5月9日(木)に第5話が放送を迎え、いよいよ物語も佳境となる、ドラマフィル『奪われた僕たち』(MBSほか 毎週木曜 深夜1時29分~1時59分ほか/各種配信あり)でW主演を務める須賀健太さんと荒牧慶彦さんにインタビュー。ここまでの放送で印象的だったシーンなどを聞きました。
本作は荒牧さんが代表を務めるPastureとキングレコードとの共同企画によって制作された、衝撃のサイコスリラー作品。堺洋一(須賀)の元に届く1個の荷物。その荷物の中には人間の指が1本入っていた。その荷物の送り主は光見京(荒牧)。光見の策にハマるかのように事件に関与していく堺に待ち受けているものとは…。
◆脚本を読んでの印象を教えてください。
須賀:攻めている内容だなと思いました。ある種、ド直球というか、ドラマでこの描写を避けずにしっかりとやりきったら、すごいものになるんじゃないかなと。台本の段階だとどういうふうに映像化されるのか、まだ分からない中でしたが、これをそのまま映像に落とし込みたいと思いました。監督やスタッフチームと話をしていてもその感覚が共通してあったので、いい戦いができる、挑戦的な現場になると感じました。
荒牧:僕が演じる光見の視点からは単純に恐怖というよりも、物語自体が美しいなと思いました。光見の思想は、ある意味、ウイルスではないですけど、光見のカリスマ性によって人に伝播していく、そして誰しもが共感できるからこそ、せきを切ってしまったら、そっちの方向に流れてしまうような感じがすごく美しいなと。これをいざ自分と健太君が演じて映像化した際に、血や殺人の描写なども出てきて怖いですが、現代に生きている方々に刺さる物語なのではないかという直感がありました。
◆演じられたキャラクターをどのようにとらえられましたか? またどんなところを一番大事に演じられたのでしょうか?
須賀:堺は光見と対極というか、すごく平凡な現状を過ごしていて、でも、堺はその平凡な現状に対してフラストレーションみたいなものをすごく感じているんです。それは自分がドキュメンタリーで賞を取った過去があるけれど、今はうだつの上がらない生活をしているから。それが光見と出会って、少しずつ自分の感情が変わっていって、光見の思想みたいなものに感化されていきます。意識したことは、堺は見ていただく方に一番近いというか、堺を通して作品の芯の部分が伝わると思ったので、素直に起きる事柄1つ1つにちゃんと目を向けて、そこで動くものを一番大事にしようと思って演じていました。
◆映像を撮るぞという堺の情熱は共感されましたか?
須賀:俳優として、カメラの前に立って、映像を作る仕事をしていますし、僕自身も物作りにとても興味があって、「いい画を撮りたい」みたいな感覚は少なからず分かるので、すごく共感できました。ドキュメンタリー映像を本当に自分でカメラを回して撮影をするシーンが多かったので、そういうところから堺になっていったように思います。撮りたい画みたいなのが自然と自分の中にも生まれてきました。もっとこうやって撮りたいみたいな気持ちから得るものがすごく多かったので、堺を演じていくうえで大切な手がかりになっていました。
荒牧:めちゃくちゃこだわっていました。健太君自身が「もう1回撮り直していいですか」とリテイクをお願いしていることもあって。
須賀:最初はどう撮るのかなと思っていました。普段は「そういう風」でカメラマンさんが撮ることが多い中で、打ち合わせの段階から「撮ってもらいます」と言われたので、結果的にすごくこだわっちゃいました(笑)。
◆撮っているときにどういうものを撮ろうと心がけられていましたか?
須賀:ドラマとドキュメンタリーのどちらもやられているカメラマンさんから、セオリーや、これはこうした方がいいみたいなところを聞きながら撮らせてもらいました。ドラマとドキュメンタリーでは、根本的に見せなきゃいけないものや、情報量などが違うと知りました。寄りたいなとか、これが見たいなというところに、どれだけ瞬発的に体が動けるようになるかも大事らしくて。なので、表情が見たいと思ったときにすぐ寄って、どう動いたら良いポイントに入れるのかなどは、やりながら少しずつ分かっていったところです。
◆カメラでの撮影以外にも共感できるポイントはありましたか?
須賀:僕も長くこの業界にいさせてもらっている中で、高校生、大学生ぐらいの時期に、堺とは少し質は違うのかもしれないですけど、現状やこれからに対してへのフラストレーションを感じたことはありました。それはすごく人間らしい感情だと思うし、その経験があったからこそ堺を理解できた部分もあります。
◆荒牧さんは光見をどのようにとらえられましたか?
荒牧:光見はたぶん誰しもが一度は思ったことがある部分を少しこじらせすぎた役どころなのかなと。こじらせすぎて、殺人という行動に向かってしまう。ですが、自分の信念のために芯を曲げずに行動していく姿は、方向性こそ間違っていますが共感を持てます。そういう芯を曲げないところはちょっと自分に似ている部分もあったので、光見という人物を作りやすくはありました。
◆どんなところが似ているのでしょうか?
