テレビ情報誌「TV LIFE」で、今後さらなる活躍が期待されるネクストブレーク俳優&女優の魅力を紹介する連載「#今旬コレクション」。WEB版では、本誌に収まりきらなかったエピソードをスペシャル動画も交えて紹介します。第61回はドラマ『私と夫と夫の彼氏』(テレビ東京ほか)に出演中の本田響矢さんが登場です。
「#旬コレ 7seconds CHALLENGE」本田響矢
◆最初に台本を読んだときの印象はいかがでしたか?
僕が演じる伊奈周平はポリアモラスな性質を持った人物です。彼が1組の夫婦の間に入っていくという描写が今まであまり見たことがない形の三角関係だったので、まずはすごく楽しく台本を読ませていただきました。同時に、この撮影に入るのが楽しみだなと思いましたね。
◆ポリアモリーの人物を演じる上で、参考にしたものはありますか?
僕はどの作品でも、撮影に入る前に自分が演じる人物の履歴書のようなものを書くことにしているんです。幼い頃から今までどんな人生を歩んできたのか、家族や友人との関係、好きな食べ物などを思いつく限りたくさん書くのですが、周平に関しては今までにないくらい長い履歴書になりました。「複数の人に同時に恋愛感情を抱くのに、嫉妬はするんだ」とか、自分の中にあるものだけでは理解できない部分も多くて考えているうちに長くなってしまったんです。そこでポリアモリーへの理解を深めるために、まずポリアモリーの方が幼少期から今までの生い立ちを詳しく話しているインタビュー記事を探して読んだりしました。あとはそもそも「ポリアモリー」という言葉の由来や、どういう考えのことなのかをあらためて勉強しました。
◆勉強の結果、役柄への理解は深まりましたか?
周平の考えに共感できるシーンやせりふももちろんたくさんあったのですが、正直何度考えてもどうしても理解できない部分はありました。そういうところは監督に確認しながら、1シーンずつ丁寧に周平の感情をかみ砕いて演じるようにしていました。事前に台本を読んだ段階で、僕的に「周平はこういう気持ちでこのせりふを言っているんだろうな」と想像していた部分が、監督に聞くと少し違っていた…ということもあって。周平の一番近くで寄り添って、愛して、理解しようと努めていたつもりだったのでそのときは悔しさも感じました。
◆本作は漫画原作の作品ですが、原作も読まれましたか?
もちろんです。ドラマには原作にない周平の過去のエピソードも描かれている分、原作と台本で周平の印象がちょっと違うなと思う部分もありました。そういうところは、僕から「このシーンはこういうふうに動いた方が、周平の行動に筋が通ると思います」などと相談させていただいたりして。みんなで入念に相談しながら作り上げていきました。考えれば考えるほど深みにハマっていく感じで、もう、沼でしたね。
◆それほど掘り下げがいのある役柄だったんですね。
はい。自分でせりふを話していて「これ全部ウソじゃん」と感じるせりふもあって。そのせりふが周平の本音じゃないって分かるんですよ。そういう瞬間のせりふって、量としては2行くらいしかない短いものなんですが、不思議なことに全く頭に入ってこないんです。そういう経験も大変だったけどすごく面白いなと思って。楽しかったです。
◆役とご自身の共通点はありましたか?
周平の人といる時間を大切にしたいという考えは共感できました。僕も人が好きで、休みの日も1人で過ごすより友達に会いたいと思うタイプなんです。
◆何をして遊ぶことが多いですか?
