『下剋上球児』新井順子Pが語るリアリティーへのこだわりと撮影の舞台裏

特集・インタビュー
2023年10月15日
『下剋上球児』第1話©TBS/撮影:Len

◆今作でこだわったキュンポイントがあれば教えてください。

球児の頑張る姿にキュンみたいなところはあると思います。ただそれはここですよっていうところはないので、キャラクターたちのすてきな表情にキュンしてほしいです。実は自然な彼らの表情は全て本番中ではなくて、待っている間とかにカメラを回したものなんです。待っている間に、何かしゃべっていたりするじゃないですか。それを遠くからこっそりと撮っていたり。しゃべっている内容も、たまに野球のことだったりするので、そのまま頂くことも(笑)。

あとは、ここでこういうことをやってほしいとガチガチに決めずに、本人たちが決めてやっていたりすると、半分本人、半分役になるんですが、自然ないい表情を拾えるんです。なので、「カット」と言った瞬間だったり、「よーい!」の時の表情を使っていたり。本番だと表情が硬くなってしまって顔つきが変わってしまうので、意外とテストの映像を使っていたりもします。それが塚原監督ならでの演出ですね。

◆テストから使うというのは、今回ならではなのでしょうか?

最近の作品はずっとそうですね。塚原監督がテストの方がいい表情が撮れることもあるから、すべて収録したいと言われていて。なので、ご飯のシーンもテストのときから全てのカメラが回っているから、食べたふりができないんです(笑)。

◆こんな○○さんが見たいと思ってキャスティングされた方はいらっしゃいますか?

小日向(文世)さんはキャスティングをした時に、なんとなく地主でお金持ちでみたいなことは考えていたのですが、どういうキャラクターにしようか悩んでいたんです。脚本の奥寺(佐渡子)さんと「小日向さんが七変化する舞台がある」と聞いて見に行って、生まれたのが犬塚のキャラクター。早口で、ちょっとクレイジーな感じ。役作りなのか、普段からとても早口になっている印象があります。普通のせりふも笑えますし、生瀬(勝久)さんとの掛け合いが面白くなっていると思います。

井川(遥)さんは都会のスタイリッシュな女性役が多い印象だったので、本作では東京から田舎に戻ってきて、いいお母さんみたいな感じにしようと。それに加えて、東京に出た時のパリッと感の対比をうまく作っていこうと考えました。あと標準語にするか、三重弁にするか悩んだのですが、オール三重弁にしてもらったのでご本人はすごく大変だと思います。

黒木さんは、オファーする時にもお会いして、決まってからもお会いして、何度も会わせてもらいました。奥寺さんに普段の彼女を見てもらって、どういう風な山住にしていくか決めて。黒木さんはおしとやかなイメージがありましたが、演劇をずっとやられていて大きな声が出せるので、パワフルな女性にしてみようと。ただ暑苦しくなくて、押し付けがましくない先生にしようと思っています。

◆ドラマ内では『SPY×FAMILY』などを手掛けたCloverWorks制作のアニメーションも使われています。大きな挑戦だと思うのですが、その狙いを教えてください。

これまでの野球ドラマでやっていないことってなんだろうとなったときに、「アニメーションだ!」と塚原監督の発案がありました。スーパースローで撮影できるカメラを使って撮っている中で、塚原監督が「硬式球がバットに当たったら、ぐにゃっとならないの?」と気づいて。アニメではバットに球が当たる時、周りに線が入ったり、ビューンなど書かれていて分かりやすいですが、実写だとコンって当たるだけ。それだけだと盛り上がりに欠けるなと思い…、逆に実写で球をぐにゃっとさせてしまうとウソすぎるので、走るときの足元だったり、バットに当たる球だったり、そういう実写では伝わりづらい表現をアニメーションにして、エモさを出したいという監督のこだわりです。1話分のアニメーションを制作するのに2か月ぐらいかかるみたいで…。相当手が込んでいて見ごたえ十分です!

私はまだ野球に詳しい方なのですが、塚原監督はあまり詳しくなく、現場で野球経験のある球児キャストに「どうすればいいと思う?」「こういう時はどういうことをする?」と質問をして、どういう練習をすべきかをみんなで話し合っています。そこは、野球経験のある球児キャストたちの意見と、野球に疎い監督目線の折り合いのいいところを見つけて、野球を知らない人でも、知っている人で見やすい、ヒューマンものにしようと作っています。

先生がある日やって来て、「甲子園目指すぞ!」という単純なストーリーだと深みが出ないので2話から思いがけない展開の構成にしました。物語にうねりを出していて、そこが王道の日曜劇場とは一味違う味わいになっていると思います。塚原監督といえばサスペンスが秀逸なので、想像以上にサスペンス要素もあり、ちょっとした考察もして楽しんで頂きたいです。

番組情報

日曜劇場『下剋上球児』
TBS系
2023年10月15日(日)スタート
毎週日曜 午後9時~9時54分
※初回25分拡大 午後9時~10時19分

<キャスト>
鈴木亮平、黒木華、井川遥、生瀬勝久、松平健、小泉孝太郎、小日向文世ほか

<スタッフ>
原案:「下剋上球児」(カンゼン/菊地高弘 著)
製作:TBSスパークル、TBS
脚本:奥寺佐渡子
プロデュース:新井順子
演出:塚原あゆ子、山室大輔、濱野大輝
編成:佐藤美紀、黎景怡、広瀬泰斗

番組公式サイト:https://www.tbs.co.jp/gekokujo_kyuji_tbs/
番組公式X(旧Twitter):@gekokujo_kyuji
番組公式Instagram:@gekokujo_kyuji
番組公式TikTok:@gekokujyo_tbs

©TBS/撮影:ENO
©TBS/撮影:Len

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