鈴木亮平さん主演の日曜劇場『下剋上球児』（TBS系 毎週日曜 午後9時～9時54分）の第8話（12月3日放送）を前に、楡伸次郎役を演じる生田俊平さんにインタビュー。第8話の見どころなどを聞きました。
本作は高校野球を通して、現代社会の教育や地域、家族が抱える問題やさまざまな愛を描く、ドリームヒューマンエンターテインメント。「下剋上球児」（カンゼン／菊地高弘 著）にインスピレーションを受け企画され、登場する人物・学校・団体名・あらすじは全てフィクションとなる。
12月3日放送の第8話は南雲（鈴木亮平）が監督に復帰して1年。越山高校野球部は“日本一の下剋上”を目指し、夏の大会で34年ぶりにベスト8に進出していた。地元の後押しを受けて準々決勝も突破した部員たちだったが、どこか緊張感を欠いており、南雲と山住（黒木華）は不安な思いを抱えていた。
迎える準決勝で対するは賀門（松平健）率いる強豪・星葉高校。南雲にとっては教員免許の一件以来決別した賀門との師弟対決。甲子園出場へ重要な一戦の先発に、南雲はエースの翔（中沢元紀）か、成長著しい根室（兵頭功海）にするかで頭を悩ませていた。
◆ここまで楡を演じられてきていかがですか？
思っていたよりかわいく映っていてよかったなと思います。最初に台本を読んだ時、口数が少なくて、ちょっと怖いなと感じて、どう演じようと思ったのですが、塚原（あゆ子）さんがうまい具合にかわいくしてくださりいい感じです。
◆塚原監督からこういう感じでかわいさを見せたいというようなお話があったのでしょうか？
楡がしゃべらなさすぎだよねとなって、少しせりふを増やしていただいたんです。また「自由にやっていいよ」と言ってくださったので、かなりアドリブもいれさせていただいて、そのアドリブが使われたりして（笑）。
◆ものすごく愛嬌が伝わってくる役柄で、特に第3話で楡が「ultra soul」を歌いながら、みんなとは反対の電車に乗ってしまうところは思わず笑ってしまいました。
あの演出が決まったのは直前だったんです。最初は、音楽を聞いて、ノっているだけだと、何をやっているのか分からないねとなって、「『ultra soul』とかどう？」と言われて、「いけます」と返事をしてでブースの皆さんが爆笑していました。
◆楡が鼻に付けているテープは誰のアイデアだったんでしょうか？
これは小林虎之介君です。藤本先輩（鈴木敦也）と髪形が少し似ていて、どこか違いをつけないと見分けがつかないということで、塚原さんや新井（順子）さん、山室（大輔）さんたちから「細眉、金髪はどう？」「いいんじゃない？」みたいな雰囲気になって。「本当ですか!?」となったところにちょうど壮磨（小林）が来て「鼻のテープはどう？」と提案してくれて、みんなが「いいね！」となって付けることになりました。虎には感謝しています（笑）。
◆塚原監督が「生田さんは自然に気持ちが出るようなお芝居をされる俳優さんだ」とコメントしていましたが、演じるに当たって意識していることはありますか？
その記事を見た時、うれしすぎて飛び跳ねました（笑）。これまではカメラに緊張してしまっていたのですが、楡だったら緊張しないよなと。なので、今回、楡という役に助けられた部分が多いです。楡のマイペースなところや、自分のやりたいことをやる、人とずれていてもいいんだというところが、カメラの前で普段の自分に近い部分が出しやすく、より自然体にできたのではないかなと思います。
◆生田さんは野球の強豪校出身で、甲子園出場の経験もありますが、そこで培った経験や悔しさなど、演じている上でこれが役に立っているなと思ったことはありますか？
同級生から2人プロが出た強豪校にいましたが、僕自身は全然うまくないですし、かなわないなと思っていて、すごく自信がない高校生活だったんです。ですが、プレー以外のところでチームを盛り上げたり、雰囲気をよくする役割を担っていたので、そういった“下剋上魂”というのはありました。越山高校野球部は弱小校ですが、その泥臭さやどこか自分に自信がない部分というのは、強豪校に行っていたからこそ、今回すごく出しやすかったのかなと思います。
