羽谷勝太、オーディション落選からライバル校エース役で“リアル下剋上”「重役を与えてくださって本当に光栄」『下剋上球児』インタビュー

特集・インタビュー
2023年12月03日
『下剋上球児』©TBSスパークル/TBS 撮影:ENO

鈴木亮平さん主演の日曜劇場『下剋上球児』(TBS系 毎週日曜 午後9時~9時54分)の第8話(12月3日放送)を前に、星葉高校のピッチャー・児玉拓海役を演じる羽谷勝太さんにインタビュー。第8話の見どころなどを聞きました。

本作は高校野球を通して、現代社会の教育や地域、家族が抱える問題やさまざまな愛を描く、ドリームヒューマンエンターテインメント。「下剋上球児」(カンゼン/菊地高弘 著)にインスピレーションを受け企画され、登場する人物・学校・団体名・あらすじは全てフィクションとなる。

12月3日放送の第8話は南雲(鈴木亮平)が監督に復帰して1年。越山高校野球部は“日本一の下剋上”を目指し、夏の大会で34年ぶりにベスト8に進出していた。地元の後押しを受けて準々決勝も突破した部員たちだったが、どこか緊張感を欠いており、南雲と山住(黒木華)は不安な思いを抱えていた。

迎える準決勝で対するは賀門(松平健)率いる強豪・星葉高校。南雲にとっては教員免許の一件以来決別した賀門との師弟対決。甲子園出場へ重要な一戦の先発に、南雲はエースの翔(中沢元紀)か、成長著しい根室(兵頭功海)にするかで頭を悩ませていた。


◆ここまで撮影に参加してみて、いかがでしょうか?

僕自身、初ドラマということで、どんな感じの現場なのかなというドキドキもありましたし、ワクワクしました。特に球児役は同世代の方が多いということもあって、すごく盛り上がっていますし、スタッフの方々もチームとして一体感があって。撮影に行っているというより、高校時代の部活に行っている感覚に近くて、毎日楽しませてもらっています。あとは、鈴木亮平さんをはじめとする、すごい俳優さんたちがいっぱいいらっしゃるので、ずっと観察して勉強しています。

◆お芝居の手応えはいかがですか?

カメラが回る前は、「これでいける」という手応えがあるのですが、オンエアを見ると「もうちょっとこうしていれば良かったな」とか、「こういう動きもあったな」と。それは学びですし、いろんな方にお話を聞くと、「それはどこまでいってもそういうふうに感じると思うから、あまり気にせず」と言っていただいたので、今できる自分の最大限を出せるように頑張っています。

◆現場では鈴木さんとお話する機会はありましたか?

ありました。僕自身、一番目標にしている俳優さんが鈴木亮平さんで、まさか初ドラマでご一緒できるなんて思っていなかったので、本当に光栄だなと思いました。撮影の合間には役者としてのあり方や、役作りをするための考え方など、本当にたくさん細かく教えてもらって、貴重な時間を過ごせています。

『下剋上球児』©TBSスパークル/TBS 撮影:ENO

◆役作りに当たって、ビジュアルも変えられたと思うのですが、ファンの皆さんからの反響はいかがでしたか?

一番分かりやすいところでいうと髪形を変えたのですが、「長髪の方が良かった」とかもありました(笑)。自分の中で、一番意識して変えたのは、体作りです。強豪校のピッチャーって、僕の現役時代もそうですし、今でもそうですが体がすごくごついんです。僕もそんなに細い方ではないですが、高校球児のエースとしては、見劣りする部分があるので、1からトレーニングをして、1か月半で胸囲が10センチ伸びました。毎日筋肉痛になるくらいトレーニングを繰り返しました。あとはピッチング。現役時代はピッチャーではなかったので、大学時代のエースにお願いして、僕のフォームをLINEで送って「もうちょっと、ここはこうした方がいいよ」と指摘してもらって修正して、3年生を演じるまでに完成できたらいいかなという感じでやっていました。

◆ほかにも反響は届いていますか?

僕は「あめんぼぷらす」としてYouTubeで野球を舞台にした作品を扱っているので、もともと野球ファンが多い方で、ドラマが決まってからはありがたいメッセージも届きますし、ドラマが1話オンエアされるごとにありがたい声が届いています。

僕の友人も野球関係の方が多いのですが、「絶対見るわ!」「面白かった!」という声をいただけますし、あとは久しぶりに連絡が来た人からは「とても面白かった。これ最後どうなるの?」とか聞かれたり(笑)。高校の監督からも連絡が来ました。

◆普段、あめんぼぷらすとして “野球部あるある”をYouTubeで投稿されていますが、越山高校野球部、星葉高校野球部と共通するところはありますか?

