日向亘さんと大倉空人さんがW主演を務めるMBSドラマ特区『君となら恋をしてみても』(MBSほか 毎週木曜 深夜0時59分ほか)で監督を務める松本花奈さんにインタビュー。こだわったシーンや、日向さん、大倉さんの印象などを聞きました。
原作は、2021年より総合エンタメアプリ「マンガPark」(⽩泉社)で連載がスタートし、2022年には待望の単⾏本が発売された窪⽥マルさんによる同名漫画。現在はコミックス累計10万部を突破し、今年「ちるちるBLアワード2023」の『BEST次に来るBL』で部⾨6位に選ばれた人気作で、江の島を舞台に男子高校生たちのピュアでもどかしい恋を描く。ドラマでは、世話焼き同級生・山菅龍司を日向亘さん、甘えた転校生・海堂天を大倉空人さんが演じる。
◆本作の印象を教えてください。
原作を読ませていただいて、私が通っていた大学が江の島の近くだったので、親近感が湧きました。そして、龍司と天の関係性が本当にピュアで、心が浄化されていくような感覚がありました。
◆日向さん、大倉さんもこの作品に対して「ピュアな作品」と言われていましたが、どのように映像で表現したいと思われましたか?
the shes goneさんの主題歌「きらめくきもち」にも『はじめて』というワードが使われていますが、ピュア=『はじめて』のことだと感じています。なので、龍司の天への想い、天の龍司への想いがそれぞれ『はじめて』の気持ちであるよう描けたらと思いました。
◆江の島というロケーションでこだわったところはありますか?
映像の質感やトーン、色味などはカメラマンさんともお話させてもらって、江の島の澄んだ空気感をそのまま映し出せるよう意識しました。そして、原作のままやった方がいいのか、ちょっと変えた方がいいのかというジャッジといいますか、線引きみたいなものは作っていけたらいいなと。
◆どんなところを原作に寄せましたか?
ビジュアルの面では制服の感じは寄せましたが、天の髪色は原作の明るい茶髪よりも抑えめにして。原作に寄せる部分は寄せつつ、リアルなところからあまり離れすぎないようにしていきました。
◆龍司の定食屋さんは、原作にも出てくる実際にある定食屋さんを使用されたそうですね。
原作で登場する定食屋さんから抜けて見える海がすごくきれいで……。実際に行ってみたところ、原作と全く同じ景色が見られて感動しました。
◆対して、1話で登場するクラゲの水槽越しの天のシーンはドラマオリジナルですね。
脚本家の森野マッシュさんがオリジナルで書いてくださったんです。ちょうど片瀬江ノ島駅にクラゲの水槽があるんですが、天の心情とクラゲのふわふわした感じがリンクするということでアイデアを出していただきました。
◆龍司役の日向さん、天役の大倉さんのそれぞれの印象を教えてください。
最初に2人揃ってお会いしたのは本読みの時だったのですが、その時は1話から5話まで、バーっと通して読むだけだったので、まだみんな少しつかみきれていないところがあったんです。その後に丸1日、立ちでリハーサルをさせてもらったのですが、そこでお2人の距離感も、ぐっと近づいたなと感じました。なので、撮影前にお2人と役についてなどいろいろな話ができてよかったなと思っています。
◆具体的にお2人とどんなお話をされましたか?
日向さんは、「龍司のキャラクターが原作だと自分の話をすごくするタイプではないけど、でも冷たくは見えたくない」とおっしゃられていて。私も、それに同意しました。だから、天が龍司のことを好きになる、人間性の魅力みたいなものを言葉ではないところで出していきたいという話をして。それは所作だったり、お店のことをちゃんとやっている、家族のことを大事に思っているといったところで出していこうと話しました。
大倉さんとは、天は1話から5話にかけて成長していくキャラクターなので、元々の恋愛への向き合い方と、龍司と知り合ってからの恋愛への向き合い方など、心情の変化を見せていこうと話しました。
◆お2人の俳優としての魅力はどこでしょうか?
