『スイートモラトリアム』近藤紗良P&久保田修Pが明かす鈴鹿央士、小西桜子、田辺桃子の魅力と制作の舞台裏

特集・インタビュー
2023年07月10日
『スイートモラトリアム』©『スイートモラトリアム』製作委員会

主人公の柏木心(鈴鹿央士)と元彼女・大森りんご(小西桜子)、今彼女・上条小夜(田辺桃子)の三角関係を中心として、恋愛に、生き方に不器用な若者たちの等身大の姿を描く、じれったくて切なくて甘いラブストーリー『スイートモラトリアム』(TBS 毎週火曜 深夜0時58分~1時28分 ※一部地域を除く)。7月11日(火)放送の第8話では、心、りんご、小夜の3人が一つ屋根の下で一緒に暮らすことになり、ますます心が元彼女と今彼女のどちらを選ぶのか気になる展開に。本作のプロデューサーの近藤紗良さんとスーパーバイジング・プロデューサーの久保田修さんに制作に当たって意識したこと、鈴鹿さん、小西さん、田辺さんの魅力、終盤の見どころなどを聞いた。

◆原作と出会ったきっかけを教えてください。

近藤:1年半ぐらい前にたまたま読んでいて、気に入っていました。今回、TBSさんからドラマ化のお話があって、ぜひやりたいですと手を挙げて実現にいたりました。まず心が今カノと元カノと3人暮らしをするところがかなりエッジの効いた設定だったので、そこが非常に面白いなと。もう一つは、ラブストーリーではありますが、その3人とも誰かに認めてほしいという気持ちから、他者に依存してしまったり、逆に頭でっかちになって素直になれなかったりと、現代の若者特有の在り方が描かれていてすごく面白いなと思いました。そういった3人が成長していく姿を丁寧に描いていければなと。

◆現代の若者特有の在り方が面白いということでしたが、実際に若者からヒアリングして落とし込んだことはありますか?

近藤:高校時代のパートもあったので、実際に若い俳優さんたちをオーディションしてキャスティングさせていただいたのですが、そのオーディションの場で最近の若者たちのコミュニケーションの取り方だったり、具体的に何がはやっているのかをヒアリングしました。例えば、原作ではりんごが雑誌のモデルとしてデビューしているのですが、若者たちにはインフルエンサーの方がなじみがあると思ったので、そこはドラマオリジナルということで、インフルエンサーという設定にしました。

◆他にもドラマオリジナルの設定を取り入れたところはありますか?

久保田:原作と時代が少しずれているので、当然現代に合わせてきちんとアレンジはしないといけないという前提はありました。それ以外にドラマ版にするに当たって、特に意識したことはあった?

近藤:ドラマの方が原作よりも尺が短い中で各キャラクターについて描いていかなければならなかったので、キャラクターを特徴づける設定をしました。小夜だったら心理学部に通っていること、しげ(中島歩)は古着屋だけではなく、アパレルブランドも起業しているという設定にしてそれぞれ強化していきました。

『スイートモラトリアム』©『スイートモラトリアム』製作委員会

◆キャラクターを描くに当たって、鈴鹿さん、小西さん、田辺さんを選ばれていらっしゃいますが、あらためて3人でよかったなと思う部分はどこでしょうか?

近藤:大前提として3人ともお芝居がとても上手なので、すごく安心感がありました。撮影前に5日程度リハーサルを行ったのですが、その期間中にコミュニケーションを取り合っていただいたことで、通常の撮影よりも少し早めに打ち解けた雰囲気を作り出していけたのかなと思います。

久保田:普段こういった深夜ドラマで撮影前に5日のリハーサルを取るということはほとんどないんです。ですけれども、今回はチーフ監督の玉田(真也)さんからのリクエストで、心、りんご、小夜、田中(若林時英)、しげの5人にご協力いただいて、撮影前のリハーサルをやらせていただきました。打ち解けるのはもちろんですが、クランクインの前段階で、各キャラクターをしっかり皆さんがつかんだ上で撮影に入っているっていうことが違うところかなと思います。

◆撮影前のリハーサルは監督からのリクエストだったんですね。

近藤:そうです。監督オファー時から「クランクイン前にリハーサルをやりたい」というお話があったので、我々もその前提でキャスティングしていきました。

◆鈴鹿さんもインタビューの際に「お芝居について熱く語り合って作り上げることができた」とおっしゃっていました。

近藤:今回、撮影の体制的にもスケジュールをしっかりと取った上でお芝居を撮っていきたいと組んでいたので、そういったディスカッションをする時間もきちんと取れたんです。各俳優が「このせりふってこういう意味なんじゃないか」という疑問点や、監督が「これはこういうふうに演じてほしいんだ」ということをお互いすり合わせて作っていけたのかなと思います。

◆本作において特にこだわったことはありますか?

近藤:チーフの玉田監督がもともと舞台をやられている方なのですが、「僕の好きな女の子」という映画を撮られていて。その作品は恋人未満の2人の物語なのですが、その2人の初々しいやりとりなどがビビットに描かれているんです。この『スイートモラトリアム』もそういったところを切り取ることができたらなという思いでお願いしました。なので、第3話の心と小夜のラブホテルの帰り道のシーンは台本で読むとただ歩きながら話して帰っているだけのシーンなのですが、玉田さんによって恋人たちの他愛もないけどいとおしい瞬間をしっかり演出していただけたなと感じています。

◆本作はU-NEXTで先行配信されていますが、配信されるからこそこだわったところはありますか?

久保田:気をつけたのは、通常のテレビドラマの放送ではテレビコマーシャルがその前のシーンとその次のシーンを一度リセットするので、意外とシーンが飛んでいても気にならないように感じるんです。ですが、今回のように配信される場合は一連で見られることもあるのでシーンとシーンのつながりを、心情的なものなどを含めてきちんと成立しているかどうか編集の段階でしっかりと確認しました。

『スイートモラトリアム』©『スイートモラトリアム』製作委員会

◆映像としてこだわった点を教えてください。

久保田:今回のカメラマンがもともと映画のカメラマンなので、いわゆる画面のトーンを「ルック」って言うんですけど、少し粒子をのっけたフィルムルックに仕上げています。

近藤:お話自体が若者たちのリアリティある姿を描いているので、パッケージ感を少しでも華やかな形にしたいと思っていました。オープニングをポップでかわいらしい音楽に合わせて、フィルムカメラで撮った写真を見せていくようにさせてもらったり。エンドクレジットも背景に現場で撮った写真を使わせていただいて、華やかになるようにと心がけました。SNSで感想を見ていても、フィルム写真は若者たちにも刺さったのかなと感じています。

◆他にはどんな反響が届いていますか?

近藤:キャスティングがハマったというのは実感しています。あと心がりんごと小夜のどちらを選ぶのかが、本当に分からないドラマなので、そこにいい意味でやきもきしてもらったり、もん絶してくださってる様子を知ることができて、とてもうれしいです。

◆出演者の方にリクエストしたことはありますか?

近藤:監督からのリクエストなのですが、玉田さんがお芝居のテンポ感を重視される方で、「このせりふに対して相手がこのせりふで返してくる、その間はこれぐらいの間がいい」ということを細かく詰めていきました。その作業があったことによって、ドラマを見ていても気持ちのいい会話のやりとりがされていくなと思いました。

久保田:玉田さんは気持ちの面の演出はもちろんですが、そういったテンポ感といった、映像として撮ったときにどうなるのかというところをきちんとやってくれるんです。なので、気持ちだけを説明する演出ではなくて、具体を指示してくれるので、そういった意味で演者さんもやりやすかったのではないかなと思います。

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