藤原丈一郎「もっと演技がしたいという気持ちを全て米澤大地に吹き込んでいる」『ペンディングトレイン』インタビュー

特集・インタビュー
2023年05月26日
『ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と』©TBS

山田裕貴さん主演の金曜ドラマ『ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と』(TBS系 毎週金曜 午後10時~10時54分)に出演中のなにわ男子・藤原丈一郎さんにインタビュー。本作は、偶然乗り合わせた電車が未来の荒廃した世界にワープし、何もかも遮断され“ペンディング”された“非日常”の世界へと放り出された乗客たちが、共にサバイバル生活を生き抜く姿を描くヒューマンエンターテインメント。ポップカルチャーを学ぶ専門学校に通う明るく口達者な関西人の米澤大地を演じる藤原さんに、役作りや“もしペンディングされてしまったら…?”などを聞きました。

◆台本を読んで、どんな感想を持ちましたか?

回を増すごとに自分自身も今後どうなっていくのだろうとワクワクします。例えば、6話の台本を読んだときに先の7話、8話のことを考えたり、「6話でこうなっているから、撮影中の話ではあまりテンションを上げないでおこう」と計算ができるので、台本を読むにつれて、だんだんと米澤に深みが増していく感じがします。

◆これまでもストーリーから逆算してキャラクターを作っていましたか?

そうですね。“完全オリジナルの予測不能のヒューマンエンターテインメント”というコンセプトですが、まさに予測不能という言葉がぴったり。僕ら自身もどうなるのか分からないので、台本を読むことによって、逆算してキャラクターを作っていけばより予測不能な部分が際立つということを学んでいます。

◆6話の台本を読んだとき、どんな印象を持ちましたか?

以前から僕たちが乗っていた5号車だけではなく、6号車も行方不明になっていることがちらほら出ていましたが、5話で実際に6号車もペンディングされていたことが分かり、この荒廃した世界に人がいるというのは、希望なのかなと思いきや…といったことや、人と人との葛藤が凝縮されているのがこの6話です。なので、最初に6話の台本を読んだときは、僕が思っていた結末ではなくて、いい意味で裏切られましたし、人間性が問われるなと感じました。その中で自分がキーパーソンになっているので、この6話に向けてテンションをどう持っていくか監督と話し合いました。

◆米澤を演じる上で、どんなことを大事にされていますか?

明るく口達者なキャラクターなので、例えばみんなが10落ち込んでいても、米澤は半分ぐらいの5にとどめて、常に場を明るくしようというのは意識しています。なので、みんなに引っ張られないように気を付けているんです。だからこそ、米澤が落ち込んでいたら、本当に深刻なんやと視聴者の皆さんに伝えられると思います。

◆米澤を作る上で、台本やHPに書かれていない裏設定があったら教えてください。

ありがたいことに『ペントレ』ファンの方が考察してくださるんです。その考察をプロデューサー陣が見て、僕らに教えてくれるのですが、「米ちゃん、今(殺傷事件の)犯人になってるよ」といった視聴者の方の声を聞くとすごく楽しいです。これまでの米ちゃんの言動とか行動を見て、そういう風に考察してくれてるんやなって。事件の真実が6話でついに明らかになるので、そこも注目してほしいです。

米澤のバックボーンを考えていく中で、学校のときの明るさと、家族といるときの明るさは違うと思うんです。きっとテンションがちょっと低くなったりするだろうし、周りに気を使ってしまう部分も持っているだろうなと自分で考えて、そこは気にして演じています。

◆「米澤ははまり役だ」と言われていますが、ご自身はどう思われていますか?

米澤の明るかったり、よくしゃべるという部分は、自分に似てるというか、ほぼ自分(笑)。すごくぴったりな役なのかなと思います。本読みの段階で脚本の金子(ありさ)さんに「関西弁は任せていい? 語尾とか自分の言いやすいようにしてほしい」と言われたんです。ありがたいことに、生まれてから20数年間ずっと関西で育っているので、関西弁のせりふはスッと言えます。

◆藤原さんはなにわ男子の活動などで、フリップを使った芸を披露されることがありますが、米澤もスケッチブックを使って提案をしていましたね。

まさかフリップがドラマに生きてくるとはびっくりしましたし、1つの武器なのかなと。なので、すごくやりやすかったですし、点と点がつながる部分が多いので、僕自身演じやすかったです。

◆なにわ男子のメンバーからの反響はいかがですか?