きちんと練習に出てこなかったり、真面目にやらない越山高校野球部は、あめんぼぷらすにも共通していることですが、星葉高校野球部ではそんな態度をしているとグラウンドから出されると思います(笑)。

◆オーディションを経て出演が決まりましたが、一度、落選という形で、リアルに下剋上をして出演が決まりました。その時の心境はいかがだったんでしょうか?

最初、メインキャストから落ちたと知った時は、正直めちゃくちゃショックでした。でも、すぐに「そんなに甘いものじゃないよな」と頑張って切り替えるようにしていたところに、ライバル校のエース役という重役を与えてくださったので、それは本当に光栄だなと思いました。主人公でもメインキャストでもないけど、自分は主人公と思って撮影に取り組めました。

◆星葉高校野球部にもきっといろんなストーリーがあるんだろうなと思いますが、塚原あゆ子監督からはどういう存在でいてほしいというリクエストはあったのでしょうか?

強豪校という設定なので、越山高校よりは、松平健さん演じる賀門監督に対する一つの返事や姿勢は、強豪に見えるようキビキビと動くようにと言っていただきました。

ほかにも塚原監督は「演じる事は役と自分の融合だからもっと自分を出していいよ」と言ってくださっていて。もっと自分の良さを出して、僕にしかできない演技ができるように頑張っていきたいです。

◆共演シーンが多い賀門監督役の松平健さんや江戸川快斗役の清谷春瑠さんとはどんなお話をされていますか?

松平健さんとは、まだしっかりしたお話ができていなくて、現場で演技に対する姿勢などをずっと観察して、勉強させてもらっています。江戸川役の春瑠君(清谷)に関しては、基本現場でずっと一緒にいるので、たわいもない会話を永遠に続けています(笑)。本当にかわいい子で、僕と一緒に話すことも、お芝居もめちゃくちゃ全力で、何歳になってもそういう気持ちは大事にしていきたいなって思いました。

◆共演者の方から刺激を受けているのですね。

そうです。鈴木亮平さんも撮影の合間にノックを打ってくださったり、キャッチボールをしてくださったり、周りに声をかけてホームランを競ったり。刺激も受けていますし、本当にに楽しい現場になっているので、いつまでもこの時間が続いたらなって思います。

◆中学時代、児玉と江戸川と名門クラブチームで一緒だった犬塚翔役の中沢元紀さんとはいかがですか?

中沢君は、本当に犬塚翔なんですよね。作品の中でも性格で繊細な部分がありますが、中沢君本人も繊細といいますか、優しさがにじみ出ているような方。実際に同じシーンをやらせてもらっていますが、全然演じている感じがなくて、本当にプライベートで話しているような感覚でせりふが返ってきますし、ぶつけてくださるので、やりやすいなという印象があります。

◆児玉は江戸川と共に翔のことをライバルではあるけれども、同じ球児として認め合っているような印象を受けたのですが、ご自身で心掛けたことはありますか?

台本を読んだ時に、よく見るようなバチバチのライバル関係ではないなと思いました。そこで、僕の中で役作りノートを作って、中学時代に同じチームで過ごした3人の思い出を空想で書き出しました。“練習はこんな雰囲気だった”“試合の帰りはコンビニへ行ってアイスを食べた”“温泉に行った”“一緒に遊んだ”というストーリーを作って、決して翔が嫌いじゃないということを自分の中に植えつけました。

『下剋上球児』©TBSスパークル/TBS 撮影:Len

◆第3話で児玉と江戸川が、翔たちとすれ違う時に「翔がエースや」と言っていましたが、そのトーンから翔のことを認めているんだなというのが伝わってきました。

ありがとうございます。リアルでも野球に限らずあると思うんです。悔しい気持ちはあっても、相手を認めなきゃいけないことって。僕も野球をしながら経験していますが、そういう時って劣等感の塊でほんとに辛いんですよね。でも児玉ならそれを認めて練習に励むと思います。

◆新井順子プロデューサー、塚原監督の作品では、企画書や設定資料に役について細かく書かれていると思うのですが、その役設定の中で役作りに生かせた設定はありますか?

