松井玲奈、自分の居場所を探す異母姉妹を通して「生きていくことの難しさと美しさが描かれている」映画「緑のざわめき」

特集・インタビュー
2023年08月19日
「緑のざわめき」©Saga Saga Film Partners

9月1日(金)公開の映画「緑のざわめき」より、主演の松井玲奈のオフィシャルインタビューが到着した。

本作は、福岡と佐賀を舞台に、3人の異母姉妹が織りなす物語。「浜辺のゲーム」の新鋭・夏都愛未監督が、大江健三郎や中上健次の文学にインスパイアされ、葉脈と血のつながり、ファミリーツリー、性と聖のつながりをテーマに描くオリジナル作品。3人の異母姉妹に、元カレ、女子会メンバーらが交わり、物語は思いもよらない方向へと進んでいく。

女優を辞め、東京から生まれ故郷のある九州に移住しようと福岡にやってくる主人公・小山田響子を演じるのは、主演映画「よだかの片想い」や、NHK大河ドラマ『どうする家康』お万役でも存在感を示した松井玲奈。

響子の異母妹でありながら彼女をストーカーする菜穂子役を、「mellow」でヒロインを演じた岡崎紗絵、同じく響子の異母妹で佐賀の集落に暮らす少女・杏奈役を、オムニバス映画「21世紀の女の子」でも夏都とタッグを組んだ倉島颯良が演じる。

ほか、響子の元カレ・宗太郎にダンス&ボーカルユニット「ONE N’ ONLY」のRAP&ダンサーの草川直弥、菜穂子の友人・絵里に「忌怪島/きかいじま」での熱演も記憶に新しい川添野愛、響子の親友・保奈美に「蒲田前奏曲」の松林うらら、杏奈に思いを寄せる透に「草の響き」の林裕太。

村に住む長老にカトウシンスケ、杏奈の伯母・芙美子に黒沢あすかなど、フレッシュな若手や実力派が集結している。

「緑のざわめき」©Saga Saga Film Partners

◆脚本を読んだ時の感想はいかがでしたか?

ちょっと人間模様が複雑なお話だなと思ったんですけれど、夏都監督に、「人と人との関わりの物語であって、ファミリーツリーだったり葉っぱの葉脈のイメージがこの作品にはあって、関わり方・在りようが木々の葉みたいにいろんなところにあるけれどもつながっている、それが3姉妹のつながりにも影響してくる」というお話を聞いた時に、自分の中でも腑に落ちるところがありました。

実は最初にいただいた脚本が、4時間分ぐらいの、「ロード・オブ・ザ・リング」みたいな、読めども読めども終わらない超大作だったんです。けれど、ある意味そぎ落としていない監督が一番やりたいことを先に提示していただいたおかげで、映画では描かれていないそれぞれのキャラクターのバックボーンを事前に知ることができました。役の情報が全て織り込まれていたのですが、その中でも監督が特に描きたくて表現したい部分が今の脚本になって作品になりました。最初の稿は、ほぼ資料でした(笑)。

◆響子役を演じるにあたり、何を大事に演じましたか?

響子は、お父さんがいなくなっていて片親で、病気を患っていて。女優を辞めたのですが、私には家族がいるし、病気にもかかっていないし、女優の仕事も続けられているし。と、並べた時に真逆だったので、それを分かったつもりになったらダメだなと思いました。彼女に寄り添うつもりで、友達の話をしっかり聞くみたいな気持ちでいただいた資料や脚本を読み込む中で、どういう表現ができるかということを第一に考えていました。それでもやっぱり全ては理解ができないからこそ岡崎さんと倉島さんと一緒にお芝居をして、彼女たちが役として乗っかってきた時に、響子として出てきた気持ちを大切にして、その時に初めて「彼女はこういう気持ちだったんだ」と気付ける瞬間を大切にしながら演じていました。

◆岡崎紗絵さんとの共演はいかがでしたか?

岡崎さんは、初めて会った時から前のめりというくらい「玲奈さんのことを教えてください!」みたいな、「菜穂子がいる!」と感じるくらいぐいぐいきてくれました。

◆倉島颯良さんとの共演はいかがでしたか?

