3月26日(火)に最終回を迎える『Eye Love You』(TBS系 午後10時~10時57分)で、主演を務める二階堂ふみさんにインタビュー。侑里を演じての感想や共演者の印象などを聞きました。
本作は、心の声が聞こえる“テレパス”を持つ主人公・侑里が超ストレートな年下の韓国人・テオ(チェ・ジョンヒョプ)と恋に落ちる、もどかしくも明るいファンタジック・ラブストーリー。
◆最終回目前ですが、ここまで撮影を振り返ってどんな現場ですか?
これ以上ないぐらい素晴らしいスタッフの方々の中でお芝居をさせていただきました。各部署それぞれがこの作品に愛を持って挑んでくださって、本当にいい現場に参加させていただけたなというか、経験させていただけたなと心から実感しています。
◆国内外問わず話題になっている本作ですが、周りからの反響はいかがですか?
毎週放送を楽しみにしてくださっている方々から「すごく面白い」などのメッセージを頂きます。そして同じ業界でドラマ制作をしている方からも、「丁寧に作っている作品だということが伝わる」という激励のメッセージも頂くことが多いので、すごくうれしいです。
◆届いた反響の中で一番うれしかったメッセージはありますか?
「作り手の思いが乗っている作品だね」と言っていただけたことがすごくうれしかったです。
◆侑里をここまで演じてきての感想を。
台本を毎話頂くごとに侑里は小さな成長をし続けているキャラクターだなと感じています。そういう小さな変化や成長というのは、物語の中で劇的な変化ではないけれども、それぞれのペースで進んでいけばいいんだなと。そして、そういう等身大の姿がすごく身近に感じられるキャラクターだなと読みながら感じていました。私自身もそういう侑里の成長に救われたり、勇気をもらうことがたくさんあったので、侑里は今の自分にすごく必要なキャラクターだったんだなと感じています。
◆侑里を演じられる中で、感じたことはありますか?
自分の中にも、たぶん見る方々の中にも、侑里と同じようなトラウマだったり、ちょっと傷ついた過去だったりがそれぞれあって。そういうものを抱えながらも、人との出会いや優しさから、少しずつ侑里に変化をつけられたらなと思っていたんです。そんな中、撮影をしていると、自分の中で「これは正解なのかな?」「こういう演じ方でいいのかな?」と思う瞬間があって、そこで一人で作っているのではないんだなと実感した出来事がありました。それは、侑里の家のインテリアがすごくすてきなのですが、最初に部屋に入ったとき、侑里の世界はこんな感じなんだと思ったのと同時に、1人で生きていこうとしているんだなという切なさも感じるように美術部が作ってくださっていたんです。
それに、(立川)志らくさん演じるお父さんの誠との病室のシーンでも、すごく寄らないと分からないのですが、お父さんが事故の前は“本宮亭”という洋食店をやっていたという設定で、雑誌で“本宮亭”が小さく紹介された記事があって、その紹介文まで丁寧に細かく作られているんです。なので自分で考えてやっていくというよりは、現場でスタッフの方々が一緒に、侑里というキャラクターを作ってくださったので、私が迷ったときでも、現場に行くと自然とそういった外から侑里というキャラクターができていくような感覚でした。
◆心の声が聞こえるという特殊な役どころですが、そこについてはいかがですか?
最初の頃はファンタジックなキャラクターだったので、日常の中にあるファンタジー的な要素をどうリアルにするか、見ていて違和感がないようになじませるかということがちょっと難しいかもしれないなと思っていました。そういったことも現場で監督と相談しながらやっていく中で、「こういうときはたぶん心の声が聞こえるよね」「こういうふうにしてれば、心の声は今遮断している状態なんじゃないか」と自然と共通認識が生まれてきていました。
◆ジョンヒョプさんのアイデアで生まれたシーンがあったそうですが、そのアイデアに驚いたことや感心したことはありますか?
本当にフレッシュな空気を毎回届けてくださる方で、私が台本を読んでいるときには想像していなかったようなことが起きるというようなサプライズがたくさんあって、毎回驚かされていますし、楽しいです。そのアイデアだったり、こういう展開の仕方があるんだ、こういう動きがあるんだと、毎回ご一緒させていただきながら、すごく勉強になっています。
◆胸キュンシーンを受けてみていかがでしたか?
