◆今回は主演ということでせりふ量も多いと思いますが、これまで以上に試練ですか?
そうですね。バリキャリの人たちは使うのだろうけど、私は知らないなという言葉が出てきたりもしましたし。ホストの人たちの中での言葉もあって…。ただ、連ドラで1話から最終話まで自分がずっと出るということが初めてだったので、徐々に自然とスッと入っていけるようになりました。
◆福本さんや楽駆さんたちのホストぶりは山本さんから見ていかがでしたか?
私は実際に「エーイチ」のホストたちにその役柄で接客をされるわけではなく、どちらかというと育てるという意味でみんなを見守る立場だったのですが、一生懸命頑張っている姿はやっぱりすごくいとおしかったです。実際に埼玉から出て歌舞伎町で撮影をしたときは、根がちゃんと埼玉県民になっていたのか「歌舞伎町が怖い」とみんなで言いながら撮影をしていました。みんな言わずともちゃんと自分のキャラクターが染みついてるんだなと思って、その瞬間はすごく尊かったです。ただ今回、ホストのイメージをいい意味で裏切る話になっているので、皆さんが想像しているホストではないと思います。
◆撮影期間中のハプニングなどを教えてください。
私のキャラクターがあまり笑わない設定だったんですが、みんなはすごくバカしているので、笑いすぎてNGを出しちゃうことがよくあります(笑)。芸人の守谷さんがもう本当に面白くて。芸人さんの才能ですかね、ト書きに1行あるだけのことをすごく膨らませて面白くしてくださるんですよ。そして木村さんも笑かしに来るので、それを我慢することが大変でしたね。
◆カメラが回っているときも笑わせられたりしましたか?
みんな優しいのでそれはなかったですが、引きずっていました(笑)。あとはなんと言ってもプロデューサーの杉田さんが一番笑ってくださる方で、杉田さんたちがいるベースが撮影しているところから少し離れたところにあるのに、監督やプロデューサー陣の笑い声が聞こえてきて、うれしいけどつられて笑っちゃうこともあって(笑)。これだけスタッフさんが笑ってくれるということは、正解だと言ってもらえているような感覚になったので、それもすごく幸せでしたね。
◆コメディならではだなと思ったことはありますか?
私、コメディはアクション以上に難しいだろうなと思っていたのです。相手の呼吸感だとか、面白いを狙ったら面白くなくなってしまうなと。でもそこに関しては男性キャスト陣が本当に素晴らしい才能を持っていて。撮影に入る前に2日間リハーサルがあったのですが、ドラマでリハーサルを2日間いただけるということもすごくありがたかったですし、その期間中に既に1か月くらい私たち一緒にいたよねというぐらいに仲を深められたので、こんな理想的な環境はなかったという中で作品が撮れています。
◆初めてのことが多かったということですが、その中でも印象に残っていることは?
初めての主役で座長で、今までは自分のことだけを考えていればいい環境の中でいたのですが、初めて自分以上に周りの子たちはちゃんと楽しく現場に入れているかなとか、そういうことを考える帰り道がすごく多かったです。出演者の皆さんの話を聞いてると同じように、「今日の自分はこれでよかったのかな」とか、「あのシーンはこれでよかったのかな」と同じ課題や目標を見据えている方たちが自然と集まったといいますか、それだけ熱意のある方たちと一緒にできたので、そこに関しては常に思い出深かったですし、面白いようなネタは出てこないんですけど、ただただ本当にキャストの方たちに感謝しています。
◆以前、『鎌倉殿の13人』のときのインタビューで、「20代のうちにラブコメを経験できたらうれしい」とお答えいただいていたのですが、実際にラブコメに挑戦してみて思ったことは何かありますか?
かないましたね。これまで、ゲストの1話でカップル役とかはありましたが、回を増すごとにときめいていく、キュンとするっていう作品が初めてで。挑戦してみて、想像以上にアクションみたいな感覚が強かったです。大人なラブをしているわけではないですが、見ている人がどうやったらときめいてくれるかなと、実際に現場で福本君や楽駆さんとも話をしました。「この角度の方がちょっとそれっぽくない?」とか、「ここで1回目を合わせたら、ちょっとキュンとしない?」とか、アクションの手合わせみたいな感じで、「この技を出したら、結構パンチ食らうんじゃない?」みたいなノリで現場では話せていたので、ラブコメだからと構える自分はいなかったです。3人とも胸キュンシーンの経験が少なかったので、すごくフレッシュな気持ちで、ラブコメというジャンルを挑戦できたのは、2人が同じ立ち位置に立ってくれたから。気を使わずにアイデアをお互い出しながら、お芝居をできたことに助かったところもあります。ただ、胸キュンしてもらえるかが心配です。保護者に見えてしまうんじゃないかなと…(笑)。
◆数字しか信用しないっていうキャラクター設定があると思いますが、山本さんご自身はいかがですか?
