「何かを伝えることで自分に返ってくる」アニメ『AYAKA ‐あやか‐』寺島拓篤に聞く作品の見どころと師匠・後輩の存在

特集・インタビュー
2023年06月28日
©GoRA・KINGRECORDS/Project AYAKA

完全新作オリジナルアニメ『AYAKA ‐あやか‐』の放送が、2023年7月1日(土)よりTOKYO MX、BS11他にてスタートする。本作は、アニメ『K』などを手掛けた作家集団GoRAがシリーズ構成・脚本を担当。七つの島が連なる綾ヵ島を舞台に、相棒×師弟×好敵手×兄弟という関係性と、それぞれに宿命を背負った男たちの切なくも美しい絆の物語を描く。

今回は、酒やギャンブルを全力で楽しむ青年・沙川尽義を演じる声優の寺島拓篤さんにインタビュー。シナリオを読んだ印象のほか、師匠・弟子と呼べる存在についてお話をお聞きしました。


◆作家集団・GoRAさんがシリーズ構成・脚本を担当したオリジナルアニメ『AYAKA ‐あやか‐』。シナリオを読んだときの感想を教えてください。

まず、GoRAさんらしい世界設定が面白い! 我々が生きている現実の世界と地続きなんだけれど知らない世界という見せ方がすごいと思いました。また、どうしてこういう島の設定にしたんだろう、この島で何が起きるんだろうと、うっすら想像はできるけれど核心をつかみ切れないバランスも絶妙で。毎回、台本をいただくのが楽しみでした。

◆私、GoRAさんが手掛けた『K』が大好きで!

僕も同じく、大好きでした! 『K』は見せ方もオシャレでしたし、クラン同士のぶつかり合いや人間関係の描き方が見事で、熱くなれる作品でしたよね。本作は『K』ではあまり見ることのなかった、身内感のある作りにはなっていますが、それはそれで物語に深さがあって。底が見えないんですよね。先の展開がどうなっていくのか、ワクワクするストーリーです。

©GoRA・KINGRECORDS/Project AYAKA

◆続けて、寺島さんが演じる沙川尽義のご紹介をお願いします。

沙川尽義はスポーティーな格好でイメージカラーが緑なんだろうなということが、ぱっと見から想像しやすいキャラクターです。序盤は9割近く酔っぱらっていて、大丈夫かなと思いました(笑)。作品を見た方は恐らく「一体、ストロングな缶を何本飲んだんだよ」とツッコミたくなると思います。僕もビックリしました。そんな彼ですが、主人公の八凪幸人に島のことや人間関係、力について説明する描写も多々あって。しかも、物語の中核にある大きな事象について、常に見据えている面も持ち合わせているんです。

◆沙川尽義は主人公・幸人の父親である八凪真人の弟子ですね。

そうなんです。尽義は要所・要所で物思いにふけったり、師匠への思いを馳せたりする表情をするんです。それが最終的に何を意味するのか。本作は大事な場面で、言葉は少なく絵で見せている部分もあるんです。アニメーションとして、いい見せ方だなと個人的には思っています。

◆オリジナルアニメと原作がある作品で、演じる際に意識することや役への向き合い方は異なりますか?

基本的には一緒です。演じるキャラクターがどういう人物なのか、それならどういう表現がふさわしいのか取捨選択していくのが役と向き合うということだと、僕は思っています。どちらかというと、キャストを「選ぶ側」に違いがあるのかも。オリジナル作品は原作のある作品と違い、放送されるまでは読者の方や世間のイメージがほぼない状態なんです。それゆえに、より作り手の方々の「この人だ」というイメージによってキャスティングされると思うんですよね。そのなかで自分が選ばれるというのがうれしいですし、役者としての表現に自信を持てますね。

©GoRA・KINGRECORDS/Project AYAKA

◆先ほどお話があったように“師匠”がひとつのキーワードとなる本作。寺島さんにとって、“師匠”と呼べる存在はいらっしゃいますか?

