テレビ情報誌「TV LIFE」で、今後さらなる活躍が期待されるネクストブレーク俳優&女優の魅力を紹介する連載「#今旬コレクション」。WEB版では、本誌に収まりきらなかったエピソードをスペシャル動画も交えて紹介します。第59回は「タクミくんシリーズ 長い長い物語の始まりの朝。」で、映画初出演にして初主演を務める加藤大悟さんが登場です。
「#旬コレ 7seconds CHALLENGE」加藤大悟
◆まず、出演が決まったときのお気持ちを聞かせてください。
僕にとって初めての映画で初主演を務めさせていただけるということで、最初に聞いたときはすごく幸せな気持ちでした。でも、同時に不安と緊張も感じてドキドキしましたね。また、これまで出演してきた舞台の現場では年上の先輩にお世話になることが多かったんですが、今回は自分より年下のキャストが多かったので“しっかりしないと!”という責任感も感じました。
◆「タクミくんシリーズ」は人気作ですが、そこに対するプレッシャーはありましたか?
原作も30年以上愛されている作品ですし、何度も映像化されているので、もちろんプレッシャーを感じる部分もありました。でも、それよりもとにかく一生懸命やろう! という気持ちの方が大きかったです。相手役の森下紫温君と一緒に僕たちだからこそできる「タクミくんシリーズ」を作って、皆さんにお届けしたいと思いました。
◆台本を読んで感じたことを教えてください。
シリーズものではありますが、今回のお話は始まりのストーリーなので分かりやすかったです。僕がやらなければいけないことも明確だったので、原作や台本を読み込んで監督と一緒に作り上げていければと思いました。あとはとにかく、原作のイメージを壊さないように気をつけて演じなければと思っていましたね。
◆映画ならではの大変さを感じた部分はありますか?
入り時間がとても早くて、朝起きるのが大変でした(笑)。でも大勢のスタッフさんたちが僕たちよりも早くから集まって撮影の準備をしてくださっていて。とても愛を感じましたし、僕も頑張ろうと励みになりました。また、スタッフさんや共演者、カンパニー全員が一致団結しないといいものは作れないというのは、舞台もライブも映像も同じなんだとあらためて感じて。初心を思い出すことができました。
◆加藤さん演じるギイ(崎義一)に対して、共通点や共感できた部分はありますか?
いや…ギイは僕とは正反対なんです。ギイはクールで容姿端麗で人を惹きつける魅力がありますが、僕にはないので…。僕も学級委員をしていたので、クラスの中心だったという部分は似ているかもしれないです。あと、背が高いところも同じですね(笑)。それ以外は全然違うので、ギイに対しては「うらやましいな」という憧れの気持ちが強かったです。でも、ギイの中にも葛藤はあって。完璧すぎるが故に周りの人からの期待の圧を感じて「皆が思う俺でいなきゃ」と思っているかもしれない。そういうところも、いい意味で切なくて魅力的だなと感じました。また、タクミと出会ってからの感情の変化というか、タクミへの思いはどんどん強くなって行くんだけど、それを表に出せない自分に悲しくなるみたいな、かわいらしい部分も見ていただけたらうれしいです。
◆対照的な部分が多いとのことですが、役作りで意識したことはありますか?
僕はギイに対して「男としてカッコいいな、ついていきたいな」と思うんです。なので見てくださる方にも同じ気持ちになってもらうためにはどういうふうに演じたらいいのかを考えて演じました。役を自分に近づけるのではなく、あえて自分と切り離して客観視しながら演じるようにして、原作のイメージを崩さないようにということを念頭において頑張りました。
◆ギイを演じて学んだことはありますか?
タクミに向ける表情一つをとっても、監督が「今のはやりすぎだったかも」などと細かく教えてくださったんです。少しも妥協したくないという監督の思いは、すごく勉強になりました。また、人気作品の主演をするというプレッシャーもいい経験だったと思います。すごくMみたいな発言をするんですけど(笑)、プレッシャーを感じることで強くなれたというか。自分に自信がついて、少しポジティブになれたかなと思います。
◆もともとはネガティブな方なんですか?
