未来の荒廃した世界にワープしてしまった電車の乗客たちが見知らぬ土地で共にサバイバル生活を送る姿や、登場人物の過去に秘められた思いが感動すると話題を呼んでいる山田裕貴さん主演の金曜ドラマ『ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と』(TBS系 毎週金曜 午後10時~10時54分)。本日6月16日(金)の第9話で、いよいよ元の世界に戻った萱島直哉(山田)たちが“ペンディング”で体験したことを伝えるために奮闘する様子が描かれる。ここまで走り抜けてきた山田さんに、直哉として過ごしてきた約3か月を振り返ってもらった。
◆この3か月、直哉として過ごしてきて感じたことを教えてください。
直哉は僕の人生の少し前を生きている人のような気がしていて、こんなことを思っていたな、感じていたなということが多かったので、僕の中では振り返っている感覚になりました。赤楚(衛二)君と「9話は最高だね」という話をしたんです。僕もおごっていないし、世界を変えられるとは思っていないけど、多くの人に見てもらえる仕事をしている以上、何か変わるんじゃないかという可能性を信じたいなと。それは、この作品がそういったメッセージ性を持っているから。企画の段階からそういう作品にしたくて、脚本の金子(ありさ)さんと直接お話をさせてもらって、この作品が僕自身なんじゃないかなと錯覚してしまうくらい思いが詰まっています。その僕の思いを全てアウトプットしたいと思って挑んだ3か月でした。
◆キャストの皆さんの印象的だったシーンはありますか?
赤楚君演じる優斗は表情だけで気持ちを伝えるシーンがすてきだなと思います。もちろんせりふのあるシーンも。僕も赤楚君も直哉と優斗の両方の面を持っていると分かり合えたことで、心の奥底でつながることができたんです。だからこそ彼の優斗の影を感じるときの表情に引き込まれました。
(上白石)萌歌ちゃん演じる紗枝は、6話で萩原聖人さん演じる6号車のリーダーの山本に船に閉じ込められたときの叫びは本物だったなと思いました。あと絶妙な“ぽやぽや感”というか(笑)。7話で紗枝が直哉を抱きしめるシーンでは、台本に直哉が紗枝の腕をつかむと書いてあったのですが、直前までつかむかつかまないか悩みました。見え方として、つかんでしまうと直哉と紗枝がそのタイミングでくっついたように見えてしまうのではないかと思って、つかまない選択をしました。紗枝とのシーンは、そういう恋なのか愛なのかといったシーンが多々あったので、いろんなシーンを思い出します。
井之脇(海)君演じる加藤は、8話で玲奈(古川琴音)に「もしここに残るんだったら、生きて生きて生き抜いてほしい」というところが好きで。玲奈もずっとツンケンしてるけど、たまに見せるかわいげというか、本当は寂しいんだと魅せるシーンがいいですよね。
田中を演じる(杉本)哲太さんは僕がやりたいような感じで自由に演じられていて。世界観とキャラクターを壊さないまま、その範疇の中で自由に泳ぎ切っていてベテランの妙を感じます。そして佳代子を演じる松雪(泰子)さんにせりふを語らせたら説得力がすごいです。一緒に舞台をやったことがあるので分かっていたことですが、今回共演してあらためて思いました。
藤原(丈一郎)君も演技経験が少ないと言っていたのですが、6話での泣きのシーンでは「よくあの涙が出たね」と声をかけました。藤原君からも、今のポジションになるまでにしてきた苦労だったりを聞いていたので、だから人の気持ちが分かる人なんだなと思いました。和真(日向亘)と小春(片岡凜)もまだ自分が表現できない部分だったり、感覚を自分なりに悩みながらも、個々にすごく考えながら演じていているなと感じました。
レギュラー乗客のおじいちゃん、おばあちゃんグループも僕すごく好きなんですよね。愛すべきみんなですし、全ての人に感謝を伝えたいです。