鈴木亮平さん主演の日曜劇場『下剋上球児』(TBS系 毎週日曜 午後9時~9時54分)の第6話(11月19日放送)を前に、根室知廣役を演じる兵頭功海さんにインタビュー。現場の様子や第6話の見どころなどを聞きました。
本作は高校野球を通して、現代社会の教育や地域、家族が抱える問題やさまざまな愛を描く、ドリームヒューマンエンターテインメント。「下剋上球児」(カンゼン/菊地高弘 著)にインスピレーションを受け企画され、登場する人物・学校・団体名・あらすじは全てフィクションとなる。
11月12日放送の第5話より、根室(兵頭)が南雲(鈴木)の家に泊まるようなったのを機に、南雲の元に練習後の野球部員たちが集まるようになった。11月19日放送の第6話では、ついに南雲の事件が検察に送致されることに。南雲に下される処分は果たして…。
そんな中、南雲と青空(番家天嵩)は東京の美香(井川遥)の仕事場を訪ねる。久々の再会を喜ぶ南雲家だったが、そこには美香の元夫である晴哉(大倉孝二)の姿もあった。一方野球部では、南雲の後任監督が、新人を一人もスカウトできなかったことを理由に犬塚(小日向文世)によって解任され、山住(黒木華)が自ら新監督就任を申し出る。そして迎える夏の予選、初戦の相手は昨年ベスト8の五十鈴高校に決定。初戦に向け、気を引き締める部員たちだったが、五十鈴高校野球部員から、横浜にいた頃の山住に関するあるうわさを聞かされる―。信頼する山住、そして南雲を野球部に戻すために部員たちは“夏に一勝”を目指していく。
◆ここまで根室を演じてこられての感想を教えてください。
高校まで野球をやっていたのですが、根室を演じていて、久々に高校の時に戻ったような感じがしています。毎日朝から晩までグラウンドで泥だらけになって野球をしていて、撮影をしているようで撮影をしていないというか(笑)。先日もヘッドスライディングをして泥だらけになるシーンを撮ったのですが、そういう日々がすごく楽しいですし、リアルにキツくていい意味で行きたくないなと思う時もあったりする感じが本当に部活のようで、毎日充実した日々を過ごしているなと思います。
◆同期の6人は3年間を共にする設定で撮影されていますが、根室として成長を感じるところはありますか?
根室は野球部に入った当初、少し臆病な性格なので、楡(生田俊平)を怖がっていたり、周りの人と打ち解けられずに、会話をするシーンが少なかったり、椿谷(伊藤あさひ)のようにちょっと優しそうな人や同じクラスの翔(中沢元紀)にしかしゃべりかけられないところがあったんです。ですが、2年生、3年生と学年が上がっていくうちに楡や久我原(橘優輝)にもツッコむようになっていたり、壮磨(小林虎之介)にも「怒りすぎやて」と注意することができるようになっていくんです。本作はわりとアドリブが多く、先生が会話している間、野球部のメンバーは後ろで自由にしていていいよという瞬間があるので、そういう時に成長だったり、関係値が変わってくるんだなと感じます。
◆塚原あゆ子監督や新井順子プロデューサーから言われたことで印象に残ってる言葉はありますか?
塚原さんがみんなによく言っているのは、「役をキャラっぽくしないでいい」。お芝居のテストが終わった時に、僕らに「やりすぎないで」「今のもっと自分に落とし込んでいい」と最初の頃、撮影している時に特に言われました。きっとそれがいいアドリブだったり、せりふがないところのナチュラルな会話につながっているのかなと思います。その役をやろうとしすぎると、言葉がどうしてもせりふっぽくなってしまったり、固くなってしまうのかなと思うのですが、自分に近ければ近いほど自分のままで言葉が出てくるので、そういう狙いもあって、もしかしたら塚原さんたちはそういった空気を作ってくださっているのかもしれません。本当にカメラが回っているのですが、わりと本番ギリギリまで笑って話しているまま、そのままそのカットに入って笑っているといったことがあって、この現場ではそれが一番ナチュラルでいいのかなと。そういう雰囲気で撮影できています。
◆ご自身の野球経験について教えてください。
小学校4年生から高校3年生までやっていました。始めたばかりの小学生の時は、外野をやったり、キャッチャーをやったりすることはありましたが、本格的に野球をやるようになってからは、ずっとピッチャーでした。
◆今回、根室はサイドスローですが、ご自身は?