日向さんは感覚派。現場で受け取ったものをきちんと吸収して、その場でパッと直感的に役に反映できたり、江の島の空気を感じて、龍司というキャラクターを作っていかれているなと。現場に入る前よりも、現場に入った後の方が龍司だという感じがしました。
大倉さんはとても頭が良くて、考えてしっかり作り込まれる方。5話の逆算で「じゃあ1話はこうしよう」とか、すごく論理的に考えられていました。お2人ともアプローチがそれぞれ違って、それがキャラにも合っていたのでよかったですし、私が思っていた龍司と天像にぴったりでした。
◆撮影の裏話を教えてください。
ちょっと大変だったなというのは、1話で龍司と天がアイスを食べるシーン。夏なのでアイスがすぐにぶわっと溶けちゃうんです。そこは物理的に大変でした。2話の雨のシーンは、雨降らしをして撮ったのですが、天の心情がぐっと変化するところでもあったので、美しく撮れて良かったと思っています。
◆日向さん、大倉さんのインタビューで、龍司と天の心情を写す部分はカット数が多めだったと言われていたのですが、カット割りもこだわられましたか?
1話から3話までは天視点で描かれていて、4話からモノローグも含めて龍司視点が入ってきます。その4話の冒頭で神社のシーンがあるのですが、そこは龍司の視点も入ってくるし、天の視点も入るという、初めて2人の心情がどっちも見えてくるところだったので、特にこだわって撮りました。全体を通してで言うと、「表面上はこう振る舞っているけれど、本当はこう思っている」という描写をモノローグで表現していることが多いので、その部分は結構カットを割って、丁寧に撮りました。
◆最後にこの作品を通して伝えたいことは何でしょう?
最初にピュアという話もありましたが、人が人を好きになる本質を描いている作品だと思います。なので、そういう純粋な気持ちを感じてもらえたらと。「言葉では説明できないけどなんか好き」みたいな、その感覚的な気持ちを伝えられたらなと思っています。
登場人物が基本的に龍司と天しか出てこないというのがこの作品の良さでもあると思うので、1話から5話までを通して、2人の気持ちに感情移入して見ていただけたらうれしいです。
PROFILE
松本花奈
●まつもと・はな…1998年1月24日生まれ。大阪府出身。主な監督作品は映画「明け方の若者たち」、読売テレビ『しょうもない僕らの恋愛論』、テレビ東京『超特急、地球を救え。』、テレビ東京『あのコの夢を見たんです。』など。
第2話(10月12日放送)あらすじ
一緒に銭湯へ行くことになった龍司(日向亘)と天(大倉空人)。恋愛対象が同性であることを打ち明けた天は、自分を茶化すように過去のトラウマを龍司に話す。そんな天に対し、真剣に向き合おうとする龍司に天は心を揺さぶられ…。
番組情報
MBSドラマ特区『君となら恋をしてみても』(全5話)
MBS
毎週⽊曜 深夜0時59分〜
テレビ神奈川
毎週⽊曜 午後11時30分〜
チバテレビ
毎週⾦曜 午後11時〜
とちぎテレビ
2023年10⽉12⽇(木)スタート
毎週⽊曜 午後10時30分〜
テレビ埼⽟
2023年10⽉12⽇(木)スタート
毎週⽊曜 午後11時30分〜
群⾺テレビ
2023年10⽉12⽇(木)スタート
毎週⽊曜 午後11時30分〜
<配信>
TVer/MBS動画イズムにてMBS放送後に配信スタート
出演:⽇向亘、⼤倉空⼈(原因は⾃分にある。) ほか
原作:窪⽥マル「君となら恋をしてみても」(⽩泉社「マンガPark」連載)
監督:松本花奈
脚本:森野マッシュ
公式サイト:https://narakoi-dorama.com
https://www.mbs.jp/narakoi
公式X:@narakoi_dorama
公式Instagram:@narakoi_dorama
©2023 窪田マル・白泉社/ドラマ「君となら恋をしてみても」製作委員会・MBS