荒牧:光見は僕とは全く違う間違った思想の持ち主なんですけど、その思想を完遂させるための工程というか。僕も物事に対して段階を踏んで考えていくタイプ。プロセスを踏んで考えるので、そういう部分は似ているなと。
◆光見の悪に対しての正義感みたいなものにも共感できましたか?
荒牧:どうしても相いれない人だって絶対いるし、悪に対する考え方もそれぞれで、その悪に対する自分なりの接し方もいろいろあるとは思いますが、そういう部分は僕も感じることがありますし、皆さんも共感できるのではないでしょうか。
◆一番意識したところはどこでしょうか?
荒牧:淡々としている中で、どこか狂気を感じるような、一見普通に話しているけれども、話しているうちに“この人、どこかおかしいんじゃないかな”みたいな雰囲気を醸し出せたらいいなと意識して演じました。
◆光見がピアノ講師ということで、実際に荒牧さんがピアノを弾くシーンもありますが、いかがでしたか?
荒牧:小学校3年から6年ぐらいまでのちょっと短い期間ですが、ピアノを習っていました。離れているとなかなか指が動かなかったりはするんですけど、ピアノを弾くのは楽しいです。今回、楽譜をいただいて、少し練習させていただく時間もあったので、思い出しながら練習しましたし、文武両道というか、何でもできるからこそみんなが光見に惹かれていくんだろうなという雰囲気を醸し出したいなと思っていました。
◆重いシーンも多い作品でしたが、現場で楽しかったことはありますか?
須賀:和気あいあいとした雰囲気の中で楽しく撮影できたことが一番良かったなと思います。作品に集中できる環境がすごく整っていましたし、この作品のことだけを考えて生活することを全員で共有できていた感覚があったので、期間全体が楽しかったです。あとはカメラで撮影することも楽しかったです。作品のエンドロールで撮影のところに須賀健太と名前を入れていただいて、自分で作品を撮りたい気持ちが芽生えました(笑)。
荒牧:拉致しているときは健太君のカメラで撮っていたのですが、全てを見せないけど、緊迫感があるみたいなアングルがすごかったです。
須賀:自分で撮っているメリットとして、演者同士だからこそ入り込める距離感で撮影できたシーンもあるので、より臨場感を出せたのかなと思います。
荒牧:あと光見が殺していく相手役を演じたのが僕の友人や後輩なんです。なので僕が滝沢役の廣野凌大の首を絞めているところを、竹下役の福澤侑が見ているというシーンは、僕らの関係値を知っているファンの方からしたらきっと面白かったのかなと思います。
◆道徳とか倫理とか、哲学的な部分もある本作ですが、感情の作り方や心の揺れを作るために苦労した点はありますか?
荒牧:光見的にはたぶん日常なんです。自分自身は何も間違っていないと思っていますし、それこそコーヒーを飲むぐらいの勢いで、淡々と実行していくというのは意識しました。淡々と無表情のまま殺していくのでなおさら怖かったと思います。
須賀:僕は目の前で起こることに対して、正直にリアクションして、その場で動くものを大事にしていました。今回、スタッフの皆さんが作り込んでくれていたので画がいいんです。僕はモニターで逐一確認しながら、どのくらいの強弱でやると一番伝わるのかを考えながらやっていたので、すごく映像に助けられました。
◆ここまで放送された1話~4話で印象的だったシーンはどこでしょうか?
須賀:2話から3話にかけての取っ組み合いシーンは印象に残っています。被害者遺族に会ってから、その犯人のところに行って、取っ組み合いになるのですが、アクションっぽくならないようにこうやったらこう動いてみたいな段取りを決めず、犯人役の方と2人の呼吸で、殴るというよりも、つかみ合って、引きずりあうことを意識して撮影しました。長回しで撮ることを繰り返していたので大変でしたけど、生々しい臨場感を出せたのかなと思います。
◆荒牧さんは?
荒牧:「注射の扱い方がどんどんうまくなっていった」と監督に褒められました。最初は扱い方が分からなかったのですが、撮影しているうちに「今日は何ミリでいこうかな」というくらいどんどん慣れていきました(笑)。
◆共演されての印象を教えてください。
荒牧:健太君は子役の頃から映像で見ていたので、一方的に知っていたのですが、いざ僕も俳優になって、周りの方から「須賀健太という俳優はやっぱすごいよ」と聞いていたので、共演にすごくワクワクしていました。実際に共演してみてもすごいなと思いました。今回、健太君が演じた堺は髭を生やしていたのですが、僕は健太君は髭が似合わないだろうと思っていたんですよ。でも普通に似合っていて、それはきっと役の作り込みというか、姿勢や所作から醸し出す雰囲気がなせる技なんだろうなとすごく感じました。
須賀:ありがとうございます。ちょっとここは必ず書いていただいて(笑)。僕も友人や知り合いの俳優が荒牧君と共演していたので、もちろん存じ上げていましたし、何かのきっかけで一緒になることがあるのかなとは思っていました。まさかそれが映像作品で、W主演でとは思っていなかったので不思議な感覚です。こうやってガッツリと共演して、縁みたいものを感じましたし、役柄も、作品へのアプローチも真逆で。もちろん役が違うからこそ、全く違う方向から作品を作れて心地よかったです。
◆撮影の合間はどのように過ごしていましたか?