倉島さんとは本が好きという共通点があったので、お互いに今読んでいる本や好きな本を共有し合うというのが、ある意味姉妹でもあり得そうな関わり方だなと思っていて、撮影の待ち時間がうれしかったです。彼女が待機場の畳の上で寝ているのを見ていると、すごくほほ笑ましい気持ちになりました。

◆黒沢あすかさんとの共演はいかがでしたか?

黒沢さんもすごく強い想いを持ってこの作品に臨んでくださったというのを、クランクアップの時に知りました。「年齢を重ねていっている自分にこういう大切な役を任せてくれた監督に感謝しています」と涙しながら語ってくださって、その想いはお芝居から伝わってきていました。姉妹に関わってくる大事な役を演じることができてうれしかったというお話をしていただきました。撮影中、黒沢さんには、包容力みたいなものがずっとあったんです。そこに甘えていた部分があったのですが、それが腑に落ちました。完成した映画を見て、黒沢さんと一緒に演じたシーンも大切な場面になっているなと思いました。

「緑のざわめき」©Saga Saga Film Partners

◆佐賀での撮影はいかがでしたか?

緑が多いところや田んぼの中や茶畑などのロケ地に行って、監督がこのタイトルをつけた理由だったり、緑の多いところで撮影したいと言っていた理由が分かった気がしています。響子が生まれ育った場所でもあるので、彼女のこれまでの人生のことを感じることができて良かったなと思います。響子の実家も、趣があって、時間が刻まれている感じがすごく良かったです。

◆完成した映画を見ていかがでしたか?

撮っている間は場面場面で起きていることを感じるのに精いっぱいだったんですけれど、完成してつながったものを見た時に初めて夏都監督が何を表現したかったかが明確に見えた気がしています。引きのカットが多い作品なんですけれど、だからこそ、監督が一番伝えたいことになると、登場人物のクロースアップが増えるんです。そのメリハリが面白いなと思いました。

◆本作の見どころはどこだと思いますか?

人と人との関わり方というのが、複雑ではあるんだけれども、つながった時に人が生きていくことの難しさと美しさというものがこの作品の中で描かれている気がします。人と人同士がつながった瞬間をぜひ見ていただきたいと思います。

◆読者にメッセージをお願いします。

一度だけでなく、二度三度見るととても面白い映画だと思っています。それは、「二度三度見てほしいです」ということではなくて、とても考察しがいがある作品だと思うからです。謎の部分が多かったり、登場人物一人ひとりの表情にしても、なぜこの時こういう顔をしていたのか、それがどこにつながってくるのか、過去に何があったんだろう、ということが、考えれば考えるほど面白い作品だと思っています。なので、一度見て、作品の大枠を知った上で、二度三度見ると、作品をよりよく知ることができたり、描きたかったことの本質をさらに深く知ることができるんじゃないかと思います。

「緑のざわめき」©Saga Saga Film Partners

PROFILE

松井玲奈
●まつい・れな…1991年7月27日生まれ。愛知県出身。2008年デビュー。主な出演作は、「よだかの片想い」(安川有果監督)、「幕が下りたら会いましょう」(前田聖来監督)、NHK連続テレビ小説『まんぷく』『エール』、NHK大河ドラマ『どうする家康』、舞台「ミナト町純情オセロ ~月がとっても慕情篇~」(いのうえひでのり演出)など。現在放送中の『やわ男とカタ子』(テレビ東京系 毎週月曜 午後11時06分~)では、ヒロインを演じている。

作品情報

「緑のざわめき」
2023年9月1日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

松井玲奈 岡崎紗絵 倉島颯良
草川直弥(ONE N’ ONLY) 川添野愛 松林うらら 林裕太
カトウシンスケ 黒沢あすか

監督・脚本:夏都愛未
プロデューサー:杉山晴香/江守徹
撮影:村松良 照明:加藤大輝 音楽:渡辺雄司
配給:S・D・P
製作:「緑のざわめき」製作委員会

公式サイト:https://midorinozawameki.com/
公式ツイッター:https://twitter.com/midori_zawameki
公式Facebook:https://www.facebook.com/midorinozawameki

©Saga Saga Film Partners

 

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