みっちー(道枝駿佑)がこれまでに共演した俳優さん方が『ペントレ』に出演されていたり、僕が出てるということもあって見てくれています。みんな考察したり、「どうなるの?」「あれってどういう意味なんですか?」と探ってくるんです(笑)。僕はもちろん知っているので言いたい気持ちを抑えて、「まあまあ」と濁しています。友達からも「見てるよ」「毎週金曜日が楽しみ」と言ってもらえてすごくうれしいですね。

◆現場の裏話を教えてください。

最初に台本読んだとき、未来に飛ばされて、生きるか死ぬかというので、ピリついた感じの現場なのかなと思っていたんです。実際は真逆で、番組公式SNSを見ていただいたら分かると思うのですが、『ペンディングトレイン』と言いながら、電車ごっこをしていたりするんです(笑)。でも、そんなシーンは本編には一切ないので、「俺ら、これしていいのかな」と思ったこともありました。それくらい撮影現場ではカットかかった後は、劇中で本当に大変なサバイバルをしているのか分からなくなるくらいのワチャワチャ感があります。最近はよく山田さんと赤楚(衛二)さんが僕の前で関西弁を違うイントネーションで言ってきて惑わしてくるんです(笑)。お2人とも愛知出身なので、関西弁もあまり違和感ないのですが、変に米ちゃんをまねしてきますし、しかも本番始まるギリギリまでそのエセ関西弁を言ってくるのでつられそうになったことも。僕が標準語でせりふを言ってしまったときは、関西弁で「大丈夫やで」と言ってきたり(笑)、そういった和気あいあいとした感じで撮影が進んでいます。

◆藤原さんから見た出演者さんイチの愛されキャラを教えてください。

愛されキャラは山田さん。最初の頃、劇中では僕らとちょっと対立というか、一目置かれていたので、撮影中はみんな引いているのですが、カットがかかったときに山田さんが「俺、ずっと怒鳴ったりしているから、みんなとしゃべれてすごく楽しいんだよね」と言ってくださるんですよ。それに俺らも「あ、うれしい」と思いましたね。役や作品のことを話したり、たわいもない話だったり、ちょっかいとかも山田さんがかけてくださったり(笑)。皆さん和気あいあいとしていて、山田さんがやっているラジオを聞いた出演者の方が「昨日ラジオ聞きましたよ」とか、山田さんの出演作品を見た方が「めっちゃ良かったです」と声を掛けられていて、愛され座長という感じがします。

◆藤原さんは山田さんとのエピソードはありますか?

僕が始球式をする機会があったときに「藤原君、始球式あるんでしょ?練習しようよ」と声を掛けてくださって、撮影と撮影の合間にキャッチボールさせてもらえたのがすごくうれしかったです。

『ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と』©TBS

◆井之脇海さん演じる加藤と米澤のコンビ感はいかがでしょうか?

回を増すごとに加藤、米澤の絆がどんどん深まっていきます。2人で「こうする?」と動きについて相談していると、プロデューサーさんから「もうちょっと、こんな感じでどうですか?」と意見が入ってきたりするんです。その様子を周りが「2人、すごく仲いいじゃん」とほほ笑ましく見てくれていて、特にいつもニヤニヤ見てるのは赤楚さん(笑)。休憩中に椅子に座ろうとしたら、「加藤さんの横は米澤君が座るよね?」みたいな雰囲気になっていて、僕ら2人が恥ずかしくなってしまうことも(笑)。シーンとシーンの間には、海君と僕もお互い野球が好きで、僕はオリックス・バファローズのファン、海君が横浜DeNAベイスターズのファンなので、「そっちどう?」とか、どっちが加藤で海君か分からなくなるぐらい常に一緒にバディとして話していて、ドラマでもプライベートでもいい関係になっているなと思いますし、僕らのバディ感を楽しみにしていてほしいです。

◆ここまで放送された中で、印象に残っているシーンはどこでしょうか?

