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5月21日(火)に最終回を迎える『からかい上手の高木さん』(TBS系 午後11時56分~深夜0時26分/一部地域を除く)で監督を務めた今泉力哉さんにインタビュー。高木さん役を演じた月島琉衣さん、西片役を演じた黒川想矢さんの印象や、撮影の裏話などを聞きました。
本作は、月刊漫画雑誌「ゲッサン」(小学館)で連載されていた山本崇一朗による同名ラブコメ漫画を実写ドラマ化。とある島の中学校、隣同士に座る「からかい上手の高木さん」と「からかわれっぱなしの西片」、そんな2人の日常のやりとりを描く青春ラブコメディ。
西片をいつもからかって楽しんでいる高木さん役を月島さん、高木さんにいつもからかわれてしまう西片を黒川さんと10代のフレッシュなキャストが演じている。また今泉監督は永野芽郁さん×高橋文哉さんで送る、5月31日(金)公開の映画『からかい上手の高木さん』も手掛ける。
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◆本作のメガホンを取るに当たって、意識したことは何でしょうか?
普段、学生の恋愛ものをあまり手掛けていなくて、初めてぐらいだったんです。原作を読んだら、すごく細かい繊細なやりとりというか、小さい日常のやりとりを積み重ねた物語で、これは普段自分が作ってきたり、興味あること、こだわっていることに近いことで、何か面白いものができるんじゃないかと思って、引き受けました。もちろん原作はすごく人気があって、アニメ化もされていて、そのアニメもすごくヒットしているという中で、どう描くかを考えました。実際に小豆島で撮れたこともそうですが、実写だからこそ生まれる空気もあるのかなと思って、脚本家チームとプロデューサーと作っていきました。
◆原作に出てくるシーンから、このシーンは取り入れようというのはありましたか?
僕が関わる前から、プロデューサーと脚本家チームで作った仮の脚本が一度できあがっていたんです。そこから僕も加わって、ちょっと派手なことや接触するようなシーンは削いでいき、実写でやっても面白くなるだろう話や、僕が得意とする生っぽい空気のエピソードなどを中心に、話の抜粋もみんなで相談しながらやっていきました。1話冒頭の消しゴムのエピソードは、原作でも1巻の最初の話なのですが、僕が加わる前から既に最初のシーンとして設定されていました。僕もこの話には2人の関係性の提示含め、原作のいろんな要素がしっかり詰まっていると思い、そのまま揺るがずに、実写もここから始めることになりました。とてもいい取捨選択ができたと思っています。
ただ、原作ものでも自分の経験を入れた方が強度が出ると思っていて。5話の合唱のシーンで高木さんが西片を鏡越しに見るところは自分の経験から入れたんです。僕が小学生の時に合唱部だったんですけど、発声練習で鏡を持たされたことがあり、その時に僕が好きな子を見ていたかは覚えてませんが(笑)、そういう距離感は覚えていて。そういう個人的な具体の体験をいれると強度が増して、作品が観客にとってもぐっと近いものになるんです。
◆放送後の反響は届いていますでしょうか?
よく見ています。もともと原作がすごく人気があるので、実写化自体にすごくいろんな反応があることも想像していました。さまざまな原作ファンの声をSNSなど目にする中で、
「中学生で、小豆島でやってほしい」という意見がけっこうあったのですが、「全編、小豆島で撮るし、中学生でやるよ」と思いながら、情報解禁までは言えないので(笑)お楽しみにね、と思っていました。原作もアニメも人気がある作品なので、「3次元は無理だろう」「高木さんを演じれる人はいる?」みたいな意見もそこそこあがっていたのですが、そんな方たちも今ではすごく好意的にドラマを見てくれているという印象です。
本当に中学生でやることは、ある種、知名度しかり、芝居の部分しかりチャレンジングな部分もあると思うのですが、プロデューサーチームと丁寧にオーディションを重ねていきました。キャスティングは、この世界の空気を作り出せるかどうかに大きく関わる部分なので、月島さん、黒川さんに出会えたのはすごく大きかったです。
◆その反響の中で印象的だったものはありますか?
