2月10日(土)から上演される舞台「欲望という名の電車」はアメリカ演劇を代表する劇作家テネシー・ウィリアムズ氏の名作で、1947年にブロードウェイで初演され、ピューリッツア賞を含むブロードウェイ3大賞を同時受賞。1951年には映画化されアカデミー賞を受賞し、映画史に残る名作となった。そんな本作が鄭義信氏演出、沢尻エリカさん主演で上演されることが決定。沢尻さん演じる主人公のブランチと接点がある集金人の若者を演じる青木瞭さんに、本作の見どころや自身が演じる役柄などについて聞いた。
◆「欲望という名の電車」の出演が決まった時のお気持ちから教えてください。
うれしいという気持ちの前にまず驚きました。歴史ある作品に出演させていただける上に、物語の中で一つの起点になる役どころなので、うれしい気持ちもありましたが、本当に驚きましたね。
◆ご自身の演じる役をどのようにとらえていますか? 演じる上で意識していることがあれば教えてください。
今回僕が演じるのは、沢尻エリカさん演じる主人公のブランチと接点がある集金人の若者役です。役柄的にも実年齢もキャストの方々の中では一番下なので、若さやフレッシュさをお客様に伝えることが大事なのかなと思っていて。初々しさを出しつつ、明るくハキハキと演じるように心掛けています。
◆まさに青木さんは明るくハキハキされている印象ですが…。
ハキハキというより、ただ元気なだけです(笑)。性格の明るさの部分は役と変わらないと思うので、自分の要素を取り入れつつ、役としてもしっかり生きようと思っています。もっともっとフレッシュな感じを出していけたらいいなと思っています。
◆初々しさを出すために、役作りとしてされたことはありますか?
僕は地声が低いので、声のトーンを高くすることですね。声の出し方でも年齢が感じられてしまうと思うので、舞台の上ではできるだけ高い声を出すようにしています。
◆沢尻さんや伊藤英明さんなどそうそうたるキャストの皆さんが勢ぞろいしていますが、稽古場の雰囲気などはいかがですか?
沢尻さんや伊藤さんは誰よりも稽古場に早くいらっしゃって、せりふ合わせをされていたりするんですよ。稽古の初日からほぼ台本を持たれることもなく、真摯に作品や役と向き合う姿に胸を打たれました。座長たちがこういう雰囲気を作ってくださるからこそ、みんなで一丸となれるんだなと。とにかくすごいなと思うことばかりで、日々勉強させていただいています。お二人をはじめ、すてきな方たちしかいないので、僕は皆さんの姿を見てお芝居についてたくさん吸収できたらなと思っています。
◆実際に沢尻さんや伊藤さんからアドバイスを受けたことはありますか?
はい。「こうしてみたらどうかな?」とアドバイスをしてくださるんです。こんな僕に対してもとても丁寧に優しくアドバイスしてくださってうれしかったですね。
◆人としても、俳優としても刺激や影響を受けていると。
はい。僕にとってはメリットしかないですね。稽古の合間は、他愛もない話をしたりして楽しく過ごしているんですが、お芝居の場に入ると皆さんの顔つきがガラッと一気に変わるんです。そういう切り替えのよさもすごいところだなと刺激を受けています。
◆約1か月公演がありますが、この作品を通して得たいものや終わった後にどんなふうに成長していたいなど目標を教えてください。
こんなにすてきなキャストの方々と共演させていただける機会もなかなかないと思うので、皆さんの“いいところどり”をさせていただいて、より演技の知識を深めたり、自分自身のレベルアップにつなげていきたいと思っています。この数か月でたくさんスキルを磨いて、役者としてはもちろん、一人の人間としても成長できたらいいなと思っています。
◆本作の見どころを教えてください。
一人一人の役の個性がすごく立っているので、まずはそこをぜひ見ていただきたいですね。内容自体は少し難しいですが、沢尻さんと伊藤さんの掛け合いではスピード感が楽しめると思いますし、個々に注視すると感情の動きが分かりやすい作品になっていると思います。自分的には、僕が演じる集金人の若者と沢尻さん演じるブランチがどう絡んでいくのか、注目してみてほしいですね。戯曲を読まれた方は知っていると思いますが、久しぶりに日本で上演されるということで、ぜひ新しい気持ちで見ていただけたらうれしく思います。
◆現在ドラマ『彼女と彼氏の明るい未来』や映画「レディ加賀」にも出演されています。ドラマではAぇ!groupの末澤誠也さん、映画では小芝風花さんなどと共演されていますが、世代が近いキャストの方々から刺激を受ける部分はありますか?
