漫才日本一を決める「M-1グランプリ」。今年はクリスマスイブ、12月24日(日)に決勝が行われる。昨年はウエストランドが2度目の決勝進出で、勢いのある漫才そのままに頂点へと駆け上がった。今年のM-1は敗者復活戦がブロック制、芸人審査+観客審査になるなど大きくリニューアル。放送時間も午後3時~そのまま本戦に続く7時間強のぶっ通しになるなど、新たな一歩を踏み出すことになった。
決勝初進出が5組、最多進出でも3回目が2組といわゆる常連と呼べる組が少ない顔ぶれがそろったファイナリスト9組。TV LIFE webでは、今年も毎日1組ずつファイナリストのインタビューをお届けしていく。
7組目は初の決勝進出を果たした、今年のファイナリスト中、最年少の令和ロマン。芸歴6年目、髙比良は今回唯一の20代でもある。ともに高学歴、吉本興業の養成所(NSC)を首席で卒業、松井の父についてなどネタ以外の面で注目されることも多いが、M-1ではデビュー年の2018年に早くも準決勝に出場。以降も毎年準々決勝以上への進出に加え、「NHK新人お笑い大賞」大賞受賞など賞レースでも好成績を収めており、ネタへの評価も高い。年末には初の地上波冠番組の放送も決定と勢いが加速している今、M-1王者の称号も手にしてさらなる高みを目指したい。
◆初めての決勝進出、おめでとうございます。まずは今のお気持ちを聞かせてください。
髙比良:人間、予想外のことが起きるとふわふわしますけど、周りから「今年は決勝行けそうだね」とずっと言ってもらっていましたし、行けるようにがんばってきたので(ふわふわせずに)自分のままでいられています。ここから先、決勝では自分がどう思うのかな…という感じですね。
松井:僕は予想外…ではなかったですが、おめでとうのLINEとかがたくさん来て。そこはあまり想像していなかったので、ちやほやされてうれしいです。
髙比良:その予想外は僕もありますよ。みんなが喜んだり泣いたりしているのを見て、泣いちゃいました。周りが泣いているのとか弱いんですよ。甲子園を見ると泣いちゃうし。一緒にツーマンライブをやってきたヤーレンズの出井(隼之介)さんが泣いていたり、ダイタクさんやオズワルドの伊藤(俊介)さん…東京吉本の先輩方が泣きながら、興奮しながら「がんばれよ!」と言ってくれたり。そういうのはくるものがありますね。僕、やっぱり人が好きなので。
◆今年のM-1のキャッチコピーは「爆笑が、爆発する。」です。これまでの戦いを振り返って「爆発した」と感じる瞬間はありましたか?
髙比良:爆発してないよね、俺ら。いつも爆発しないんです。がんばっているつもりではあるんですが、その日のイチウケ(一番ウケた)とか言われたことがないのが悩みで。極端に変なことはしていないので、爆発はなかなか難しいのかなとは思うんですが。どうしたら爆発すると思う?
松井:なんだ…覇気だ、覇気! 芸人としての色気。舞台で、とかではなく常に。建物に入った時から覇気がないとアカンって。
髙比良:(中田)カウス師匠に言われたね。だから俺、NGK(なんばグランド花月)に入る時や準決勝でニューピアホールに入ったときも、目をガンガンに開いて、カバンを肩にひっかけて“覇気持ち”してきたから。あと2週間くらいで覇気を身につけたいですね。そうだ、一回山に行こうぜ、マジで。
松井:じゃぁ…山に行きます、はい。覇気を身につけてきます。
◆自分たちの強み、持ち味は何だと思いますか? 「ファイナリストの中で自分たちが一番○○だ!」に当てはめると?
松井:「一番博識」。2人合わせたらいけるでしょ。
髙比良:確かに今回のファイナリストだと、そういう系の人はいないもんね。俺は「一番演技してます」ですね。漫才で芝居ってもう流行ってないんですけど、俺たちはまだ役を演じてます。みんな自分のままでちょっとボケる感じじゃないですか。俺だけですよ、ちゃんと毎回違う人になっているのなんて。4分の中で3~4人やりますから。今は個人が面白いほうが面白いので流行ではないですが、現役の中で一番芝居が上手いと思ってます。
◆優勝すると賞金1000万円です。どう使いますか?