カフェに行って、ランチを食べたりコーヒーを飲んだりしながら近況報告をしあったりすることが多いです。僕はファッションが好きなので、服好きな友達と一緒に服を見にいくこともあります。あと、悩み相談をしたりもしますね。1人で考えているとどうしても暗い方、暗い方に考えてしまいがちなんですが、友達に相談すると「そんなことで悩まなくていいじゃん!」と言われることもあって、ポジティブな気持ちになれるんですよね。でも逆に、1人の時間もそれはそれで落ち着けるので好きですよ。1人で映画を見に行ったりもしますし。あと最近は「オシャ活」にハマっていて。いい感じのおしゃれなカフェに入って、オシャレな気分を味わいながらランチを食べて帰る、みたいな(笑)。オシャレなカフェって、店内のBGMも周りにいるお客さんもみんなオシャレなんですよ。そういうお店に入るとモチベーションが上がるんですよね。
◆友達や周りの人から本田さんはどんな人だと言われることが多いですか?
どんな人かぁ…。怒られることは結構あります(笑)。僕、時間にルーズなんです。例えば友達と「夜の9時から一緒にゲームしよう」と約束しているのに、10分、15分くらい遅刻しちゃって怒られる、ということがよくあって…。自分でもダメなところだなと思ってるんですが…。
◆何をしていて遅刻してしまうんですか?
考えなくてもいいことを考え始めちゃうと、止まらなくなっちゃうんです。例えば9時からゲームの約束をしているなら、8時くらいにご飯を食べて、8時半くらいからお風呂に入れば間に合うじゃないですか。間に合わせるために行動している途中で、ふとクローゼットが目に入ると、その瞬間に「明日、何を着ようかな」って考え始めちゃったりして。気付いたらどんどん時間が過ぎていってるんですよね…。
◆なるほど。目の前に現れたものに考えが持っていかれてしまうんですね(笑)。
はい。友達には申し訳ないです…。話している途中でも、その時自分が演じている役に関連するフレーズがちょっとでも出てきたりすると、その瞬間から役のことを考え始めちゃうし。頭に浮かんだことを忘れる前に整理して解決したいのかもしれません。
◆では、そんな本田さんがご自身にキャッチフレーズをつけるなら?
「食べるの大好き!」ですかね(笑)。さっきオシャレなカフェの話をしたばかりですが、カツ丼やラーメンなど、ガッツリしたご飯も好きなんです(笑)。いつもSNSでおいしいご飯情報を探しているので、最近はそればかりお薦めされるようになってしまいました。一時期は自炊もしていましたが、それよりも外でおいしいお店を見つける方が好きです。
◆他に趣味はありますか?
温泉に行くことですかね。最近世間はサウナブームですが、僕はサウナじゃなくて温泉に入るのが好きで。身体中に染み渡る感じがいいんですよね。温泉旅行に行ったらそこの温泉の素を買って帰って、家のお風呂に入れて温泉気分を味わったりもします。
◆では将来こういう俳優になりたいという目標はありますか?
正直、先のことを考える余裕はまだないです。目の前にあるものにしっかりと向き合って、一つ一つの作品を大切にやっていくことで精いっぱいで。でも今、本当にお芝居が楽しいので、この先もずっと楽しくやっていけたらいいなとは思います。
◆お芝居をしていて楽しい瞬間はどんな時ですか?
悩んでいるときが楽しい瞬間なんだと思います。作品を通じて「お芝居ってこういうものなんだな」と理解して、また次の現場に入るとその考えが一新される…みたいなこともあって。その都度、自分なりに悩んで答えを出すようにしているんですが、悩むこと自体が楽しいです。
◆悩んだり、考えたりすることがすごく好きなんですね。
はい。でも、そんなことまで考えなくてもいいよ!みたいな無駄なことまで考えちゃうことも多いですよ。例えば部屋の中に小さい虫が飛んでるのを発見して「窓を閉めてたのに、この虫どこから入ってきたんだろう…?」みたいなささいなこともずっと考えてしまったりもします(笑)。
PROFILE
●ほんだ・きょうや…1999年6月20日生まれ。福井県出身。主な出演作はドラマ『ANIMALS-アニマルズ-』『正しい恋の始めかた』『明日、私は誰かのカノジョ シーズン2』など。
●photo/中村 功 text/井上明日香 styling/浅井直樹(Vigroo)hair&make/岩村尚人