100年以上続いた飲食店の閉店、生徒が2名だけの中学校の閉校など、人々が愛した大好きな場所の“最後の時間”を切り取るドキュメンタリーバラエティ『さよなら大好きな場所』(テレビ朝日系)が4月5日(金)に放送。プロのカメラマンではなく、常連客や生徒、地元住民が自らカメラを持って大好きな場所の撮影、その場所に宿った人々の想いがハンドメイドな映像からあふれだす。
今回は、そんな同番組に出演する劇団ひとりさん、杉野遥亮さん、井桁弘恵さんにインタビュー。収録を終えたばかりの3名に、番組の感想や印象深いシーン、見どころなどをお聞きしました。
◆まず、収録を終えて、率直な感想を教えてください。
ひとり:すごく面白かったです。この企画は『中居正広の土曜日な会』(テレビ朝日系)で放送していたものなのですが、好評につき今回独立して番組をやることになったそうで。『土曜日な会』での放送を終えてから今日まで約2か月くらいと、(撮影や編集の)ペース的には厳しかったと思うのですが、クオリティはより上がっていて、濃密なVTRにすごく胸を打たれました。
杉野:僕はこの収録を機にこういう企画があったことを知ったのですが、この殺伐とした世の中で人の温かいところに触れられるようなVTRばかりで、番組に出演できたことをうれしく思っています。ここに来る前よりも、なんだか元気になりました。
井桁:私もこんなに涙があふれるとは思っていなかったです。1本目のVTRからもうグッときてしまい、自分で感情のコントロールができないぐらい気持ちを揺り動かされました。お店の常連の方々をはじめ、一般の方がご厚意で撮影された映像を見られるというのはなかなか体験できないことですし、すてきなものを見させていただいたなって。皆さんの人生における大事な思い出を分けていただいた感覚で、とても温かい気持ちになりました。
◆今回は「町中華 龍馬」「燈籠茶屋」「桶売中学校」と3つの場所が登場しますが、それぞれ印象深かったシーンを挙げていただくと?
ひとり:僕は「燈籠茶屋」さんです。100年続いたお店が終わる、その瞬間を見られたのは本当に貴重なことだと思いましたし、また最後のお客さんが運命的で…。短い中にもすごいドラマがありましたね。
杉野:僕は「桶売中学校」が印象深く残っています。先生方との距離感をはじめ、街の人と共に成長していけるような関係性を築かれていて、僕も青春時代をああいうふうに過ごしてみたかったな、とうらやましさも感じました。
井桁:私は「龍馬」さんのお客さんが言っていた「お店の周りに漂う匂いまで好きだったし、それも思い出だった」というようなコメントがとても印象的で。それは「燈籠茶屋」さんもそうですが、味だけでなく、周囲の景色や匂いなど、皆さんいろいろなところに思い出があるんだなと感じました。
◆この番組は『中居正広の土曜日な会』の企画から生まれたということですが、当時からこの企画を見守ってきたひとりさんはどのような点がパワーアップされたと感じられましたか?
ひとり:そもそも『土曜日な会』の時からいい企画だなと思っていましたし、毎回スタジオの雰囲気も良かったのですが、まさかこんなに早く番組になるとは、と驚きもありました。今回は1本1本のVTRのテンポが良くなっていて見やすくなっていましたし、これまではお店側がメインだったのが撮影している側にあるいろいろなドラマも見られ、より深みのある内容に進化したなと思います。
◆最後に、読者にアピールの一言をお願い致します。
ひとり:やはり何かが終わってしまうというのは寂しいですし、悔しい思いもあるかもしれないですが、最後をどういう心構えで過ごしているのか、VTRを通して皆さんのそれまでの人生が垣間見えたといいますか。今回ご出演された方は皆さん晴れやかで誇らしいお顔をされていたので、本当にがむしゃらに突っ走ってこられたのだろうなと。普段街で見かけるお店や隣の席で食べている何でもない人、それぞれにドラマや思いがあるんだなっていうのをあらためて感じました。
杉野:大好きな場所がなくなるというのは自分は経験したことがないのですが、思わず感情移入してしまい、グッとくるものがありました。これまで皆さんがその場所に懸けてきた思いなど、目には見えないものを感じることができたので、皆さんにもそれをぜひ味わっていただけたらうれしいです。
井桁:私自身は行ったことのないお店や場所でしたが、こんなにも近く感じられたのは常連さんや生徒さんが撮ってくださったからこそだと思います。私自身、今は当たり前にあることもいつか終わりを迎えるのかもしれないとあらためて心構えができましたし、常にその気持ちで向き合っていきたいなと。すてきな光景を見られて本当に幸せでしたし、ぜひたくさんの方と共有できたらいいなと思います。
番組情報
『さよなら大好きな場所』
テレビ朝日系
2024年4月5日(金)午後11時15分~深夜0時15分 ※一部地域を除く
番組公式X:https://twitter.com/sayonaratvasahi
●text/片岡聡恵