高木さんというキャラクターはもちろん、受け手の西片のキャラクターがすごく大事で、「高木さんもだけど、西片の反応がかわいいのが魅力」「もう1人のヒロインなんじゃないか」という原作ファンの感想を読んでいたので、実写化する時も西片のキャラクターは気をつけました。ドラマを見て、もちろん月島さんのお芝居の良さもあってのことですが、実際に西片をすごくかわいがる人も多くて。映画「怪物」があって、ちょうど注目されたことも含めて、黒川さんのリアクションは本当にフレッシュで素晴らしかったです。景色や映像の美しさについてもすごく反応があって、島で撮ってよかったなと。2回同じ芝居ができないような、本当にそういう繊細で生っぽいものがいっぱい撮れた気がします。
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◆月島さんと黒川さんの印象を教えてください。
2人は、ある種真逆でもあり、似ている部分もある。月島さんはすごく明るくて元気で、撮影が終わった後の食事会で「毎日お母さんに連絡して、今日も120%できましたと伝えてました」と。僕は今日やってしまった失敗や後悔ばかり考えてしまうので、その真っすぐさがすごいなと思いました。
黒川さんはどちらかというと、「西片になれた瞬間があったかな?」と悩むタイプ。でも、その距離感が、高木さんと西片にすごくあっていたと思うし、それこそ2人がいろんな取材を受けてくださっている記事を読む中で、黒川さんが「監督や月島さんは西片っぽいって言うけど、僕は違うと思う」「僕は、もうちょっとうまく、からかわれたらからかい返せるし」と言っていた記事が上がっていて、だからそれがもう西片だよと(笑)。純粋さを含めて、すごく真っすぐな感じがしました。からかわれた時のリアクションやどのくらい驚くかなどは、リアルよりも少しオーバーに演じなきゃいけない部分もあってかなり難しかったと思うので、そういう部分は相談しながらやっていきました。あと、演出ではない変な動きがとても多いんです。変顔の回で、怒られたら普通は顔から手を離すと思うんですけど、彼は変顔のまま立ち上がってそのまま怒られていて(笑)。あとバレンタインデーの回で、自分の机の中にチョコが入っていないかのぞき込む場面で、普通にのぞくのではなくて、体をくの字にしてのぞいていたり。その不器用さがかわいかったですね。
◆今泉監督の演出なのかと気になっていました。
演出ではないんです。どういうこと?みたいな動きは演出では生まれないし、そういうのが面白い。第1話でも、右後方から呼ばれているのに、1回左後方を振り返ってから右を見たり。僕は演出する際に、俳優が中学生だろうが大人だろうが、まずは何も言わずに1回お任せで演じてもらうんです。先に「ここはこういうシーンだからこういうふうにしてください」とか細かい指示は出さない。いろいろ伝えてしまうと、自分が思っているよりも面白くなる可能性を潰してしまう可能性がある。任せることで、想像よりも面白いことが起きる。2人もいろいろアイデアを持っていてくれて、素晴らしい瞬間がたくさん生まれました。
◆月島さんと黒川さんのオーディションで印象に残っていることはありますか?
オーディションって、とても緊張してやって来ると思うので、みんな1回目ではベストな力を発揮できないと思って、極力2回やるようにしています。芝居を見て、それで終わりではなく、「やってみてどうでしたか」と聞き、コミュニケーションも取り、今回は選ばないことになった人にも何か持ち帰ってもらえたら、という意識で行なっています。
月島さんは芝居経験が少ないにもかかわらず、同じ台本で同じ芝居をするにしても、他の子たちよりもすごくアイデアを持って臨んでいた。他の方がやらないような自由な動きをしたり、失敗を恐れずに挑戦してくれた気がします。それに高木さん役は声もすごく大事。お芝居はいいけど、声が低いから選ばれなかった子もいる。役にハマるかどうかを総合的に見て、月島さんがベストな選択だったんです。
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