小芝さんは、僕より年下なんですけど、とにかくしっかりしていて。現場での立ち振る舞いや、言動、ここまで完璧な所作ができるのは本当に尊敬します。お芝居も素敵ですし、芯の強いカッコいい女性だなとたくさん刺激をいただいています。末澤さんのお芝居もとてもすてきだなと思っています。感情の機微であったり、表情や言葉の言い回しが多彩で。きっと何通りものやり方を自分で模索して作り上げたんだろうなって。共演を機に仲良くさせていただいているので、恥ずかしくて面と向かっては言えないですけど、この場をお借りして言わせていただきます(笑)。顔もカッコよければ、ダンスも歌もうまくて“何でも器用にこなせる万能な方”。うらやましいですね。
◆青木さんもまさに何でも器用にこなせる万能なイメージがありますが、実際は違うんですか?
僕は0から何かを作り上げるのが苦手なんですよ。特に絵は苦手で、ちゃんと書けたためしがないですね(笑)。
◆末澤さんとはプライベートでも交流があるそうですが、何か印象的なエピソードはありますか?
クランクアップしてからも、4日間連続で一緒にいたんです。3日目ぐらいにお互いの顔を見て「何でまた一緒いるんだ」って笑い合ってましたね(笑)。それぐらい濃密な関係を築けるようになるとは最初は思ってもなかったので、運命じゃないですけど、何か近いものを感じましたね。
◆現場では自分から共演者の方々に話し掛けるタイプですか?
いや、それができないんですよ。
◆とてもコミュニケーション能力が高くて、自ら距離を縮められるタイプなのかなと思っていたのですが。
相手の方の気分を害してしまったらどうしようって、考えてしまうんです。“きっと今は話しかけないほうがいいかもしれない”と勝手に状況をくみ取って判断してしまうので、自分から話し掛けることはめったにないですね。なので、この業界でも特別友達が多い方ではないと思いますし、どちらかと言えば狭く深くタイプだと思います。
◆相手からグイグイこられるのは?
話し掛けていただいたら、もちろんレスポンスしますし、来るもの拒まずなんですけど、たまに「寄らば斬るみたいな雰囲気を出してるよ」って言われることもあって(笑)。
◆それもまた意外な。
きっと何かしているときだと思うんですけど…。台本を読んでいたり、携帯を触っているときは、結構しかめっ面になっていたりするので。普段はただただぼーっとしているだけなんですけどね(笑)。よくも悪くも一つのことに集中しちゃうと、それにのめり込んでしまって周りが見えなくなってしまうんです。
◆ちなみに今のめり込んでいるものはありますか?
ゴルフですね。とんでもなくのめり込んでいて、ちょっとでも時間があればやっています。今は稽古期間中でなかなか行けていないので、終わったら速攻で行きたいなと思います! もともと自然が好きで、大自然の開放的な空間で知り合いの方たちと会話をしながらコースを回るのが楽しいんですよ。健康にもいいですし、ゴルフをやるときが唯一のリラックスタイムといいますか、僕にとって至福の時間です。
◆すてきですね。では「TV LIFE web」はテレビ誌のWEB媒体ということにちなんで、今後出演してみたい番組を教えてください。
ゴルフ番組ですね。切実に出演したいです。
◆対決してみたい芸能人の方はいらっしゃいますか?
千鳥のノブさんや芸人の方と対決してみたいですし、とことんいじられたいですね。恐らく緊張すると思うので、いじってもらった方が和らぎますし心地いいなって(笑)。
◆普段からいじられることが多いんですか?
そうなんですよ。でも、いじられたらその分めっちゃボケますし、ツッコミもします。そもそも僕はあんまり褒められるのが得意じゃないんですよね。
◆照れくさい?
照れくさいというよりは、気まずくなっちゃうんです。なので、褒められるよりはいじられるほうがうれしいですね。もう、素でガンガンぶつかってきてくださいって。
◆褒めて伸びるタイプではないと。
はい。昔からいじられて、怒られて伸びるタイプでしたね(笑)。
◆そこもまた意外でした。最後に今後やってみたいことを教えてください。
バラエティにずっと出演したいと思っているのですが、なかなか機会がなくて。とはいえ、まずは役者としての基盤をしっかりと固めて、ゆくゆくは朝ドラや大河に出演したいですし、ジャンル違いでもいろんな面白いことに挑戦していきたいです。
PROFILE
●あおき・りょう…1996年2月26日生まれ。神奈川県出身。A型。主な出演作はドラマ『仮面ライダーセイバー』、『Dr.チョコレート』など。現在ドラマ『彼女と彼氏の明るい未来』(MBSほか)と映画「レディ加賀」に出演中。
作品情報
舞台「欲望という名の電車」
2024年2月10日(土)~18日(日)
東京都 新国立劇場 中劇場
2024年2月22日(木)~25日(日)
大阪府 森ノ宮ピロティホール
作:テネシー・ウィリアムズ
翻訳:小田島恒志
演出:鄭義信
出演:沢尻エリカ/伊藤英明/清水葉月 高橋努 青木さやか 福田転球 中村まこと 久保酎吉 うらじぬの 青木瞭 ほか
●photo/中村 功 text/星野彩乃 hair&make/小浜田吾央