見てくださった人に「荷物置きで寝てたね」「どうやって登ったの?」と言われることが多いです(笑)。そこは監督さんと「米ちゃん、どこで寝る?」と言われて、「え、寝れますかね?」と半信半疑で実際に寝てみたら寝心地がよかったので、荷物置きで寝ることになりました。みんなとは違う着眼点というか、米ちゃんの個性が出ているところだなと思います。あとは1話、2話で玲奈(古川琴音)とだいぶバチバチする回数が多かったので、そういうシーンのときに自分の中で“イライラポイント”をつけていました。最初のシーンで玲奈が出ていくときにバーンとぶつかってくるんですが、そこで米澤がフラストレーションがたまったから“イライラポイント1”。2話では玲奈にお菓子を取られたと思ったら違ったみたいなシーンで、米澤も玲奈を疑ってしまって悪いので、「お互い“イライラポイント1”で同点やな」と考えながら、その“イライラポイント”が高くになるにつれて、米澤の関西弁がだんだん強なっていて、ちょっと舌を巻いている感じになるんです。きっと米澤が親に反抗するときこんな感じなんだろうなと(笑)。米澤と玲奈との関係性も再度見ていただいたら6話以降、見方が変わってくるのかなと思います。

◆この現場で学んだことや刺激を受けたことを教えてください。

僕自身、ドラマの経験が少ないので、『ペントレ』が普通やと思っていたのですが、周りの人に聞いたら、「大変だね」と言われて過酷なことを知りました。そして、山田さんの座長っぷりというのは、クランクインからずっと感じています。特に僕がすごいなと思ったのは、僕らだけでなく、レギュラー乗客のエキストラの方を含めた総勢60人ほどでお芝居するところで舵を取ってくださるんです。それに、自分が出てないシーンでも映像をチェックしてくださって「もっとこうなんじゃない?」とアドバイスを下さいます。その中でも僕が感動したのは1日撮影終わった後、皆さんを先に帰してから、最後に帰る姿に「すごくかっこいい」と思いました。そういう姿を見て山田さんについていきたくなりましたし、みんなでこの『ペンディングトレイン』という1つの作品を作ってるんだなっていうのを感じました。

◆エキストラの方など大勢いる現場で大切にしていることは何ですか?

みんなで動くことが多いので、全員で息を合わせないとけがにつながってしまうので、そこはみんなで「こうしましょう」とか、監督さんをはじめカメラマンさんが言ってくださるので、1シーンをみんなで作り上げていることが、この『ペンディングトレイン』の一番の肝なのかなと思います。

◆難しかったなと思ったところはありますか?

台本に「今、ペンディングして何日目です」とか、「水を飲んでいません。食べてません」「ここ数日ではこれしか食べてません」と書かれているので、その状況を想像して演じているのですが、実際見ている人と演じている人では、疲れ具合だったり、1つの動きにしても、たぶん変わってくるので、そういうところは難しいなと感じています。1話完結ではなく、今回1話からずっと続いている分、疲労度を自分の中でより明確にしていかないといけないですし、車両にいるみんなでその度合いを合わせる作業もあるので、今でも苦労しますね。ついつい米ちゃんは元気というイメージがあるので、元気でいてしまうのですが、「さすがにそこまで元気じゃないかも」とご指摘も頂くのできっと最終回までこの調整には苦労しそうです。

『ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と』©TBS

◆もしご自身がペンディングされてしまったら、どう行動しますか?

この『ペントレ』の撮影をしている、していないで、全く変わると思います。今なら、出演者全員が口をそろえて「生きていけそうだよね」と言えてしまうくらいこの作品で、僕らはノウハウを培っています。実際にサバイバルの監修の方が来てくださって、そこで気づけた部分もあるので、その気づけた部分を役に反映しているんです。そのおかげで僕は生きていける自信があるし、実際にもし僕が電車に乗っているときに起こったら、僕がたぶん仕切ると思います。白浜(赤楚)のポジションで、「皆さん、『ペンディングトレイン』って見てました? 僕、その作品に出ていたので知識あります」と言って、脚本どおりに動ける自信があります。ただ、この撮影をしていなかったら、たぶん無口でずっと座っていて、誰かが仕切ってくれることを待つんだろうなと想像しました。ただ、「今、持ってるものを出しましょう」と言われたら、ちゃんと出すタイプだと思います(笑)。

◆藤原さんがその状況下に置かれたら、どういう能力が役立てられそうでしょうか?