こっちが信用しないと絶対信用してもらえないと思っています。今回の一番の課題でもあったのですが、どう年下のキャストの方たちと仲を深めるか。それと女性一人だったので、そこに対して気を遣わせることはしたくないなとも思っていたので、率先してボケたりしていました(笑)。でもそのおかげか撮影も後半ぐらいのときに、「女優さんなのに気を遣わずにいれるからすごく良かった」って言ってもらった瞬間があって、一つ課題が成功したなとうれしかったです。山本千尋の性格としても一つ今回成長できた部分ではあるかなと思います。
◆今回、主演ということで、山本さんにとって一つのターニングポイントになるのかなと思いますが、今後どんな役柄を演じてみたいとかありますか?
演じてみたい役は山ほどありますが、どうも私は直近でした役とは真逆な役を次はしたくなるみたいで…(笑)。今回のゆりかはコンサルタントで冷酷冷淡だったので、たまにコメディにも参加できましたが、周りの方たちがあまりにバカ騒ぎしているキャラクターだったので、今度は私も誰よりもバカしているぐらいな作品にも出てみたいです。そしてこれからドラマの回を重ねて見てもらえると分かると思うのですが、みんなが成長していって、私自体もキャラクターとしてすごく成長したと思うので、引き続きこの作品がもっと長く愛される作品になるといいなって思います。この『埼玉のホスト』に愛着がありますし、まだまだ続けられる作品だなと思っているので、そこは個人的にもすごく期待しています。ドラマストリーム枠初のシーズン2、もしくは映画化をこのメンバーならできるんじゃないかって思っています!
◆「エーイチ」の立て直しに奮闘する役ですが、山本さんご自身が今、奮闘していることはありますか?
奮闘ではないのですが、いつも通りの自分でいようというのは心がけていますね。
私、わりと同じことをずっとするのが好きで、ルーティン女と言いますか。ある意味小学生からしていることが変わらないぐらい、日々同じことしてることに意味があるんじゃないかというのが、自分のポリシーでもあります。
◆中国武術をされていたときは、いかがでしたか?
当時はもう自分にいっぱいいっぱいで、とにかくもう練習あるのみと思っていましたね。練習量としては絶対誰にも負けていないっていう負けず嫌いなところはありました(笑)。人が10回してるなら私は12回してるぐらい強気でした。でも、周りが頑張ってるっていう環境に置かれていたからこそ、自分が頑張ってるみたいな意識もなくて。これは本当に私の得しているところですが、学校もそうでしたし、今の現場もそうですし、周りが自分以上に頑張っているから、自分ももっと頑張らないとっていう環境に置いてもらえて恵まれているなって思います。
◆お芝居の現場でそういったことは感じたりしますか?
「いいお芝居をするぞ」みたいな、みんなの若いからこそ出てくるエネルギーみたいなのをすごく肌で感じたのですごく新鮮でした。今の自分に悔しがってる方たちがいて、 明日はどういう自分で課題を持てるかっていう方たちが目の前にいると、武術時代の自分や周りを思い出したじゃないですけど、確かにずっとこうやって高めていくっていう姿って、やっぱり忘れがちになる部分ではあるから、すごくいい刺激をもらったなと思います。
◆最後にメッセージをお願いします。
「埼玉のホストってどういうこと?」みたいな意見がすごい多いと思いますが、本当にその考えのままで見てもらった方が楽しんでもらえる作品になっていると思っています。皆さんが思い描いているホストとは真逆かもしれないですが、一人一人にすごく愛があって成長していく、勇気をもらえるドラマです。どこか懐かしくもありながら、一周回って新しいドラマにもなっていると思うので、みんなのその成長っていうものを一番に見てほしいなと思います。
PROFILE
山本千尋
●やまもと・ちひろ…1996年8月29日生まれ。兵庫県出身。O型。出演作にドラマ『テッパチ!』『未来への10カウント』『着飾る恋には理由があって』『誰かが、見ている』『鎌倉殿の13人』『今際の国のアリス』シーズン2、映画「キングダム2 遥かなる大地へ」など。
番組情報
ドラマストリーム『埼玉のホスト』
TBSほか
2023年7月25日(火)スタート
毎週火曜 深夜1時~1時30分
<配信>
地上波放送後、「TVer」「TBS FREE」にて無料1週間見逃し配信
先行有料配信:日本国内では毎週火曜配信 その後、海外にて順次配信を予定
<キャスト>
山本千尋、福本大晴(Aぇ! group/関西ジャニーズJr.)、楽駆
木村了、中沢元紀、田中洸希、濱尾ノリタカ、守谷日和、中山咲月 ほか
<スタッフ>
製作:『埼玉のホスト』製作委員会
制作プロダクション:TBSスパークル
脚本:伊吹一
プロデューサー:杉田彩佳
協力プロデューサー:磯山晶
配信プロデューサー:今井夏木、杉山香織
演出:古林淳太郎、坂上卓哉
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/drama_stream_tbs/
公式Twitter:@drama_streamtbs
公式Instagram:@tbs_drama_stream
公式TikTok:@drama_stream_tbs
©『埼玉のホスト』製作委員会