専門学校に通っていたときに指導してくれた先生は、僕にとっての師匠だと思っています。いつか現場でお会いしたいという思いは常に持っています。

◆師匠から言われて、心に残っている言葉はありますか?

明確に「この言葉」というわけではなく、師匠の存在自体から「こういう人じゃないとプロとしてやっていけないんだな」ということを教わっていました。もちろん技術的なことも教えていただきましたが、そこは現場で身に付いたものも多くて。振り返ってみると、「あのとき先生に言われていたことはこういうことなのか」と思うことが、ちょくちょくありますね。

声優という職業の在り方や見せ方を考えて行動しなきゃ

©GoRA・KINGRECORDS/Project AYAKA

◆先ほど師匠についてお話をお聞きしましたが、逆に寺島さんが弟子のようにかわいがっている方はいますか?

僕、先輩をやるのが下手くそで(笑)。背中を見ていてあげたいという後輩はいっぱいいますが、芝居について直接何かを伝えるということが、できていないんです。今はまだ自分のことでまだ手一杯ですし、上にすごい人たちがいっぱいいますし。

◆まだ先輩方の領域に到達できていないから、後輩に教えるのがおこがましいと思っちゃう。

そうなんです。自分が偉そうに講釈を垂れている場合じゃないだろうと思っちゃって。僕も役者なので、人の芝居に対して自分のエゴで抱く感想はあるんです。ただ、人に対して思っていることを自分ができるかと言われると、そうではないなって。だから、もっともっと自分を高めて、堂々と人に何かしらを言えるようになるまでは、日常的に誰かに何かを教えるのは難しいかなと思っています。

◆ただ、いずれはやってみたいという気持ちはある。

ありますね。興味はありますし、専門学校にゲスト講師で呼んでいただいて自分の経験を話す度に、「何かを伝えることで自分に返ってくる」と思っているので!

©GoRA・KINGRECORDS/Project AYAKA

◆寺島さんが教えて育った弟子たちが活躍する日が楽しみです。

機会があったら頑張りたいですね。もしかすると、教えざるを得ないような状況になることがあるかもしれないですし。声優っていろいろな可能性がある職業だと思うので、これからも楽しみですね。

◆いろいろと可能性や活躍の場が広がっているように感じます。

そうですね。それゆえに、声優という職業の在り方や見せ方を考えて行動しなきゃいけないなと思います。

◆「TV LIFE web」でも声優の方々の話題を取り上げる機会が増えています。

自分がやっている職業を誇らしく、堂々と話せる場がもらえるのは、ありがたいことです。ただ「映像に声をあてる」という部分においては、基本的に昔と変わらないんですよね。

◆メディアへの露出や活動の幅は広がったけれど、声優としての本質は変わっていないし、忘れちゃいけない。

ですね。そして、それはきっと伝えていかなきゃいけないと思います。僕はアニメオタクなので、これからも面白い作品をどんどん見たいんです。芝居だけで作品の面白さが決まるわけではありませんが、芝居が作品のクオリティに関わることはあるじゃないですか。だから、自分たちが学んできた声優としての技術・想いは、これからの子たちにも守ってもらいたいなと思っています。

©GoRA・KINGRECORDS/Project AYAKA

◆今回広くエンタメ情報を扱う「TV LIFE web」でインタビューしていますが、寺島さんが読者のみなさんに推したいエンタメは?

それはもう「Snow Man」ですよ! いまさら推さなくても知っている方々はたくさんいらっしゃると思いますが(笑)。でも、好きで好きでたまらないから推します。YouTubeの動画を見たり、ライブのパッケージを購入して繰り返し見たり、日常に「Snow Man」がありますね。

◆寺島さんはアイドルコンテンツにも出演されていますが、実際のアイドルグループを推していて、参考になる部分はありますか?

