テレビ情報誌「TV LIFE」で、今後さらなる活躍が期待されるネクストブレーク俳優&女優の魅力を紹介する連載「#今旬コレクション」。WEB版では、本誌に収まりきらなかったエピソードをスペシャル動画も交えて紹介します。第68回はドラマ『アオハライド Season1』(WOWOWほか)で主演を務める出口夏希さんが登場です。
「#旬コレ 7seconds CHALLENGE」出口夏希
◆もともと出口さんは原作のファンだったそうですね。
そうなんです。私が初めてこの作品を知ったのは中学生のときだったのですが、漫画と小説の両方を読むぐらい大好きでした。私の周りで「洸がカッコいい!」と話題になっていて、私も見事に洸にハマり(笑)、友達と一緒にときめいていました。
◆洸のどんなところに魅力を感じていましたか?
クールで無口で、「他にはあんまり興味がありません」みたいなところとか、もう立っている佇まいだけでカッコいいんですよ。まさに洸は私の好きな男性のタイプの一人です(笑)。
◆そうなんですね。当時は洸に恋しながら原作を読んでいたと。
はい。それもありますし、私も高校生になったらこんなふうに仲間たちとキラキラした青春したいなという、憧れの気持ちが強かったですね。
◆憧れの作品に双葉役で出演すると聞いたときはどんな気持ちでしたか?
うれしすぎて、思わず叫んでしまいました(笑)。いざ自分が憧れの世界観で憧れの役を演じることになり、あらためて漫画と映画とアニメを見返したんです。今回は原作をできるだけ忠実に再現したドラマにすると前もって聞いていたので、参考にしようと思って。でも逆にいろいろと見すぎてどう演じたらいいのか分からなくなってしまって、そこはちょっと反省しました(苦笑)。
◆双葉を演じるに当たって心掛けたことはありましたか?
原作の双葉をどう表現したらリアルに近づけられるのかずっと心掛けていましたが、いざ自分が双葉を演じるとなると、キャラクター感が強くなりすぎてしまったり、「こんな感じだったっけ?」と違和感を感じてしまったりして。原作ではこんなにドキドキしていたのに、そのドキドキを伝えるにはどうしたらいいのかとても悩みました。
◆監督からディレクションされたことや、こう演じてほしいと言われたことはありましたか?
監督とは本読みの時点から撮影が終わるまで、ずっと双葉について話し合いをして。監督が思う双葉と私の思う双葉をすり合わせて、試行錯誤しながら一緒に双葉を作り上げていきました。
◆洸役の櫻井海音さんとお芝居をすり合わせたり、話し合うことはありましたか?
櫻井さんが携帯に原作の漫画が読めるアプリを入れていて。撮影が終わるたびに、原作を読んで手の動きや顔の角度など細かいところまで確認されていたんです。特に洸と双葉のシーンは、「原作はこうなってるんだけど…」と画面を見せてくれて、2人で一緒に原作を見ながら演じました。
◆細かいしぐさまで原作を忠実に表現されたと。
はい。多分、私たちの中では原作を読むことが一つの安心材料でもあったと思うんです。そこに答えがあるので。不安になったときには原作に戻ってました。
◆洸役の櫻井さんについてはどんな印象でしたか? また櫻井さんが演じる洸はいかがでしたか?
最初はすごく無口な方だなと思っていたのですが、何か月も一緒に撮影しているうちに、少年のような性格をしている方だなと思いました。撮影しているときの櫻井さんはまさに洸でしたね。一見、ちょっと冷たい感じがするところとか、目つきが洸だなって思いました。
◆櫻井さんは出口さんについて、「芯がしっかりとあって、自分の意見や意思を持ってる方」だとオフィシャルインタビューで言われていましたが、そこに関してはいかがですか?
そんなふうに思ってくださっていたんですね。今回の現場ではできるだけ自分の意見を伝えるようにしていたのですが、昔は自分の意見があっても飲み込むことが多かったんです。人それぞれ考え方、捉え方が違うじゃないですか。私はこれがいいと思っても、相手の方がこれは違うと言ったら、意見を主張する前に私とは合わないんだなって、自分にそこまで自信もないし、諦めに入っちゃって。
◆正直、意見を言うのは勇気がいりますよね。
そうですね。そういう意味では、最初のころの双葉に似てるかもしれないです。でも、この仕事をやっていくにつれて、少しずつですが、自分があるときにはきちんと言えるようになりたいと思っています。今回は特に皆さんが私の意見を言いやすい環境を作ってくださったので、よかったと思います。
◆本作には青春を感じさせるさまざまなシチュエーションが登場しますが、出口さんの中で印象に残ったシチュエーションをあげるとしたら?
