますか?
穏やかな生活をしたいから安定です。刺激は人に頼らなくても、自分から何かすれば刺激は受けられると思うんです。でも、人からの刺激というのは大きいですよね…。んー、でも…。
◆何か捨てがたい刺激があるんでしょうか?
僕はよく事務所の人や友達から映画や音楽、本で「これ見たよ」「よかったよ」と言われたら見たり聴いたりするようにしていて。そこで「すごくいいな」という作品と出合ったりしてきたので、そうなると刺激かもしれないですね…。んー、考え出すと止まらなくなってしまうので、今のところ安定を選びます。
◆最後に見どころをお願いします。
視聴者の方には、心君が2人の女性の間で悩む姿や頑張りだったり、悩みながらも一歩踏み出そうとするところを応援してもらえたらうれしいです。そして、今回は同世代の共演者の方も多いですし、健康第一に、良い作品にしようってみんなで一丸となって楽しく撮影できればいいなと思っています。面白い作品になるように頑張りますのでぜひ放送を楽しみにしていただけたらうれしいです。
PROFILE
鈴鹿央士
●すずか・おうじ…2000年1月11日生まれ。岡山県出身。O型。メンズノンノ専属モデル。
番組情報
ドラマストリーム『スイートモラトリアム』
TBS
2023年5月23日(火)地上波放送スタート
毎週火曜 深夜0時58分~1時28分
1週間先行有料配信:「Paravi」「U-NEXT」にて毎週火曜正午配信中
※5月23日(火)地上波放送後、「TVer」「TBS FREE」にて無料1週間見逃し配信
<キャスト>
鈴鹿央士、小西桜子、田辺桃子、若林時英、中島歩 ほか
<スタッフ>
原作:たまいずみ「スイートモラトリアム」(マンガボックス)
脚本:加藤綾子、玉田真也、頃安祐良
プロデューサー:近藤紗良
スーパーバイジング・プロデューサー:久保田修
配信プロデューサー:今井夏木、大原拓真、杉山香織
監督:玉田真也、頃安祐良
制作プロダクション:C&Iエンタテインメント
製作:『スイートモラトリアム』製作委員会
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/drama_stream_tbs/
公式Twitter:@drama_streamtbs
公式Instagram:tbs_drama_stream
公式TikTok:@drama_stream_tbs
©『スイートモラトリアム』製作委員会