お笑いコンビ・トンツカタンの森本晋太郎さんがTV LIFEで連載中のコラム「トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行」。「今年売れる」と言われ続ける中での出来事や本音が綴られた“飛躍を夢見る芸人の備忘録”をwebでも公開します。今回は、海外移住した親友フワちゃんの話。(TVLIFE 2024年4月10日発売号より転載)
ジャスティンビーバーが見るのも時間の問題
先日、親友のフワちゃんが海外で生活(遊ぶ)ことを自身のYouTubeで発表した。出会った当初からいつか海外に住みたいと言っていたので、その夢が叶った形だ。コンビ解散、事務所退所、YouTube開設、テレビ席巻、そして海外へ。全て僕がネクストブレイク芸人としてゆっくりと歩みを進めている間の出来事である。
フワちゃんとは仕事とプライベート、どちらでも一緒に海外に行ったことがあるが、日本と変わらぬどころかむしろよりパワフルになっていた印象だ。誰かと海外に行く時、基本的には英語が喋れる僕が率先して現地の人とコミュニケーションを取るケースが多い。フワちゃんも例に漏れず「森本が喋ってるのを見て勉強したい」と言うのでそのつもりでいたらほぼ全ての会話を僕が喋る前にフワちゃんが喋っていた。その度に「ああん!またアタシが喋っちゃった!」としかめっ面で後悔した。でも僕としては英語が上達する一番の近道は喋ることだと思っているので、きっとこの人はすぐものにしていくのだろう。
そして海外生活ではつきものであるハプニングやトラブルも彼女からしたらちっぽけな問題だ。去年一緒に香港に行った際、フワちゃんがバスに現金とクレジットカードを忘れたことがあった。急いでバス会社に連絡すると「残念ながらそれらが無事に返ってくる可能性はほぼない」と言われてしまい、さぞ落ち込むかと思いきやその流れでクレジットカード会社に電話してその場で無効化してもらっていた。その余波でご家族のクレカも一時的に使用できなくなることも快く承諾していくその姿はなんともたくましかったし、この先なにが起きてもエンタメにしながら乗り越えていくんだろうなと確信した。
異国の地で当たり前のように他人に話しかけ、当たり前のように自撮りをしていくのを遠目で見守っていると、突然の日本人スポブラ女性登場にも関わらず全員が笑顔なのである。どんなに厳重なカギがかかった心の扉も軽々開けていく。それはどんな言語を習得するよりも尊い能力だ。そんな彼女は今後日本のみならず、世界のキーパーソンとなっていくのは間違いない。
これからなかなか会う機会も減っていくだろうが、その様子をリアルタイムに一親友として、一ファンとして見られるのはとてもワクワクする。フワちゃんがさらに大成するのは確実として、その頃までに僕がネクストブレイクを卒業しているかが最重要課題である。さすがに見ている景色がいつまでも同じすぎる。
森本晋太郎
●もりもと・しんたろう…1990年1月9日生まれ、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。趣味でもあるツッコミに特化したYouTubeチャンネル「タイマン森本」も好評。