お笑いコンビ・トンツカタンの森本晋太郎さんがTV LIFEで連載中のコラム「トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行」。「今年売れる」と言われ続ける中での出来事や本音が綴られた“飛躍を夢見る芸人の備忘録”をwebでも公開します。今回は、“K”ことAマッソ加納さんの話。(TVLIFE 2024年3月13日発売号より転載)
AだのKだのXだの
先日、ずっとお世話になっているAマッソ加納さんのお誕生日を当日にお祝いさせていただいた。お昼過ぎにフワちゃんと3人でカフェに行っていつも通り長時間ダラダラだべる予定だったのだが、その数時間前の朝8時に事件は起こった。
その時間にAマッソさんに関する重大発表がご本人のYouTubeチャンネルで公開された。既報の通り、村上さんが『むらきゃみ』に改名することと、それぞれがインスタグラムとXを個人で新しく始めるという内容だった。そこまではとても前向きで素敵な改革だなと微笑ましかったのだが、なんと加納さんのXがマネージャーさんにより一時的に設定していたアカウント名『K』を仕様上24時間変更できない状態で情報解禁となってしまったのである。つまり、その一日だけSNS上ではAマッソはむらきゃみとKのコンビになった。
フワちゃんと僕もまさか当日加納さんではなくKのお誕生日をお祝いするなんて思ってもいなかったのでかなり動揺してしまった。しかしこんなめでたい日に我々がシャキッとしなくてどうするんだ。ここでどこまで柔軟に対応できるかに後輩としての真価が問われる。カフェに到着してメニューを見るK。
「全部おいしそうやなあ」
「パンKーキもありますよ」
「Kをイジるな!」
「すみません、K率でした」
「ごKんなさい」
「やめろ!!」
フワちゃんによる「ごKんなさい」に関してはだいぶ強引な感じはするが、持ち前のパワーでなんとか成立させていた。K、あなたの後輩はすくすくと育っています。
その後僕がいったんライブで離脱し、終わってから再度合流して次はバドンカドンクゆうきを含めた4人で僕の家でフルーツパーティーをすることになった。Xにもその時の動画が上がっているのだが、僕らが「お誕生日、おめでK~」と言いながら片方の手足を伸ばしてKのポーズをするという、クセになるつまんなさの映像が出来上がった。Kも真顔でこそあったがきっと内心は喜んでいたに違いない。
翌日、KのアカウントはしれっとAマッソ加納に変更されており、僕らはあまりにも早いお別れに阿鼻叫喚の嵐だった。どうにかKでいてくれないかというかわいい後輩からの願いに対する「だまれ」という加納さんの発言でグループLINEは止まってしまっている。
まさに一期一会となったKとの出会い。失ったものを立ち止まって嘆くのではなく、この思い出を糧に一歩ずつ踏み出すことにしよう。
別れは得てしてあっKない。
森本晋太郎
●もりもと・しんたろう…1990年1月9日生まれ、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。趣味でもあるツッコミに特化したYouTubeチャンネル「タイマン森本」も好評。