小学館「ベツコミ」にて連載中の漫画『柚木さんちの四兄弟。』がTVアニメ化。“癒し系”兄弟の四人暮らしの日常が描かれる本作は、TOKYO MX、BS11、AT-Xほかで放送されている。今回は、四兄弟の長男・柚木隼役の岩崎諒太と、次男の尊役・戸谷菊之介にインタビュー。作品への印象ほか、お二人の兄弟との思い出についてお話を聞きました。
◆最初に、作品に対する印象や原作を読んでみての感想を教えてください。
岩崎:笑って泣ける、素晴らしい作品ですよね。読んでいて、自分の人生を振り返るきっかけにもなりました。家族愛、人のやさしさがあふれていて、自分もこの世界の登場人物のようになれたらと思わされるような、心が洗われる物語ですね。
戸谷:泣けます。読み進めるほど愛にあふれているなと思えました。亡くなった両親を思い出す描写などは寂しさも感じますが、それでも四兄弟で頑張って生きていくんだという意思も感じて。それが尊くて、あたたかい作品だと思いました。
◆演じる際に意識したことを教えてください。
岩崎:隼は四兄弟の長男としてしっかりしないといけない立場です。なので、お兄さん感は意識しました。僕も三兄弟の長男なので、自分の人生をそのまま彼に乗せることができた気がします。また、兄弟・家族に対しての愛情を忘れずに演じました。隼のように表立って弟たちに愛情をかけることが、僕はあまりなかったんです。そこは彼を見習って、こういう兄でありたかったという気持ちも込めながら、お芝居しました。
戸谷:尊はクールで低体温な感じなんですけど、心のなかでは家族のことをすごく思っているんです。実は感情が豊かな子なんですよね。本郷みつる監督からも「ベースはクールだけど、その中にはちゃんと愛情があって、いろいろな思いを持っていると分かるように演じてほしい」というディレクションがありました。
◆掛け合いはいかがでしたか?
岩崎:弟たちがめちゃくちゃかわいかったです(笑)。掛け合いをしていると、「この兄弟たちに何かしてあげたい」という気持ちが自然と湧き上がってきました。逆に弟たちを演じる戸谷くんらに助けてもらったところも多々あります。まさに、四兄弟のような雰囲気でアフレコができました。
戸谷:お互いの出方などが分かったので、一緒にアフレコができてよかったです。岩崎さんの声からは優しさも感じましたし、何より叱るときの勢いがすごかったんですよ。あれはきっと、一緒にアフレコしていないと反応できない会話のテンポ感になっていたと思います。きっと作品にも、掛け合いによって生まれたものが表れているんじゃないかな。
◆お互いのキャラクターの印象について教えてください。
岩崎:ふだんの戸谷くんは笑いに貪欲で、尊とは少しイメージが異なるんですよね。それなのに尊を演じているときは、クールで、弟に対しての愛がにじみ出ている尊のパーソナルな要素を絶対に外さない。尊のラインのなかで、自分が出せる面白さを最大限に引き出しているのが、すごいなと思いました。
◆そんなに笑いに貪欲なんですね。
戸谷:そうですね(笑)。でも、僕がボケると、岩崎さんがぜんぶ拾ってくださるんですよ。
岩崎:僕も笑いに貪欲なので(笑)。戸谷くんがボケたら、ツッコまなければならないという気持ちで現場に臨んでいました。
戸谷:そんな岩崎さんは、一家を支える大黒柱でありながらも、ちょっと抜けていたり、慌ただしかったりする隼を表現するのが、すごく上手だと思いました。アニメで隼の魅力が増したのは、岩崎さんの声やお芝居の力も大きいと思います。
◆長男っぽさも感じた?
戸谷:感じましたね。アフレコ現場でもすごく頼りにしていたんです。引っ張っていただきました。
◆映像をご覧になっての感想を教えてください。
岩崎:実はアフレコの時点で絵が結構できていたんですよ。それを見て、原作へのリスペクトを感じつつ、アニメーションならではの魅力も感じました。本作は心理描写が特に印象的で。アニメなんですけど、ドキュメンタリーに近いような気がしました。神アニメです。
戸谷:演出のこだわりをひしひしと感じました。作品の世界観に没頭して見られる映像に仕上がっています。漠然とした表現になってしまいますが、映像との距離が近い感じがしました。あと、オープニング・エンディングもすてきです。
岩崎:そう! オープニング・エンディングそれぞれの描き方の差にも注目してほしいです。曲と相まって、アニメオリジナルのよさが詰まっていると思います。
◆お二人とも兄弟がいらっしゃるとお聞きしました。小さい頃、兄弟とやったことで思い出に残っていることはありますか?
岩崎:兄弟はやっぱり喧嘩しますよね。大体がおもちゃの取り合い。
戸谷:ゲームをどっちが先にやるか、とか。
岩崎:そう! ゲームで弟に負けたとき、なぜか兄は怒っちゃうんだよ。という僕も、弟たちに怒りをぶつけちゃいました(笑)。
戸谷:僕は末っ子なので、逆でしたね。ボコボコにされて泣いて、ママにチクる(笑)。
岩崎:そうだったんだ! 年が近い次男には力加減もあまりしなかったなぁ。本当に申し訳ない。
戸谷:何歳年下なんですか?
