お笑いコンビ・トンツカタンの森本晋太郎さんがTV LIFEで連載中のコラム「トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行」。「今年売れる」と言われ続ける中での出来事や本音が綴られた“飛躍を夢見る芸人の備忘録”をwebでも公開します。今回は、とあるネットニュースの話。（TVLIFE 2023年4月12日発売号より転載）。
地に足つけてくれるのはいつだってネットニュース
読者のみなさん、ネクブレ～！前回からこちらで連載をさせてもらってるトンツカタン森本です。実はこれを書いている現時点ではまだ初回が掲載されたTV LIFEは発売されていません。果たしてこのコラムの方向性が受け入れてもらえているのかという一抹の不安と、最初の挨拶は金輪際やめたほうがよさそうだという圧倒的な確信が渦巻く中、今回もネクストブレイク話をひとつ。
テレビ、ラジオ以外のメディアが乱立する昨今、芸人が売れてる／売れてないの基準がどんどん曖昧になっていってる気がする。裏を返せば『そこに固執しなくてもよくなった』という見方もできるので、それすなわちお笑い業界がより健康的な状態に向かっているのかなと僕は解釈している。今まで結構な割合を占めていた運の重要性が少しずつ減っているのが個人的にはいいことだと思う。
そんな中、僕は基本的に24時以降にしかテレビに現れない逆シンデレラみたいな露出をしているのだが、ごく稀に「最近よく見るよ。売れてるね」と言ってくれる人がいたりする。今までしっかりとブレイクの基準というものについて考えてこなかったけど、たしかに思えば地上波で冠番組をやらせてもらってるし、去年も70本くらいテレビに出させてもらってる。もしかしたら僕は無自覚にネクストブレイクを卒業していたのかもしれない。となるとこの連載も残念ながら断腸の思いで打ち切らせてもらわなければならない。
せめてもの礼儀として菓子折りを持ってTV LIFE編集部に直接伺おうとしていた矢先、とあるネットニュースが目に飛び込んできた。
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なにを隠そう、この『親友の男性お笑い芸人』とは僕のことだ。ここに『トンツカタン森本』と書けば2文字削れるのにも関わらず、このような表現にしたということは記者の方が「見出しにトンツカタン森本と書くとアンチコメントを書きたい勢が踵を返してしまう」と思ったからに違いない。わしゃバーチャル魔除けか。
危うくブレイクしたと勘違いして最終回にしてしまうところだったが、このネットニュースのおかげで踏み止まることができた。記者の方、ありがとう。今なら声高らかに宣言できる。僕はまだまだネクストブレイク芸人だ。TV LIFEさん、この感じだと超長期連載の可能性あります。
というわけで当面の目標はネットニュースの見出しにトンツカタン森本という文字を載せてもらい、そこに「誰？」というコメントを書かれることとする。欲を言えばそのコメントに対して「知らないなら書くなよ」という返信からレスバトルに発展するやつやってほしいし、最終的に「みんな、僕のために争わないで！」ってご本人登場して収めたい。そしたら完全にネクストブレイク卒業と言っていいだろう。「そんなんでいいのかよ」という声も聞こえてきそうだがこればっかりは仕方がない。だって基準なんて人それぞれなんだから。（菓子折りをむさぼりながら）
森本晋太郎
●もりもと・しんたろう…1990年1月9日生まれ、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。趣味でもあるツッコミに特化したYouTubeチャンネル「タイマン森本」も好評。