胸キュンシーンというのはすごく不思議なもので、やっている側は冷静というか、「これは胸キュンになっているのかな?」「こうしたら胸キュンになるんじゃないか?」と研究みたいなんです。それがすごく楽しかったです。放送された後に、自分たちが意図していないところで胸キュンしてくださっている方々もたくさんいるので、十人十色というか、それぞれグッとくるポイントが違うんだなという発見もあって面白かったです。
◆ジョンヒョプさんと共演して感じた魅力を、撮影中の裏話を交えて教えてください。
すごく足が速いんですよ。先日も、ジョンヒョプさんが走ってくるシーンを撮影したのですが、あまりの速さにびっくりしちゃって(笑)。今まで私に合わせてくださっていたんだなと思いました。すごく速く走っているつもりだったのですが、簡単に追いつかれるなと。歩幅が違うからかなと思っていたら、もともとの脚力が違ったんだなと感じています。
そして、ジョンヒョプさんはすごく勢いのある方。パワーもありますし、すごくエネルギーに満ちあふれているのですごいなと思いました。それでいてすごく繊細な部分も持ち合わせていて、その繊細さみたいなものがお芝居の機微にも現れていて。動きが予定調和にならないので、すごく刺激を受けました。それこそ1話の「そこのキョロキョロしているかわいい人!」というのは、ジョンヒョプさんだからこそのアイデアだっただろうなと。
しかも物理的に距離も離れているのに、そうとは思えないレベルの大きいエネルギーがバンって飛んできて、そのエネルギーによって侑里は引き止められるというか、グッとそこにとどまらざるを得ないような感情に持っていってくださる感覚がありました。物理的に体が止まってしまう感じに、侑里はテオのパワーにグッとつかまれたんだろうなと。
◆中川大志さんと共演されてみて、いかがでしたか?
長くキャリアを積まれているだけあって、すごく現場で安定感のある方でした。侑里と花岡の関係性はすごく長いんですが、ドラマの中で描かれるシーンとしてはポイントごとに出てくる。そんな中でもすごく説得力を感じさせてくださるお芝居をしてくださっていましたし、そのシーンを撮るためのプロセスとして、いろんなことを一緒に話して作ってくださる方だったので、すごく心強いというか、頼もしいなと思っていました。
◆初めて花岡の心の声が聞こえたシーンに、視聴者もグッと引き込まれたと思います。
視聴者の方のそれぞれのスタンスによって、このドラマで感情移入するキャラクターが違うんだろうなと思っていて。ストレートに気持ちを表現していく方はテオさんの気持ちが分かるだろうし、なかなか人の気持ちに踏み込めない方は侑里の気持ちが分かったり。あとは、言いたいけど言えない方だったり、ずっと見守る優しさを持っている方は花岡に感情移入したり、きっとそこにグッと来る方もいらっしゃるだろうなと台本を読んでいても思いました。
◆山下美月さん演じる真尋と侑里の友情もすてきですが、実際に山下さんと共演されてみていかがでしたか?
山下さんは最初はすごく緊張されていたみたいなんですが、今回俳優部として一番心強い方でした。真尋と侑里のシーンは、どちらかというと真尋が主体となって動いていくというか、真尋のテンポ感で侑里を支配していくシーンが多く、どうしてもそういったやりとりは信頼関係を築きながらでないと遠慮してしまったりするので、最初はどうなるかなと少し思っていたんです。山下さんとはそういったことを含めていろんなお話をさせていただきましたし、インしたときに「一緒に本読みやってみませんか」と2人で本読みをさせていただいたりもしました。でもすごく現場でどしっとしてくださって。ちゃんと真尋のペースで侑里を巻き込んでいってくださったり、お芝居の中でも踏み込んできてくださったので、すごく心強かったです。山下さんご自身がすごくカラッとしている方だったので、ご一緒していてすごく楽しかったですし、また一人、いい俳優部の仲間を見つけられたなと。出会えてよかったなと思っています。
◆日本のアプローチと違うアプローチで気持ちを伝える場面もありましたが、実際にそういったシーンから愛情表現の仕方や文化の違いを感じたことはありますか?
韓国人スタッフさんから聞いたエピソードで衝撃的だったのがメッセージのやりとりの量が1日で何百となるそうなんです。少しの時間、携帯を放っておくと、通知の数がすごく来ていると聞いた時はびっくりしました。ただジョンヒョプさんは「そうじゃない」みたいなことを言っていたので、人それぞれなところもあると思うのですが、日本に比べると、たぶん大陸の力強さやパッションが恋愛においてもあるというのは印象として感じました。
それと、これはうれしいなと思ったことがあって。バレンタインデーにスタッフさんにチョコレートを用意していたのですが、ジョンヒョプさんのマネージャーさんにもお渡ししたんです。抹茶がお好きだということを聞いていたので、抹茶フレーバーのチョコレートをお渡ししたら「わー!いいんですか!」というリアクションをされて(笑)。そして、パッと開けて、抹茶のチョコが見えたら「僕が抹茶が好きってなんで知っているんですか!」と。「以前におっしゃっていたので」と言ったら「覚えていてくださったんですか! こういうのは目の前で食べた方がいいんです」と言って食べて「こんなにおいしいチョコレートは食べたことがない」と言われたときに、奥ゆかしい日本ではなかなか見られないと思って、すごくうれしかったのを覚えています。
◆言語の違う国でドラマに挑戦されているジョンヒョプさんを間近で見られている中で、ご自身の中で全編外国語の作品に出演したいという思いが芽生えたりしていますでしょうか?