児玉の趣味に“野球カード集め”と書いてあったんです。それが僕の中でちょっとしたヒントになって、野球カードを愛している人に相手をひがむような人はいないんじゃないかなと思ったんです。僕の偏見かもしれないですが(笑)。なので、役作りのノートを作るときに、お気に入りのピッチャーのカードを翔や江戸川に見せつけた時に、そのカードを傷つけようとする2人に「やめろ、やめろ」としていたとか。コンビニでその野球カードのパックを3人とも買って一緒に開封していたみたいなことを書きました。

◆ほかにも役作りする上で、何か特別なことをされたりしましたか?

僕、撮影が始まる前に、ドラマの原案になった白山高校を優勝に導いた東(拓司)監督にアポを取って、取材に行ったんです。当時の野球部の雰囲気だったり、この選手はこんな感じだった、チームの雰囲気はこんな感じだったというお話をたくさん聞かせてもらいましたし、東監督に取材へ行った時にちょうど白山高校と決勝で戦った松阪商業高校の冨山(悦敬)監督もたまたまおられて、冨山監督からもお話を聞いて、僕の役作りの糧になりました。その経験から情報収集することは大事だなと思ったので、今後もやっていきたいと思います。

◆取材したことをどなたかに話されたりしましたか?

自分からはしなかったのですが、東監督が撮影現場に来られた時があって、そこで鈴木亮平さんたちに「この子、俺のところに直接取材しに来て。役作りに熱心な子やねん」と紹介してくださったんです。亮平さんもその時におられたので、一番の目標にしている俳優さんに知ってもらえた事がうれしかったです。

◆本作に出演されて、今後の俳優活動にどのようにつなげていきたいでしょうか?

今回、これまで12年間やってきた野球という自分の特技を生かした作品に出演することができて、野球はもちろん、演技も見てもらえる場になったと思います。今後、演じてみたいのは、まず第一に自分を生かせる明るくておバカなキャラをしっかり演じたいです。でもいつかは技術的な職業についた役を演じたい。医者であれば、体を縫うシーンなど、技術的なことを練習しないといけないと思うので。それは僕の中ですごく役作りにやりがいを感じると思いますし、魅力的だなと。あとはサイコパスみたいな役の幅も効かせられるように、この作品がきっかけの一つになってくれたらうれしいです。

亮平さんや(黒木)華さんたちの現場での振る舞い方、役者の在り方、周りへの気遣いの仕方を見ていると、本当にすごい俳優さんだなと感じています。僕は自分のことで精いっぱいで、亮平さんや華さんたちの振る舞いに助けられているので、将来的にはそういった配慮もできるような俳優さんになりたいなと思っています。

◆第8話の見どころを含めた終盤の注目ポイントを教えてください。

8話から最後の夏の大会が始まります。野球の真の熱さや、人間ドラマが一番熱い回になっています。2話で越山高校と星葉高校が戦った時は星葉高校が勝ちましたが、それが2年の時を経てどうなっているのか、すごく気になるところだと思います。球児のひと夏に懸ける思いもビンビンに伝わってくるので、大いに期待して楽しみにオンエアを待っていたらいただけたらうれしいです。

◆児玉としてはいかがでしょうか?

3年生になると児玉はキャプテンでエースになります。1年生の時とは違った、チームを見守る顔つきだったり、グラウンドでの周りへの声かけなど、せりふがないところでも映像を通して表現したいなと思っているので、楽しみにしててください。あとは、トレーニングを積んでフォームの改良もして、体もごつくなったので、ピッチングもバッティングも注目してもらいたいです。

PROFILE

羽谷勝太
●はたに・しょうた…1996年7月23日生まれ。大阪府出身。O型。

番組情報

日曜劇場『下剋上球児』
TBS系
毎週日曜 午後9時~9時54分

<キャスト>
鈴木亮平、黒木華、井川遥、生瀬勝久、松平健、小泉孝太郎、小日向文世ほか

<スタッフ>
原案:「下剋上球児」(カンゼン/菊地高弘 著)
製作:TBSスパークル、TBS
脚本:奥寺佐渡子
プロデュース:新井順子
演出:塚原あゆ子、山室大輔、濱野大輝、棚澤孝義
編成:黎景怡、広瀬泰斗

番組公式サイト:https://www.tbs.co.jp/gekokujo_kyuji_tbs/
番組公式X(旧Twitter):@gekokujo_kyuji
番組公式Instagram:@gekokujo_kyuji
番組公式TikTok:@gekokujyo_tbs

©TBSスパークル/TBS 撮影:ENO
©TBSスパークル/TBS 撮影:Len

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