お笑いコンビ・トンツカタンの森本晋太郎さんがTV LIFEで連載中のコラム「トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行」。「今年売れる」と言われ続ける中での出来事や本音が綴られた“飛躍を夢見る芸人の備忘録”をwebでも公開します。今回は、トンツカタンのセンター・お抹茶さんのR‐1の話。(TVLIFE 2024年2月28日発売号より転載)
茶の間沸かしてハマっちゃえ
早くも今年一のビッグニュースが飛び込んできた。なんと我らがトンツカタンのセンターを務めるお抹茶がR-1グランプリの決勝に進出したのである。ここ数年でネタ作りの才能が爆発的に開花した中でこうしてちゃんと結果を残したのは相方ながらとても誇らしい。
お抹茶はトリオのネタを作る傍らでピンネタにも力を注いでおり、10数本のネタを披露するピンの単独ライブを成功させ周りの芸人を震撼させていたりもした。僕からしたらほんの少しだけ「逆になぜ10年弱もの間ネタを書いてなかったんだ」と思う瞬間もあるが、そんなことどうだってよくなるくらい素晴らしいネタを量産している。能ある鷹は爪を隠すとはよく言ったものだ。いや、むしろ隠していたというより「こんなとこに爪あったんだ」と本人も驚いているというのが正確かもしれない。
どこで使われるかはわからないが、お抹茶が決勝進出を僕らに報告するためのビデオ通話が当日に行われた。喜びと祝福ムードに包まれる中、どこかのタイミングでお抹茶から「ファイナリスト発表記者会見で8回スベっちゃったよ」と打ち明けられた。それを聞いていの一番に思ったのは「僕もファイナリストになって隣にいることができればそのスベりの数を6に抑えることができたのに」だった。これだけ聞くと森本も惜しいとこまでいったのかと思われるかもしれないが、僕は準々決勝であっけなく敗退している。なんなら2回戦で一度落ちてから追加合格で準々決勝に進んだので、お抹茶が勝ちを重ねている間に二度負けている。墓から這い出たゾンビがすぐさま撃たれるようなものだ。
しかしそれを踏まえて今回の決勝でお抹茶だけが持っている特性は相方がいるということ。他の8名は純正のピン芸人なのである。どんな結果になろうとも、あなたにはトンツカタンという帰る場所がある。万が一ネタ以外のやり取りやギャグがうまくいかなかったとしてもなにも落ち込むことはない。とにかくのびのびと誰よりも楽しんでやれたらお抹茶の勝ちなのである。
決戦は3月9日。奇しくもレミオロメンが
「新たな世界の入口に立ち気づいたことは1人じゃないってこと」
と歌っている印象深い日だ。よろしければみなさまにもぜひ相方の勇姿を見守っていただきたい。場合によってはひと足先にネクストブレイクを脱する可能性も十分ありえる。トリオのうちの一人がR-1グランプリのチャンピオンなんて意味がわからないけどとてもワクワクする。こうなったら過去に例を見ない変なトリオになっていこう。
このまま僕らの想いを背負ってアクセル全開で駆け抜けろ、お抹茶!
森本晋太郎
●もりもと・しんたろう…1990年1月9日生まれ、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。趣味でもあるツッコミに特化したYouTubeチャンネル「タイマン森本」も好評。