岩崎:次男は3つ下で、三男は7つ下。確かに喧嘩は絶えなかったけど、兄弟がいたから家の中でも寂しくはなかったんですよね。何をするにしても兄弟と遊べたから。それが楽しかったです。あとは、弟と交渉して、自分の欲しいものを買ってもらう。これはきっとお兄ちゃん・お姉ちゃんあるあるのはず! 俺の物は俺のもの、お前のものは俺のものというジャイアニズムが働いてしまっていました。
戸谷:僕はお姉ちゃんとお兄ちゃんがいるんですけど、とにかくお姉ちゃんにこき使われました(笑)。マッサージしたり、腹筋を抑える係をやったり……。でも、寂しくはなかったですね。あと、趣味はお兄ちゃんに影響された部分が大きいです。アニメやカードゲームなど、ほぼ兄と同じ趣味を追っていました。
岩崎:それも兄弟あるあるかも。僕は逆に弟の影響を受けたんですよね。弟が流行に敏感で、ミニ四駆やデジモンとかも弟が先にやって、僕がさらにハマるという流れでした。
◆兄弟との思い出についてお話いただきありがとうございました。では、お二人はどんな小学生・中学生生活を送っていましたか?
岩崎:遊んでましたねー。勉強をした記憶がないですもん。休み時間になるとドッジボールをしたり、サッカーをしたり。休みの日は虫を捕りに行ったり。
戸谷:僕もそうでした。
岩崎:勉強、正直言って嫌いでしたね(笑)。こんなものが役に立つはずがないなんて思っていました。でもね、ちょっとはやっておいたほうがよかったかなと、今は思っています。特に国語や歴史を勉強しておけば、もっと知見が広がった気がしていて。今、都市伝説にハマっているのですが、世界史・日本史・地理の勉強をしていれば、いろいろな角度からの発見があって、もっと楽しかった気がします。
戸谷:僕は結構勉強していたんですよね。数学がとにかく好きでした。数学って、「ここをこうすればこうなって答えが出てくる」という道筋がちゃんとあって、パズルを解くみたいな感覚で楽しいんですよね。アニメのなかで尊が(三男の)湊に数学を教えるシーンがあるんです。そのときの問題も「あっ、分かる!」と思いながらアフレコしていました。みなさんもそのシーンが出てきたら、ぜひ問題を解いてみてください(笑)。
(こんなお話も!)岩崎さん・戸谷さんが読者の方々に推したいエンタメは?
岩崎:なかやまきんに君さん主演の筋トレドラマ『筋トレサラリーマン 中山筋太郎』です。あれ、めちゃくちゃ面白い! 巷で耳にするようになった筋トレあるあるとかマッチョあるあるとかの意味を丁寧に教えてくれるんです。
戸谷:勉強にもなるんですね。
岩崎:そう。勉強にもなるし、なかやまきんに君さんが面白くてお芝居も上手だから目が離せない。僕はなかやまきんに君さんをリスペクトしてモノマネを勝手にやらせていただいているんです。なかやまきんに君さんは見ていると元気になりますよね。パワーをもらえます。
戸谷:僕は粗品さんのYouTubeですね。粗品さんって、めちゃくちゃな人間なんですよ。その生きざまを見るのが面白いんです。一般の方にも忖度なく接していらっしゃるように感じるのですが、そのスタンスも大好きです。ギャンブルで大負けしているのに、絶対に止めないのもすごいなって。
岩崎:人間の欲望に忠実というか。
戸谷:でも、お話が上手ということもあって、ちゃんと面白いんですよね。
◆やっぱりお二人ともお笑いが好きなんですね。
二人:はい(笑)。
●text・photo/M.TOKU
PROFILE
岩崎諒太
●いわさき・りょうた…7月1日生まれ。大阪府出身。B型。主な出演作は『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』白膠木簓役、『スナックバス江』森田役、『THE FIRST SLAM DUNK』木暮公延役など。
戸谷菊之介
とや・きくのすけ…11月30日生まれ。主な出演作は『チェンソーマン』デンジ役、『七つの大罪 黙示録の四騎士』ドニー役、『逃げ上手の若君』吹雪役など。
作品情報
『柚木さんちの四兄弟。』
2023年10月5日より放送中
◆TOKYO MX
毎週木曜24時~、毎週日曜10時30分~ ※リピート放送
◆BS11
毎週木曜24時~
◆AT-X
毎週木曜23時30分~、毎週月曜11時30分~ ※リピート放送、毎週水曜17時30分~ ※リピート放送
◆テレビ北海道
毎週火曜26時35分~
◆とちぎテレビ
毎週木曜23時~
※放送開始日・放送時間は変更となる場合がございます。
[原作]
藤沢志月
[スタッフ]
監督:本郷みつる
キャラクターデザイン・総作画監督:田中織枝
音楽:周防義和
制作スタジオ:朱夏
オープニング主題歌:flumpool「泣いていいんだ」
エンディング主題歌: 久保あおい「ささくれ」
[キャスト]
柚木 隼:岩崎諒太
柚木 尊:戸谷菊之介
柚木 湊:櫻井みゆき
柚木 岳:寺澤百花
霧島宇多:松岡美里
霧島和歌:唯野あかり
霧島 咲:M・A・O
霧島虎次郎:立木文彦
二階堂悠真:國府咲月
公式サイト:https://yuzukisan-anime.com/
公式X:https://twitter.com/yuzukisan_anime
原作/藤沢志月「柚木さんちの四兄弟。」(小学館「ベツコミ」連載中)
©藤沢志月・小学館/「柚木さんちの四兄弟。」製作委員会