◆野球シーンについて、撮影で楽しかったことや、逆に大変だったことはありますか？
4話の多気高校との戦いの時に、実際にファーストライナーを打たないといけないシーンがあって。それまでも打ち分けを全て2回、3回ぐらいでできてしまったので、「楡ならできるぞ」と、すごくハードルが上がってしまって、しかもみんなもすぐに決めてしまうので、その中でファーストライナーを打つのはかなりプレッシャーでした。
◆そんなプレッシャーがある環境の中で、球児の皆さんから刺激を受けていることはありますか？
刺激しかないです。同世代の方が多いですし、『仮面ライダー』や戦隊ものに出ていた（奥野）壮、（伊藤）あさひ、かつ（兵頭功海）の3人は芸歴も僕たちよりちょっと上で、スタッフさんに対しての対応など、あいさつや礼儀がしっかりしていますし、アドリブも自由にやっていて、そこに僕たちが引っ張っていってくれています。映像で見ていても自分の芝居は見られたものではないですが、あらためてすごいなと思います。
◆ご自身が日曜劇場に出ているということをテレビで見てどう思われますか？ また反響はいかがですか？
正直あまり実感がないです。それこそ両親やおじいちゃん、おばあちゃんから電話が来たり、本当に地上波の「あの」日曜劇場に出ているんだと実感が湧いてきます。特におばあちゃんがすごく喜んでくれていて、先日おばあちゃんの誕生日だったのですが、急にビデオ通話がかかってきたと思ったら、おばあちゃんの友達10人ぐらいが「楡、楡」と手を振ってくれて応援してくれて、じーんとしました。僕、つがる市出身なのですが、つがる市の反響はすごいです。
高校の時、2人部屋で一緒だった人から「マジでおまえじゃん」と言われて、「うそでしょ。あれ、俺？」ってなりました（笑）。打ち方も何もかも変わっていないらしくて。僕って楡なんだと思いました（笑）。
◆これまでも野球を題材にしたドラマに出演されていらっしゃいますが、この越山高校の野球部ならではのことはありますか？
連続ドラマW-30『ドラフトキング』の時はみんな同じレベル、むしろうまい方ばかりで、あまり初心者の方がいなかったんです。『下剋上球児』では初心者の方が多いのに野球の成長具合もすごくて、「こんなにうまくなるんだ」と尊敬します。僕が教えることもあったので、「うわ、取れるようになっている」「投げられるようになっているじゃん！」と親目線になってしまって（笑）。それは本人にも伝えていますし、そこはちょっと今までと違うかなと感じますし、そういう交流もあるおかげで仲が深まっている気がします。
◆特に仲良くなった方はいらっしゃいますか？
壮が一番話をしていて落ち着きます。それこそ、かつ、（福松）凜、虎とは『ドラフトキング』で一緒だったので仲が良いですが、壮とはゼロからだったので。休憩時間に、キャッチボールの腕の振り方を練習しているんです。階段を上りながらずっと腕を振ったりして、「とても頑張っているな」って思いましたし、内に秘めた熱いものを持っている男なので尊敬していて、この作品を通して壮が一番仲良くなったと思います。
◆同期6人とは、3年間という月日を一緒に過ごす設定ですが、実際に半年近く一緒の現場で過ごされていかがですか？
どこかでちょっと仲が悪くなるのかなと思っていたんです。僕はイケメンじゃないので、「イケメンはちょっとくらい性格悪くいてくれよ」なんて思っちゃうのですが、かつ、（中沢）元紀は性格がいいですし、優しくて、神様が二物も三物も与えていて悔しいです（笑）。（橘）優輝は12人の中で藤本先輩役のあつぼー（鈴木敦也）と同じで一番年下でもありますし、後輩力があるというか、一番かわいいです。ずっとニコニコしていて、振られたら勢いでやってしまうところは久我原だなと。なぜか僕にだけはタメ口なんですけどね（笑）。
あさひがインタビューで言っていた、6人で帰るシーンは、僕も本当に現実と重なって、「あ、もう俺たち、これ終わったら会えないのかな」みたいな感情になったんです。その作品が終わるのと、その試合に負けたら終わりというのがすごくリンクしてしまって、とても寂しくなって。でも、あの6人みんなの表情はすごくよかったと思います。
