お笑いコンビ・トンツカタンの森本晋太郎さんがTV LIFEで連載中のコラム「トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行」。「今年売れる」と言われ続ける中での出来事や本音が綴られた“飛躍を夢見る芸人の備忘録”をwebでも公開します。今回は、芸人仲間7人でダウ90000・蓮見さんの新居に行った話。(TVLIFE 2024年2月14日発売号より転載)
蓮見の周りには7人集まる
先日、ダウ90000の主宰であると共に『Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023 世界を変える30歳未満』にも選出された蓮見くんが引っ越しをしたということで、若手随一の引っ越し祝い好きであるママタルト檜原さんを筆頭に計7人でズカズカと新居に上がり込ませてもらった。
蓮見くんの選んだ物件がとても良かったのはもちろんのことながら、芸人が7人いるからルームツアーがまあ盛り上がる。
「おっと、こちらは自動で開くゴミ箱です!」
「もしかしてこれ、ダウの単独で使用したポスターでは?」
「みんな見て!ここにもエアコンある!」
後輩の引っ越しをここまで喜ぶ集団が他にいるだろうか。芸人という生き物のピュアさが心に染み渡る。
普段それぞれが仕事で一緒になることは多いものの、こうして大勢でゆっくり飲む機会は少なかったのでとても新鮮で有意義な時間を過ごすことができた。いわゆるどんちゃん騒ぎをするようなメンツではなく、真面目とおふざけの比率がとても心地よかった。
そんなこんなであっという間に時間は過ぎ、時刻は深夜の2時。まだまだ話が尽きる気配もない中で、蓮見くんがトイレに行ったタイミングでAマッソ加納さんが「そろそろ帰ろか」と切り出した。それを聞いたみんなが名残惜しそうにしていると加納さんが「蓮見くんから帰れなんて言い出せないだろうし、またすぐ呼んでもらいたいからこの辺で帰ろう」と、誰もが納得する理由を述べた瞬間全員が後片付けを始めた。
トイレから帰ってきたらさっきまでほろ酔いでだべってた先輩たちが一斉に立ち上がって作業している様子を見た蓮見くんはその日一番の声量で「え、帰るんすか!?」と驚いていた。蓮見くん自体も寂しそうにしていた感じはあったものの、もしかしたら内心は違うかもしれない。彼からしたら僕らを騙すことなんていとも容易い。なんてったって『Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023 世界を変える30歳未満』に選ばれるような男なのだから。
7人で一気に片付いた部屋を後にしようと玄関にぞろぞろ向かっていると、蓮見くんが僕たちに向かって
「今日はありがとうございました!また来年も集まりましょう!」
全員が「来年なんだ…」と思いながら帰路についた。どうやら深夜2時はとっくに手遅れだったらしい。30過ぎた芸人たちがよってたかって26歳の後輩の家に入り浸っていたらそりゃそうか。でもその時かが屋加賀が撮ってくれた写真がそんなこと微塵も感じさせないくらいよかったのでぜひ見てほしい。いつかこの写真が貴重なものになるよう、ブレイク目指して精進あるのみ。
森本晋太郎
●もりもと・しんたろう…1990年1月9日生まれ、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。趣味でもあるツッコミに特化したYouTubeチャンネル「タイマン森本」も好評。