外国語のせりふは難しいですからね…。少ししかモンゴル語をしゃべっていない『VIVANT』のときもひーひーはーはー言うほど大変だったので(苦笑)。それに比べて1から知らない言語のせりふを覚えて、そこに感情を乗せてお芝居されているジョンヒョプさんは本当にすごいことをされているなと隣でずっと感じているので、本当にリスペクトしています。私はみんなで一つの作品を作っていくことが好きなので、そういったことは国内とか日本語とか関係なく、いろんな方々と出会っていけたらいいなとは思っています。
◆ずばり二階堂さんは、テオ派? 花岡派?
いいご質問ですね(笑)。私は、誠さんです。優しくそっと見守ってくださるのがいいなと思いました。もちろん侑里は心の声が聞こえるから、誠さんとコミュニケーションを取れていますが、実際にコミュニケーションというのは言葉だけではないところもあるんだろうなというのをすごく感じます。でも、志らくさんのお芝居にすごくハッとさせられることがたくさんあって。顔や体は動かしてないのに、噺家の方だからか言葉に乗っている感情がもうすさまじくて。それに第一声で侑里という名前を呼ばれた時に、誠さんの優しさをすごく感じて、温かい気持ちになりました。侑里として、こういう優しさをきっとずっと感じ続けてきたから、人に優しくありたいという気持ちを大事にすることができたんだろうなと。だから、誠さんは達観していてカッコいいんです。
◆本作の中でもさまざまな韓国料理が登場しますが、二階堂さんが出合ったおいしい韓国料理は何でしょうか?
私の好きな食べ物トップ10に入り込んできた韓国料理があって。それはキムブガクという、日本でいうところののり天。撮影がお休みだった年末に、ジョンヒョプさんが韓国に帰られたのですが、そのときにお土産に韓国のりをお願いしていたんです。そうしたら、韓国のりと一緒にキムブガクもお土産として買ってきてくださって。韓国ではお父さんがおつまみで食べるみたいなんですが、これが本当においしくて、とまらなかったのでお薦めです!
◆最終回の見どころと読者の方へのメッセージをお願いします。
このドラマに参加できたことは、俳優部として、エンターテインメントに関わるお仕事をさせていただいている人として、続けていて本当によかったなと。スタッフ、キャスト全員が、丁寧に1カット1カットを大事に作ってきた作品なので、それがこうやっていろんな方々に楽しんでいただける作品になって、大事に作ったものというのは伝わるんだなとすごく実感しています。
そして応援のコメントだったり、見た方々からの感想などの言葉に、我々は力をもらいながら、最終回を無事に迎えられそうです。ぜひ、みんなの思いがこもった最終回を見ていただけたらうれしいなと思います。そして、ドラマ制作の中でも、今回いろんな新しいチャレンジをやっていっているときにこの作品に参加することができたと思うので、ドラマに希望を感じていただけたらなと思います。
PROFILE
二階堂ふみ
●にかいどう・ふみ…1994年9月21日生まれ。沖縄県出身。O型。
番組情報
火曜ドラマ『Eye Love You』
TBS系
最終回:2024年3月26日(火)午後10時~10時57分
<配信>
◆TVer・TBS FREE
第1話+最新話を無料配信中
◆U-NEXT Paraviコーナー・Netflix
最新話まで全話配信中
<キャスト>
二階堂ふみ、チェ・ジョンヒョプ、中川大志、山下美月、清水尋也、杉本哲太 ほか
<スタッフ>
製作著作:TBS
脚本:三浦希紗、山下すばる
主題歌:Omoinotake「幾億光年」(Sony Music Labels)
プロデュース:中島啓介、車賢智、佐井大紀
演出:岡本伸吾、福田亮介、加藤亜季子
編成:平岡紗哉、髙田脩
番組公式サイト:https://www.tbs.co.jp/EyeLoveYou_tbs/
番組公式X(旧Twitter):@eyeloveyou_tbs
番組公式Instagram:@eyeloveyou_tbs
番組公式TikTok:@eyeloveyou_tbs
●photo/澤近勝利 styling/髙山エリ hair&make/渡嘉敷愛子 衣装協力/シャツ¥35,200(AURALEE)、シューズ¥159,500(TACHINO CHIE)
©TBS