リーダース研修のときに、洸と双葉が2人で屋上にいるシーンです。あそこは画もすごくきれいで。実際に陽が昇った時間にこだわって撮影したんです。日常生活の中で日の出を見ることはあまりないので、その美しさに感動しましたし、映像の光の差し込み方が青春そのものという感じがしました。あと、リーダース研修では、みんなでお泊まりしているシーンもあって、修学旅行を思い出して懐かしくなりました。実際の修学旅行のときは、私がみんなに朝まで「話そうよ」って言っておいて、言いだした私が結局一番早く寝るという(笑)。とにかく学生時代は行事がすごく好きだったので、今回お祭りや文化祭などの行事のシーンがいっぱいあって楽しかったです。でも、劇中の季節は夏でも撮影期間は冬だったので、現実は鳥肌が立つくらいの寒さの中で演じていました(笑)。ちなみにプールのシーンは、クリスマス当日で。みんなで「寒い~」って言いながら即席の足湯で暖まったのもなんだか青春でしたね。
◆ほかに撮影していて大変だったシーンはありますか?
土手から双葉と洸が落ちるところからのシーンは「あ、やばい! 全然できない!」って、自分の不甲斐なさに自信をなくしてしまって。次のシーンもうまくいかなくて、しばらく引きずりました。
◆どれぐらい引きずったんですか?
結構引きずりました…。表向きにはヘラヘラしていて、一見何も考えてないように見えると思うんですけど(笑)、実際はすぐ落ち込むし、結構引きずるタイプなんです(笑)。
◆どのように乗り越えたんですか?
そのときはとにかくやらなきゃ、次に行かなきゃって、落ち込んでいても撮影は続いていくので何とか乗り越えました。でも、普段は自分だけでは立ち直れないので、落ち込んだときは友達に会って話を聞いてもらうようにしています。話を聞いてもらうだけで気持ちが楽になるんですよ。ずっと一人で考え込んでいたら、ずっと引きずっちゃうので、少しでも心にひっかかることがあったら、すぐに話して自分の中に溜め込まないようにしています。
◆仕事以外でも悩み事は多い方だと思いますか?
高校のときからこのお仕事をしていたので、お仕事での悩みはあっても、プライベートはそれを癒やしてくれる人たちばかりで、悩みごとはほとんどなかったですね。唯一、単位が取れるかどうかで悩みましたけど(笑)、私にとってプライベートで会う友達は、本当に癒やしです。
◆冒頭で『アオハライド』は憧れの世界だと言われていましたが、実際の高校生活は憧れていた通りのものになりましたか?
そうですね。『アオハライド』のように、まさに青春って感じで、友達と一緒にいろんなことを経験しながら、成長していくことができたと思います。そして、今も青春してます!(笑)
◆現在進行形であると。
はい。小中高のときからの友達とは今も仲が良くて、会える時はなるべく会うようにしています。毎年夏にはみんなで集まって、地方に行ってコテージを借りてまったりするという、ちょっと大人な旅行をしています。まだまだ青春継続中です。
◆いい関係がずっと続いているんですね。ご自身が学生時代に一番青春したなって感じた瞬間はいつですか?
中学の体育祭ですね。担任の先生に「俺、体育の教師だから、おまえらが一位を取らないと恥ずかしいんだよ」って言われて、先生のために頑張って一位をとりました。それが一番思い出に残っています。今回のドラマを通して、あらためて一つひとつの行事で仲間の絆が深まるんだなって思いました。
◆双葉は自ら学級委員に立候補しましたが、学生時代にそういった経験はありましたか?
ないです。私は、横で「○○いいじゃん」って勝手に推薦して、「ふざけんなよ~」って言われるタイプでした(笑)。双葉自身も本来の性格的には学級委員に向いていない子だと思うんですよ。でも、挑戦しようって立候補する行動力がすごいなって思うし、積極性もあってうらやましいです。
◆では今後の展望や目指す女優像について教えてください。
毎回演じる役が違って、そのたびに苦戦しているので、どんな役がきてもお芝居がしっかりできる女優さんになりたいです。今回の『アオハライド』をはじめ、これまでも学園ものが多かったので、制服を着ない大人な役どころにもいつか挑戦したいです。心がどよんと沈んじゃうくらいリアルなドキュメンタリー風な作品にも挑戦してみたいですね。
◆重いシーンが多いと、より引きずってしまいそうですが…。
そこは大丈夫です! 私が引きずってしまうのは、うまく演じられず悔しくてしょぼんとなってしまう方の引きずりなので。
◆役が憑依することはないと。
はい。むしろ憑依しちゃうぐらいお芝居に夢中になって、演技力を磨いていけたらいいなと思います。
PROFILE
●でぐち・なつき…2001年10月4日生まれ。中国出身。O型。主な出演作はドラマ『舞妓さんちのまかないさん』『18/40~ふたりなら夢も恋も~』、映画「沈黙のパレード」など。出演映画「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」が12/8(金)公開予定。
●photo/中村 功 text/星野彩乃 styling/道端亜未 hair&make/イワタユイナ