須賀:荒牧君はピアノを弾くシーンがあるので、ピアノの練習をしたりとか、いつも申し訳なくなるくらいせりふ量がとんでもなく多くて、大変そうだなと思っていました。僕は現場へ行ってカメラを持ってからどうするか、みたいな時間が多かったので、やることの量の差を感じていました。
荒牧:台本と向き合って、もちろん覚えてはいたんですけど、結構口になじませるために反すうしていました。
◆カメラが回っていないときでも常に役と向き合っていたんですね。
荒牧:そうですね。でも世間話をしたりとか、健太君も演出されていて、僕もプロデュース業をやったりしているので、そういう話もしていました。
須賀:去年、演劇「ハイキュー!!」の演出をさせてもらったのですが、荒牧君はプロデュース業をいろいろやられていて、すごく興味があったので、そういうお話もさせていただきました。あと知識量がすごいんです。プロデュースにおいてのことは、すごくためになりましたし、話していても感じ方というか、考え方がすごいなと思って。しかもそういったプロデュース業をやりながら、さらにこれだけやることの多い役を演じていたので、マルチタスクすぎて尊敬していました。
◆光見が堺に自分の殺害記録を残してもらっていましたが、お2人が記録に残しておきたいことや、記録に残しておいてよかったなと思うことはありますか?
荒牧:僕らの職業は比較的、実績として記録に残っていくので、だからこそあまりプライベートは記録に残したくないかなと。
須賀:分かります。意外と私生活で写真を撮る機会は、少ないんですよね。学生時代の友人と遊びに行ったりしても、みんなはいろんなことを写真に残したりしているのですが、その感じが抜け落ちているというか、もういいかなみたいな。
荒牧:そうそう。そういう意味では十分記録に残しているのでいいかなという感じです。
須賀:ただ僕は本当に忘れっぽいので、パスワードは本当に記録しといた方がいいなと。何回も「うわ、これ違う…」と頭を抱えます。
◆最後に終盤に向けての見どころをお願いします。
荒牧:たぶん最後はこういう終わり方なんだと、いい意味で「え!?」と裏切られるのではないかなと思います。特別編の最終回も楽しんでもらえたらうれしいです。
須賀:きっと今、どうなって終わってくんだろうと待ってくださっていると思います。5話は僕ら2人があらためて対峙して、向き合うシーンがすごく多かったですし、すごく気合を入れて臨んだので、それに見合うものになったと思います。6話はまたちょっと違う2人が見られるので、ぜひ最後まで楽しんでいただければうれしいです。
PROFILE
須賀健太
●すが・けんた…1994年10月19日生まれ。東京都出身。A型。
荒牧慶彦
●あらまき・よしひこ…1990年2月5日生まれ。東京都出身。AB型。
番組情報
ドラマフィル『奪われた僕たち』(全6回)
MBS
毎週木曜 深夜1時29分~1時59分
テレビ神奈川
毎週木曜 深夜1時~1時30分
テレ玉
毎週月曜 深夜0時~0時30分
群馬テレビ
毎週火曜 深夜0時30分~1時
とちテレ
毎週水曜 深夜1時~1時30分
チバテレ
毎週木曜 午後11時~11時30分
<配信>
◆無料配信
MBS動画イズム、TVer:毎週金曜 午前2時~
◆有料配信
U-NEXT、FOD(FODチャンネル for Prime Video)、Hulu、Lemino、ひかりTV、RakutenTV、ビデオマーケット、music.jp、ミレール:毎週金曜 正午~
ふらっと動画(ネットカフェ):毎週月曜 正午~ ※祝日の場合は同週木曜日更新
J:COM STREAM、iTSCOMオンデマンド、milplus(みるプラス)、TELASA:毎週火曜 午前0時~
WATCHA:5月17日(金)正午より全話一挙配信
<出演者>
須賀健太、荒牧慶彦/志磨遼平、高田里穂、向里祐香、一條恭輔/玉城裕規、里中将道 廣野凌大、田中涼星/渡辺哲/福澤侑
<スタッフ>
主題歌:ドレスコーズ「キラー・タンゴ」(EVIL LINE RECORDS)
企画:Pasture×KING RECORDS
監督:針生悠伺、佐藤竜憲、山口雄也
脚本:我人祥太
制作:ホリプロ
製作著作:「奪われた僕たち」製作委員会・MBS
公式HP:https://www.mbs.jp/ubawareta_bokutachi/
公式X:https://twitter.com/ubabokuofficial
公式インスタ:https://www.instagram.com/ubaboku_official/
©「奪われた僕たち」製作委員会・MBS
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<応募締切>
2024年5月10日(金)午後11時59分
※応募規約(https://www.tvlife.jp/present_rules)をご確認いただき、ご同意の上、ご応募ください。