お笑いコンビ・トンツカタンの森本晋太郎さんがTV LIFEで連載中のコラム「トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行」。「今年売れる」と言われ続ける中での出来事や本音が綴られた“飛躍を夢見る芸人の備忘録”をwebでも公開します。今回は、クリス松村さんの話。(TVLIFE 2023年11月22日発売号より転載)
会えば会うほどびっクリス
読者のみなさま大変長らくお待たせいたしました。前回予告した通り、今回はクリス松村さんに関するコラムを執筆させていただこうと思う。
クリスさんといえば我々の世代は『クイズ!ヘキサゴンII』などで強烈なインパクトをお茶の間に与えていたイメージがあるのではないだろうか。当時はただただ番組を見て笑っていただけだったが、今なら単身で彗星の如くテレビ業界に現れてあっという間に定着していくことのすごさが身に沁みる。
そんなクリスさんと初めてご一緒したのがTOKYO MXで放送している『土曜はカラフル!!!』という情報番組だ。その日は楽屋が隣の部屋だったのだが、壁を貫通する声量でクリスさんがスタッフさんと雑談していた。どうやらこれはこの番組では日常的な現象らしく、MCのアンミカさん曰く「会わなくてもクリスさんの近況が全部耳に入ってくる」とのこと。テレビでは意外とわからなかったマンパワーの要因が垣間見えた気がした。
そうして迎えた本番。アンミカさんによるオープニングの挨拶が始まる0.5秒前まで2000人キャパのドデカボイスで喋っていたクリスさんはなりふり構わず場をかき回していくので僕もフルスロットルでなんとかギリギリついていくのが精一杯。極め付けに僕がやった両手指ハートを胸ぐらを掴むジェスチャーだと思われてしまい一瞬スタジオがピリつくという特殊すぎるハプニングもあってとにかく大暴れの1時間だった。
そんな衝撃的な出会いをきっかけに、僕は無謀にもまだ関係性も薄い中でトークライブのゲストとしてオファーさせていただいた。ダメ元にも関わらずクリスさんは快く引き受けてくださり、ライブの後半30分で登場していただいたのだがテレビの時と全く変わらないか下手したらそれ以上の熱量で怒涛のトークを繰り広げた。僕がもうそろそろ時間だと伝えると汗だくのクリスさんは
「なに言ってんの!延長よ~!!」
と声高らかに叫び、結局その後も20分会場を笑いで揺らし続けた。客席からは笑い疲れた時に出る幸せなため息がいたるところで聞こえるくらいだった。
それから僕は定期的に『土曜はカラフル!!!』に呼んでいただいているのたが、その度スタッフさんから「今日もクリスさんの手綱をよろしくお願いします」と言われる。共演回数が増えれば増えるほど信頼関係が出来上がってうまくいくと思っていたのだが、つい先日『わさびの絵を描いてください』という企画でクリスさんがどちらかと言うとわさびよりちんちんに近い絵を無自覚で発表し、いとも簡単に手綱が僕の手から離れた。
実力不足を痛感する日々はまだまだ続く。
ネクストブレイク、延長よ~!!
森本晋太郎
●もりもと・しんたろう…1990年1月9日生まれ、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。趣味でもあるツッコミに特化したYouTubeチャンネル「タイマン森本」も好評。