髙比良:あなたはお金持ちなんだからうれしくないでしょう? 決勝決まって、お父さんは何か言ってた?
松井:僕、本名は浩一なんですが「コウちゃんおめでとう!」と喜んでくれました。
髙比良:僕らいつも、賞金をもらったら僕に全額くれるっていうノリをやっているんですが、1000万円どうします?
松井:え、あげる。
髙比良:今、全額もらえるって決定したので、掘っ建て小屋でいいので1000万円で劇場を作ります。東京には劇場が足りてないので。
◆ほかのファイナリストの中で意識しているコンビはいますか?
松井:ダンビラムーチョさん。大好きなんです。NSCのダンビラムーチョさんの代(NSC東京校16期)が好きで、その中で大原(優一)さんというなんというか、ふわふわした才能の塊とでもいうか。
髙比良:僕ら2人とも男子校出身なんですが、大原さんって男子校のマジでおもしろい先輩っていうイメージなんです。
松井:あんなにかわいい天才っていなくないですか? 天才ってもっと怖いはずなのに、かわいくて天才。今までのM-1での戦績もほぼ一緒なので、意識していますね。
髙比良:タイプは違いますが、一緒にライブをやってきたヤーレンズさんですね。去年の敗者復活戦で負けてから、今年は決勝に行くぞと毎月ツーマンライブをやってきたんです。その2組両方とも決勝に行くって、けっこうすごいことだと思います。どっちかが落ちたら気まずい、どうしよう…とずっとおびえていましたから。次は2組で最終決戦に残りたいです。
◆子供のころ、一番初めに M-1を見た記憶はどの大会ですか?
髙比良:2006年のチュートリアルさんの「チリンチリン」ですね。
松井:僕もです。
髙比良:僕らの世代って2005年のブラックマヨネーズさんを挙げる芸人が多いんですが、僕はチュートリアルさんのその年の1本目も覚えてないくらい、2本目の「チリンチリン」をすごく覚えていて。親がめっちゃ笑ってて、僕も面白いなと思ったし、そこからちょっと徳井(義実)さんのマネしましたもん。ヨギータとか。
松井:僕も家族でテレビでヨギータを観ていて、お父さんが「徳井は面白いな~」と言っていた記憶があるので、チリンチリンも見ていたと思います。
◆今後、出演してみたい番組、もしくはやってみたいご自身の冠番組はありますか?
松井:『旅猿』みたいな番組をやりたいです。誰と…ダウンタウンの浜田(雅功)さんと。
髙比良:コンビ活動は劇場や漫才があるから、テレビだったらそのほうが(個々でのほうが)いいかもな。じゃあ俺は、ロングコートダディの兎さんとラーメン番組をやります。
◆最後に、決勝へ向けた意気込みを聞かせてください。そして、相方にも何か一言を!
松井:絶対優勝するマン。お前も絶対優勝するマンにならないか?
髙比良:えー、僕からはお断りです(笑)。すべてのお笑いファンの皆さんに、メリークリスマス!とプレゼントを届けたい。クリスマスイブに7時間もテレビにかじりついてくれるんだぜ?
松井:確かにそうだな。
髙比良:だからアイツら、お笑いファンに少しでもいい思いをさせてやりたいです。
●text/松田優子
番組情報
『M-1グランプリ2023』
ABC・テレビ朝日系列全国ネット
2023年12月24日(日)午後6時30分 ~10時10分
『M-1グランプリ2023 敗者復活戦』
ABC・テレビ朝日系列全国ネット
2023年12月24日(日)午後3時~6時30分
『速報!M-1ネクストデイ ~王者誕生までの舞台裏~』
ABC・テレビ朝日系列全国ネット
2023年12月25日(月)午後8時〜
※すべて生放送
番組公式HP:https://www.m-1gp.com/
©M-1グランプリ事務局