影響は多少受けていると思いますね。それこそ心構えとか。アイドルがステージに立つときの見せ方って、本当にすごいんです。僕では到底思い付かないようなファンサービスだったり、パフォーマンスだったり。研鑽を積んできたからこそ生まれたものを見ると、とても感動します。そういうのを僕らは声でどう担えばいいだろうと思うことがあって。僕がアイドルに夢中になっているように、みなさんが僕の演じるキャラクターに夢中になってもらうにはどうすればいいのかって、考えちゃいますね。

◆今日お話を聞いていて、寺島さんはアニメや芝居への向き合い方がストイックな方だなと思いました。

言われてみれば、そうかもしれません。それもこれも、僕の人生のなかで基本的にはずっとアニメがあったから。生きるうえで欠かせないものなんです。ストイックというよりかは、そういう生き方・向き合い方しかできないのかも。

◆本日は貴重なお話ありがとうございました。最後に寺島さんが思う本作の推しポイントを改めて教えてください。

超常バトル的な部分と世界観が相まって、映像美がすごい作品になりそうです。僕らがアフレコした時点でほぼ絵も色もついていたのですが、実際に公開されたPVは、何割も増して進化していました。オンエアされる頃には、全話きっとハイクオリティなものに仕上がっていると思います。みなさんの期待を上回る作品をお届けできる気がしていますので、放送を楽しみにしていてください!

PROFILE

寺島拓篤

寺島拓篤
●てらしま・たくま…12月20日生まれ。石川県出身。主な出演作は『うたの☆プリンスさまっ♪』シリーズ一十木音也役、『アイドルマスター SideM』天ヶ瀬冬馬役、『異世界召喚は二度目です』グレイン・アルモニー役など。

●text/M.TOKU

番組情報

©GoRA・KINGRECORDS/Project AYAKA

『AYAKA ‐あやか‐』
2023年7月1日(土)よりTOKYO MX、BS11にて放送開始
FODにて〈地上波同時〉見放題最速配信
その他配信サイトでも順次配信

〈STAFF〉
原作:GoRA・KINGRECORDS
監督:長山延好
シリーズ構成:来楽 零(GoRA)
モノガタリプランナー:宮沢龍生(GoRA)
アクション監修:柴田裕介
キャラクター原案:redjuice
サブキャラクター原案:TCB
キャラクターデザイン:金子美咲
モンスターデザイン:渋谷亮介
プロップデザイン:佐藤玲子
プロダクションデザイン:田中直哉
コンセプトアート:芳野満雄
3Dセットデザイン:榎本嘉輝
美術監督:海野よしみ
背景美術:プロダクション・アイ
色彩設計:田中英里那
撮影監督:豊岡茂紀
撮影:旭プロダクション
CGディレクター:中島 豊
編集:岡 祐司
音楽:澁江夏奈
音楽制作:キングレコード
音響監督:田中 亮
音響効果:武藤晶子
録音調整:太田泰明(ピーズスタジオ)録音助手:西 美春
録音スタジオ:STUDIO T&T
音響制作担当:濱 亮平
音響制作:ビットグルーヴプロモーション
アニメーションプロデューサー:江里口武志
設定制作:杉川竜太朗
アニメーション制作:スタジオブラン
製作:Project AYAKA

〈CAST〉
八凪幸人:上村祐翔
沙川尽義:寺島拓篤
鞍馬春秋:鳥海浩輔
伊吹 朱:梅原裕一郎
福分茶太郎:梶原岳人
天乃夜胡:榊原優希
一条いばら:花澤香菜
八凪真人:津田健次郎
尼宮百々子:早見沙織
稲生三次:飛田展男
薪田太平:福山 潤
ミタマ:椎名へきる

オープニングテーマ:angela「AYAKASHI」
エンディングテーマ:saji「フラッシュバック」

公式HP:https://ayaka-project.com
公式Twitter:@AYAKA_animePR

©GoRA・KINGRECORDS/Project AYAKA

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