僕はオーバースローです。オーディションの時もオーバースローで投げていたのですが、合格発表の時に役について説明があって、その時に新井プロデューサーから「サイドスローです」と言われました。ただ、高校1年生の時に一瞬ですが、サイドスローに変えて、下半身の使い方を覚えるために練習をしたことがあったので、サイドスローの投げ方は自分の体の中には漠然とあったんです。そこから根室っぽいってなんだろうと考えましたし、野球部あるあるなんですが、「プロ野球選手のこういう人の投げ方を真似して投げてみよう」「こういう打ち方を真似して打ってみよう」みたいなのがあって。それで真似していたりしていたので、同じチームにいたサイドスローのピッチャーの投げ方が近いかなと、今の根室の投げ方になりました。
◆ご自身の野球シーンを放送で見ていかがですか?
すごいことしているんだなと思います。日曜劇場という、日本のテレビドラマの中でも誰もが知っている大きい枠で、主演も鈴木亮平さんという中で、こんなに堂々とカメラに映っていて、投げたり、鈴木さんとお芝居していることが、テレビに映って初めて実感するというか。現場ではそんな感じはしないのですが、テレビを見て「すごいところで今やれているんだな」「幸せだな」と。
◆では、周りのからの反響はいかがですか?
僕は地元が福岡なのですが、全国で観られるので福岡の友達からも連絡が来ます。2話を観終わった後には「南雲先生、免許ないの、やばない?」といった内容の連絡がバーと通知にたまっていました(笑)。もちろん親も見てくれていますし、同じ事務所のほかのマネージャーさんとか、以前ほかのドラマでお世話になったスタッフさんたちからも「根室いいね」と連絡がたくさん来ます。
◆根室は1話から南雲先生と2人でやりとりをするシーンが多いですが、現場で鈴木さんとどのような会話をされていますか?
奥寺(佐渡子)さんの脚本が、僕らが考える隙間がすごく多い台本のような気がしています。それは塚原さんも言っていたのでたぶん合っていると思うのですが、シーンとシーンの間に何があったんだろうと、その考え方次第でそのシーンの意味が変わりますし、どうとでも埋められるんです。2人のシーンはお互いに共通の意味を持っていないと統一性のないシーンになってしまうので、そういうところを亮平さんは、若手の役者の僕にも同じ目線で、「根室はここまでにどういうことをしていて、ここに来たと思っている?」「根室がそうしていたなら、先生は多分こうやって心配していて、こういうふうに思って今ここにいるね」みたいに、一緒に埋めてくださるので、一つ一つのシーンがすごく丁寧に撮られているなと思います。亮平さんは僕らにこういうふうにした方がいいとは言わずに、相談させてもらったら「そういう悩みか」と相談に乗ってくれて、同じ目線でそのシーンのことについて話してくださるんです。
1話のフェリーで「野球、やりたいんだと思っていたよ」というシーンも、亮平さん自身もすごくいろいろ考えられていて、ワンカットが撮り終わった時に監督と話し合って、そのシーンを作ろうとしてくださっている姿を見て、第一線で活躍されている役者さんとして、妥協せずに鈴木さんも塚原さんも作品に取り組まれているんだなと。そのようなプロ意識の高いお2人を見て、僕は「すごいな、こうならないといけないな」と思っています。
◆黒木華さんとは?
華さんはみんなの寮母さんみたいです。普段ちょっと後ろにいても、「はい、しっかりやるよ」のように、パッと締めてくださる感じ。すごく優しいまなざしで僕らを見ていて、目が合ったらみんなにニコっとしてくれるんです。もちろん相談にも乗ってくれますし、それがすごく寮母さんみたいだなと。亮平さんも華さんもすごくフレンドリーに話してくれて、僕らが「プライベートで最近こういうことにはまっているんですよ」みたいな男子高生みたいな会話をしていても、「何をしゃべっているの?」みたいな感じで聞いてくださって、すごくいい現場だなと思います。