◆鈴木亮平さんと共演されて、印象に残っているシーンについて教えてください。
6話、7話あたりから楡のしゃべるシーンが増えてきました。亮平さんと2人きりのシーンでは、塚原さんから「もっと自分に寄せていい」と言ってくださったので、ちょっと欲しがってしまって、ちょっと楡ではなくなってしまうことがあったんです。その時、亮平さんが「大丈夫、せりふが面白いから、そんなに欲しがらなくても。もうちょっと引いてやるだけで大丈夫だよ」とアドバイスをしてくださいました。実際、シーンがうまくいった時は「よかったよ」と亮平さんが肩をポンポンとしてくれて。そういうちょっとしたことでも、すごくうれしいですし、もっと頑張ろうとモチベーションが上がりますよね。
◆黒木華さんはいかがですか？
もうドラマも終盤ですが、華さんにはまだちょっと緊張してしまうんです…。華さんは目が合うとニコって笑ってくださって、僕はキュンときてニヤニヤと表情に出てしまいます（笑）。芝居の部分では、アドリブとか小さい声でこしょこしょと話をしていても、全部拾ってくれるんです。せりふとアドリブの境目がないというか、ずっと山住先生でいてくださりすごいなと思います。
◆お2人から感銘を受けたことは？
「芝居を固めすぎない」というところです。僕は今まで考えて、こうしてみようかなとやっていたのですが、亮平さんや華さんはいろんな対応ができるように柔軟にされていました。芝居は「人対人」なので自然と出る反応の方がいいのかなと。そこは今後活きていくところだと思います。
◆今後の俳優人生にとって本作はどんな作品になりましたか？
僕も含め球児のみんなが今後も活躍していったら「あの『下剋上球児』って、すごいメンツがそろっていたんだな」となると思いますし、それが塚原さんや新井さんへの恩返しにもなると思うので、ここで止まらず野球以外も頑張っていきたいです。
◆では、一番成長したなと思うところはどこでしょうか？
お芝居だと思います。オーディションでも、実技は大丈夫だろうと思っていたのですが、芝居の経験が浅いので、楡の役説明を読んだ時もどうしようと思いました。そんな中で塚原さんもそうですし、球児のみんなから「めちゃくちゃいいよ」と言ってもらえたことで少し自信が持てましたし、現場を楽しんでいるなとその日の撮影が終わった後に感じて。この作品のおかげでこれからも頑張っていきたいなと思っています。
◆終盤に向けて、見どころを教えてください。
7話は楡がコンタクトをつけて、“覚醒・楡”になり、プレーも含め、だいぶみんなと和むような、協調性も出てきて変化を楽しんでもらえる“楡回”だったと思います。ここから終盤になってくると、チームの輪や人間としての成長具合がすごいですし、お芝居の変化もみんなでこだわりました。そこはラストに向けて、みんな感情移入できるぐらい仕上がっていると思うので、南雲監督、山住先生含め、球児のみんながどう下剋上していくのか注目して見ていただけたらなと思います。
PROFILE
生田俊平
●いくた・しゅんぺい…1998年4月3日生まれ。青森県出身。B型。
番組情報
日曜劇場『下剋上球児』
TBS系
毎週日曜 午後9時～9時54分
＜キャスト＞
鈴木亮平、黒木華、井川遥、生瀬勝久、松平健、小泉孝太郎、小日向文世ほか
＜スタッフ＞
原案：「下剋上球児」（カンゼン／菊地高弘 著）
製作：TBSスパークル、TBS
脚本：奥寺佐渡子
プロデュース：新井順子
演出：塚原あゆ子、山室大輔、濱野大輝、棚澤孝義
編成：黎景怡、広瀬泰斗
番組公式サイト：https://www.tbs.co.jp/gekokujo_kyuji_tbs/
番組公式X（旧Twitter）：＠gekokujo_kyuji
番組公式Instagram：＠gekokujo_kyuji
番組公式TikTok：＠gekokujyo_tbs
©TBSスパークル／TBS 撮影：ENO
©TBSスパークル／TBS 撮影：Len
