MBSドラマシャワー『佐原先生と土岐くん』(MBSほか 毎週木曜 深夜1時29分ほか)の第4話(12月28日(木)放送)を前に、W主演を務める岐洲匠さん、八村倫太郎さんにインタビュー。ここだけの撮影の裏話や、お互いの印象などを聞きました。
『体感予報』『4月の東京は…』『高良くんと天城くん』『永遠の昨日』など多種多様なBLドラマを提供してきたMBSドラマシャワーが次に実写ドラマ化するのは、体育教師の佐原(岐洲)とピュアなヤンキー・土岐(八村)のもどかしすぎる恋を描いた鳥谷コウの人気BLコミック「佐原先生と土岐くん」(MFC ジーンピクシブシリーズ/KADOKAWA刊)。監督を映画「喝 風太郎!!」やドラマ『ゲキカラドウ』シリーズを担当した柴田啓佑が務める。
◆W主演として、出演が決まった時のお気持ちをそれぞれお聞かせいただけますか。
八村:たぶん、僕一人だったら折れていた気がします。
岐洲:それは僕も同じかも。
八村:本当ですか。匠君とだからできたなと心の底から思っています。本当に出会えてよかったなと思うし、お互い違うやり方で現場を盛り上げて、お互いを支え合うことができたので、ピタッとハマるピースだったなと思います。あざっす。
岐洲:こちらこそ。本当にこんな運命的なことがあるんだと思いました。初めて会った次の日がビジュアル撮影だったのですが、その日が終わって「きっとこの2人の関係は、長く続いていくだろうな」と感じたんです。出会って2日で、これからも続く仲だと思うことってなかなかないと思うんです。ですが、そう思わされましたし、すごく特別なチームになるんだろうなと。実際、大変なことがたくさんありました。ですが、その1つ1つも楽しめたというか、乗り越えられたのは倫太郎だったから。本当に感謝しています。
八村:最強のダブル主演です。
岐洲:ただ、すごく久しぶりの恋愛プラス爽やかな役だったので、とても緊張しました。最近は時代劇に出ることが多かったので、役がずっと重たかったんです。なので、感覚を取り戻そうと、爽やかに演じていた頃の自分の映像を見ました(笑)。
八村:土岐が魅力的な人物で、僕にないものを持っている人でしたし、人生真っ向勝負で挑んでいたので、僕も土岐を演じるに当たって、この作品に真っ向勝負で挑もうと思って、気合は十分でした。
岐洲:スポーツ選手みたい(笑)。
◆演じられた役柄とご自分の共通点はありますか?
岐洲:共通点は多かったです。それにプラスして、2人でお芝居をしていく中で、「ここ、とても似ている」というところが増えていきました。初めは僕が教師役で、キャストの中で一番年上ということもあって、支えようと思っていたんです。だけど実は土岐に支えられていたことに気づいて。佐原が心を開いてくシーンがあるのですが、本当に自分の気持ちとリンクして、自然でいられましたし、お芝居もすごく柔らかくできました。奥底に眠った闇を出すことは苦しいことですが、この人にだったら言えるという、その気持ちを味わえたので、一緒にお芝居をしていてすごく楽しかったです。
八村:ありがとうございます(照)。
◆八村さんはいかがですか?
八村:僕は半々です。土岐と共通するところは、孤独が嫌だ、その孤独が寂しいものであるということを知っているところが一緒だなと思って。僕も、人に無視されたり、興味を持たれていなかったりするのはすごく悲しいですし、土岐はそのまま生きてきてしまって、愛情や思いやりは持っているけれども、それが相手にうまく伝わらなかったり、正直すぎて誰も賛同してくれなかったりして、どんどん一人になってけんかに走ってしまうところがあると思ったんです。もともとは嫌なやつではないことは作品を読んだら分かりますし、だからこそ、土岐は人に思いやりを持って正直に接することができるし、いろんなものに対して新鮮で、人に愛を持って接することができる。僕はそういう思いはあるけれど、変にカッコつけたり、隠したりして、土岐ほど正直になれていないことがあったので、そこは土岐に背中を押してもらって、土岐の良さを世間に知ってもらいたいなと思って精いっぱい演じました。
◆仲良しなことが伝わってきますが、お互いの第一印象と、共演してみての印象を教えてください。
岐洲:正直、倫太郎に会う前は怖かったんです(笑)。キャスト表が送られてきた時に、倫太郎の写真がWATWINGのすごくイケイケな感じの写真で、しかもインスタもめちゃくちゃおしゃれで。ですが実際に会ってみたら、「超緊張しています。よろしくお願いします」と言われて、「あ、大丈夫だ」とほっとして、安心と楽しみに変わりました。
八村:うれしいです。いいギャップでしたね(笑)。僕は最初から安心感がありました。お会いして、すごくいい人だなと思いましたし、一緒にお芝居を重ねていくうちに、お芝居に正面からしっかり考えて向き合われていて。何よりも一緒に作品を作るので、僕は熱量がないとどこか物足りないなと思ってしまうのですが、匠君も熱量がものすごく高かったので、僕もそこに追いつきたいなと思いましたし、なんなら追い越して、匠君の熱量もさらに上げてやるぞぐらいの気持ちでいられたのは、本当に匠君のおかげ。お芝居だけでなく、地方での撮影で日常も一緒に入れたことで、もっと良さを分かることができました。
◆お互いの役柄がどんなところに引かれて好きになったと思いますか?