僕は米ちゃんと似ていてマイナスな雰囲気になったときに、できるだけプラスの空気に持っていこうとすると思います。極限状態の中で弱音を吐きそうなときに、僕らも撮影期間中に「今何食べたい?」とか言って、みんなで想像するゲームをしたんです。最近だと、“海鮮丼ドラフト”と言って、みんなで好きな具を言って、かぶったらじゃんけんして、理想の海鮮丼を作るみたいなことを待ち時間にやりました。そういうゲームして、みんなで「この後何々食べようね」とか、光を射すような行動をすると思います。

◆では、なにわ男子のメンバーとペンディングしてしまったら、どうなりそうでしょうか?

もし7人で飛ばされたりしたら、みんなでまず笑っちゃいそう。あとは現実に帰れたときにどんな話をしようか考えると思います。「記者会見の練習しようぜ!」と(笑)。ご飯は、リーダーの大橋和也が担当してくれるはず。そこは大橋が毒味して「いける!」となったら、みんなで食べるんじゃないかなと。

◆藤原さんはどんな役回りをしますか?

メンバーとってなると、最年長なので先陣を切って行動したり、あとは『ペンディングトレイン』に出ているから「なんでも聞いて」と言うと思います。今まで演じてきた作品で得た知識をみんなで言って、乗り切りたいですね。

◆藤原さんが思う俳優業ならではの面白さや難しさはどこでしょうか?

まず朝が早いので健康的になります。それと同じシーンでも、いろんな角度から撮影するので、「こんなに時間がかかるのか」と思うことがあって、僕がそこまで芝居経験がない分、新鮮に感じることも多いです。台本を読むにつれて自分の役を理解していくことも面白いところ。自分のせりふを言う前後で皆さんがどういうニュアンス、雰囲気で、どういう動きで演じられるのかなと想像して、現場へ行くのですが、自分が考えていた真逆の演技を目の当たりにしたときは「そういう引き出しがあるんや」と学びもあって、発見が多いです。

◆俳優業をもっとやってみたいと思われましたか?

現時点では目の前の米澤大地をどう演じきれるかを考えているので、もっと演じてみたいというのはこの作品が終わってからだと思います。今は、演じることが楽しい、もっと演技がしたいという気持ちを全て米澤大地に吹き込んでいるので、その場を楽しんで演じています。

◆最後にメッセージをお願いします。

この作品は、日常生活の中で「こんなことがあるんや」とか、当たり前が当たり前ではないということをあらためて気づける部分が多いと思います。皆さん、毎週金曜日を楽しみにしていただきたいです。

PROFILE

藤原丈一郎
●ふじわら・じょういちろう…1996年2月8日生まれ。大阪府出身。B型。

番組情報

『ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と』©TBS

金曜ドラマ『ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と』
TBS系
毎週金曜 午後10時~10時54分

<配信>
Paravi:各話の初回放送直後配信
Netflix:世界配信 日本国内配信中
その後、海外にて順次配信予定

<キャスト>
山田裕貴、赤楚衛二、上白石萌歌、井之脇海、古川琴音、藤原丈一郎(なにわ男子)、日向亘、片岡凜、杉本哲太、松雪泰子 ほか

<スタッフ>
脚本:金子ありさ(『恋はつづくよどこまでも』『着飾る恋には理由があって』ほか)
主題歌:Official髭男dism「TATTOO」(ポニーキャニオン/IRORI Records)
プロデューサー:宮﨑真佐子、丸山いづみ
編成:吉藤芽衣、平岡紗哉
演出:田中健太、岡本伸吾、加藤尚樹、井村太一、濱野大輝

番組公式サイト:https://www.tbs.co.jp/p_train823_tbs/
番組公式Twitter:@p_train823_tbs
番組公式Instagram:@p_train823_tbs
番組公式TikTok:@p_train823_tbs

©TBS

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