はい。すごくネガティブなんですよ。悩み事もありますし、自分に自信が1ミリもなくて。特にネガティブになったときは、母や親友を頼ることが多いです。あとは、自分を「好き」と言ってくださるファンの方の存在にも救われています。今、Hi☆Fiveというボーイズユニットで音楽活動をしているんですが、結成当時からずっと応援してくださっている方もいらっしゃいますし、舞台を見て役者の僕を好きになった後に歌手活動を応援してくださる方もいて。いろんなところで僕を好きになって、応援してくれる声に応えなきゃと常に思っています。ライブや舞台、映画というエンターテインメントを通じて還元していきたいです。
◆ちなみに、友人や周囲の人からはどんな人だと言われることが多いですか?
いい意味で「本当、バカだよね」ってよく言われます(笑)。お調子者の一面もあるからかな。自覚はないですよ! ないですけど…。小さい頃、止まっている車に自転車でぶつかったりしたことはありました。自転車に乗りながら友達と話していて、友達に「前見て!」って言われた瞬間にドンってぶつかるという(笑)。僕からしたら「いや、遅くない? もうちょっと早く言ってよ!」と思いましたけど(笑)。普通なら気付けることに気付けないという点では、やっぱりバカなのかもしれません…(笑)。
◆なるほど(笑)。本作では、主題歌も担当されていますね。
そうなんです。初主演だけでなく初主題歌も担当させていただきました。僕の初めてが詰まっている作品に音楽でも携わることができて本当にありがたいです。主題歌の「0%(ゼロ)」は、もともと「タクミくんシリーズ~」への出演が決まる前に作詞していた曲なんです。監督が僕のライブに来てくださって、そこでこの楽曲を主題歌に選んでいただきました。曲を聴いて監督がどう感じたのかは分からないですが、起用していただいてうれしかったです。
◆加藤さんはソロアーティストとしてライブも行われています。先日2ndライブ「PROLOGUE.B」を終えたばかりですが、普段ライブはどんな気持ちで行っていますか?
僕もNissy(西島隆弘)さんのオタクなので(笑)、ファンの方の気持ちが分かるんですが、やはり新しいライブが決まると「前回と比べてどんなパフォーマンスが見られるんだろう?」とレベルアップを期待してしまうじゃないですか。なので、1stライブを超えるという気持ちで2ndライブに挑みました。今回のツアータイトルに入っていた「B」は「bond(つなぐ、絆)」の「B」で。「一緒に幸せな空間を楽しもう!」というのが僕のモットーなので、ライブを通じて僕とお客様が音楽でつながり合えたら幸いです。また、僕はHi☆Fiveを始めてすぐにコロナ期間になってしまって。ライブはできても、声出しがなくなってしまって悲しかったので、今回から声出し解禁になったのもうれしかったですね。作詞・作曲など楽曲制作にもかなり携わっているので、それぞれの曲の歌詞に込めた思いについても考えてもらえたらと思っています。
◆最後にあらためて映画「タクミくんシリーズ 長い長い物語の始まりの朝。」の見どころを教えてください。
本当に長い間、皆様に愛されている作品なので、今回ギイを演じることができて幸せです。劇中にはいろんな種類の純粋な“愛”が描かれていて、毎回違った視点で見るとその度に発見がありますし、何回見ても面白い映画になっていると思います。僕と紫温君にしか作れない葉山託生、崎義一になったと思うので、楽しんでいただけたらうれしいです!
PROFILE
●かとう・だいご…2000年9月19日生まれ。愛知県出身。A型。主な出演作は舞台「『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage」、ミュージカル「刀剣乱舞」など。
●photo/中村功 text/井上明日香 styling/MASAYA hair&make/伊東真美