岐洲:(土岐が)いままで出会ったことのなかった存在であることと、佐原は気持ちを秘めているだけという状態に慣れてしまっているけれど、そんな佐原とは反対に気持ちをオープンにする土岐がいて。佐原の予想外のところから、どんどん突き刺してくる。佐原にとって、これまで心を許せた人はいたけど、それで失敗して、傷を負っていたりするので、本当に初めて心を許せた人でイレギュラーな存在です。
演じていて印象的だったのは、土岐を演じる倫太郎の真っすぐなまなざし。本当に心が真っすぐすぎて、ばって言われた言葉に、勝手にニヤけてしまうんですよ。恥ずかしいのか分からないけれど、ニヤってしちゃうんです(笑)。いとおしいと思った瞬間がいくつかありました。
八村:(ニコッと笑顔で反応)僕は土岐が抱いていた孤独だったり、誰も構ってくれない現状に対して冷め切っていた心に、唯一熱をくれたのが佐原先生だなと。土岐の扉を開けて、心のよりどころになってくれる佐原先生というのが、きっと土岐にとってはすごく大事で、ずっと自分のことを気にかけてくれているし、人にこんなに愛情をぶつけていいんだ、正直になっていいんだと思ったのは、きっと佐原先生がいたからだと思うんです。そういう存在がいるのはすごくすてきだなって思います。
◆佐原先生と土岐くんの関係について、感じたことはありますか?
八村:愛だよね。
岐洲:いろんな形から始まるものがありますが、本当にちゃんと愛が詰まっているよね。コメディだから、真面目にふざけている部分もありますが、この『さはとき』でキュンと思えるところは、カッコいいせりふを言ったり、キラキラってしているところよりも、ちょっと重めのシーンに詰まっていると思っています。
八村:同じだ。
岐洲:すごくすてきだなって。早く先が見たいですね。
八村:ヒューマンドラマでもあるなというのはすごく思います。
◆人気漫画が原作ということでプレッシャーはありましたか?
岐洲:ありましたね。
八村:原作が素晴らしいと思ったからこそ、やりたいと思いましたし、原作に対して思いを寄せているファンの方々がいらっしゃることも意識して。ですが、僕は現実世界で実写化しても原作には届かないと思うんです。真似をしたら絶対に原作には届かないですし、それは演じる上で違うのかなと。僕が土岐を演じることで僕という要素が入ってしまうから、絶対に違うやり方になるだろうなと思ったので。もちろん原作を読み込んではいますが、演じる上では原作を意識しすぎないようにしました。理由は、絶対に原作の土岐を追ってしまうと思ったからです。原作の土岐はああいう顔していたから、こういう顔を作らなきゃなって。もうそれは僕から生まれたものではないので、しっかりと僕が土岐について考えて、佐原先生を演じる匠君と一緒に過ごして、現場の雰囲気、周りのキャストの皆さんとのコミュニケーションがあって、僕が演じる土岐がいるので、そこは原作とはまた違ったドラマの土岐だと捉えてほしいです。
◆岐洲さんはいかがでしょうか?
岐洲:倫太郎と考えが似ていて、原作には原作の良さがあって、ドラマにはドラマの良さがあると思っています。僕も原作を読みましたが、シーンごとに読み返したりはせずに、本当に自分が思った感情をそのまませりふに乗せていますし、自分が思ったことしか言えなかったです。僕たちは思うままやって、それを言葉を監督がちょっと原作に寄せるとか、うまくコントロールしてくれて、すごくやりやすいチームでしたし、何より2人で土岐と佐原先生について話せたことが大きかったです。
八村:整理されますよね。
岐洲:そうそう。だから、現場に入って新しい悩みが生まれることはあっても、現場に向かう時には悩みはなかったです。本当にすごく爽やかで新鮮な気持ちで取り組めました。
八村:今回このドラマを通して、原作ファンの方々にも土岐や佐原先生はもちろん、あらためてこの作品は素晴らしいなと思ってもらえたらうれしいです。
◆作品を演じるに当たって、何か心掛けたことは?
岐洲:何よりも2人で話し合えたことが、自分の中では準備になったというか、高め合えて、いいものになったかなと思います。
八村:今回、匠君と一緒にやってきて、絶対にこの関係値から生まれるものがあるなと、早々に僕は思えたので。
岐洲:僕も思った。
八村:なので、ここの関係値をもっとより濃いものにしていって、自分たちでどんどん追求していく方がきっと良いものが生まれるなと思いました。
岐洲:安心感があったんですよ。倫太郎に会った時に、ちゃんといとおしく思えるという自信がありました。