岩田剛典、物語のキーマン・緋山役は「表情だけでストーリーをつなぐ役目なので難しかった」『アンチヒーロー』インタビュー

特集・インタビュー
2024年05月30日
『アンチヒーロー』緋山啓太役の岩田剛典©TBS

長谷川博己さんが主演を務める日曜劇場『アンチヒーロー』(TBS系 毎週日曜 午後9時~9時54分)で、緋山啓太役を演じる岩田剛典さんにインタビュー。役作りについてや撮影現場の裏話などを聞いた。

長谷川さんが演じるのは、「殺人犯をも無罪にしてしまう」“アンチ”な弁護士・明墨正樹。「弁護士ドラマ」という枠組みを超え、視聴者に“正義とは果たして何なのか?”“世の中の悪とされていることは、本当に悪いことなのか?”を問いかける、前代未聞の逆転パラドックスエンターテイメントだ。

岩田さん演じる緋山啓太は、羽木精工の元社員。羽木社長殺人容疑で起訴されたが、明墨の手によって無罪に。そして、明墨が追う事件に何やら関わっている様子で…。


『アンチヒーロー』©TBS

◆本作が初めての日曜劇場への出演ということですが、感想を教えてください。

緊張感あるシーンが続く作品ですし、出演されている出演者の皆さんも本当にいろんな作品で重要な役どころを演じてきた方々ばかりなので、日曜劇場だなという感じがしています。これまであまりこの髪の明るさでドラマに出たこともなかったですし、いわゆる1話、2話のゲストのように見せかけて、後半でまた出てくるという役どころは初めてでした。12年前と現在がすごく入り組んだ脚本のキーマンというのも新鮮です。

◆脚本を読んでの感想を教えてください。

台本が面白いというのはすごく役者にとって魅力があるなと思います。そして作品に入る前に8話、9話ぐらいまで台本が出来上がっていたので、どっしりと安心感のある、信頼できる現場だなと感じました。なかなかそこまで台本がそろった状況で現場にクランクインすることは少ないので。台本がないうちに芝居するのと、台本があって理解した上で芝居するのとでは雲泥の差なので、先を計算しながら芝居ができてよかったなと思っています。

◆計算したのはどのシーンでしょうか?

(北村)匠海君演じる赤峰との対話のシーン。緋山というキャラクターを作っていく上で非常に重要な、人となりだったり、過去がようやく分かるというところです。

◆そこに向けて、序盤から変化をつけていたイメージでしょうか?

シーンの逆算というよりは、振り返って見たときに1話、2話の緋山の感じに納得していただけるかなというところです。1話、2話では視聴者の皆さんをだまそうと思ってお芝居をしていたわけではないですが、8話、9話、10話と見ていただくと、自然と1話、2話はそういう流れになりますよねと納得できるかなと。そういうところが脚本に隙がないと思います。

◆緋山を演じるに当たって、心掛けたことはありますか?

過去に起きた出来事が緋山にとても影響していて、実は1話の冒頭のシーンから伏線が張られているんです。脚本を読んだだけの印象と、実際に1話、2話の脚本ではまだ描かれきっていない部分を、先に自分の中できちんと整理してから、クランクインのシーンに臨んだので。本当に脚本がある状態でこういう役柄を演じられたことがすごくありがたかったです。役作りでは、決して根が明るい青年ではなかったので、たたずまいであったり、目の奥の光のなさであったり、口調も意識しながら演じています。

◆ここは難しかったなというところはありますか?

僕は皆さんに比べてせりふが多い役柄ではなかったので、大変と言っていられない感じですが、強いて言えば表情だけでストーリーをつなぐ役目なので、そういうところは難しかったです。それと、この数か月、初日に決めた緋山の表情と声色をずっと維持して演じることも難しいかもしれません。

◆今回、殺人事件の容疑者役というところで、印象に残っている撮影シーンはありますか?

法廷のシーンは、人が多いので非常に大変です。それは1話、2話でも感じましたし、今日の撮影でもあらためて感じました。カット数もすごくて、本当にワンシーンにつき、100近いカット数があるんです。その間、スタッフ、キャストを含め、集中力をキープするチーム力が試されているような撮影が続いています。

『アンチヒーロー』©TBS

◆撮影裏話も教えてください。

2話の緋山が血の付いた作業服の上着を捨てている場面は雨降らしのシーンで、山奥だったのでまあまあ寒くて。しかも、クレーン車とタンク車が来るぐらい、結構大掛かりな撮影だったので、すごく記憶に残っています。匠海君とびしょびしょになりながら頑張りました。

◆その際、北村さんとは何かお話されましたか?

匠海君が優しくて、カップラーメンを持ってきてくれました。寒い中、外でパイプ椅子に座って2人で食べて、その撮影をどうにかやり過ごしました。

◆これまで寄せられた反響を教えてください。

やっぱり殺人事件の容疑者というところで、実際に罪を犯しているのか犯していないのかという部分で、特に2話のラストシーンはちょっとうやむやにさせる脚本になっていましたから、かなりいろんな考察が盛り上がった1話、2話だったのかなと思うんですけども、そんな作品のキーマンを演じられて、この仕事の冥利に尽きるなという気がしています。またこの先のストーリーを見て、結構予想外だったりすることや事実がきっと出てくると思うので、そういう意味で言うと、1話、2話の反応を見ている限りだと、このチームの作戦通りに進んでいるのかなっていう感じはしています。

◆個人的に好きなキャラクターはいますか?

明墨です。視聴者の皆さんは最後まで見ないと明墨という人物が分からないと思いますが、内に秘めた強い思いを不言実行する感じがいいですよね。まだ今の時点では登場人物全員がなんとなくしか伝わっていないと思いますが、この先本当に見事にパズルのピースがはまっていくので、楽しみにしてもらいたいです。

◆あらためて長谷川さんの印象を教えてください。共演して刺激を受けたことはありますか?

明墨という役柄を演じるのは本当に大変なことだと思いますし、憑依しているかのような芝居に感服するばかりです。僕がコメントするのもちょっとおこがましいんですが、本当に大変な現場で、役柄だと思いますし、それをこのスケジュール感の中、やり切るという人間力の高さをそばで見ていてすごく感じます。

◆長谷川さんと何かお話はされましたか?

法廷の撮影のときはアメリカのオスカー賞の話をしたり、ご飯屋さんの話だったり、撮影から前室に戻ってきたときはパッと切り替えて、いろんなお話をさせていただいています。弁護士事務所の皆さんは、1日中現場に缶詰みたいな日が続くこともあると思うのですが、チームワークが出来上がっていて、すごくアットホームな雰囲気でいい現場だなと。

◆特にどんなところでいい現場だなと感じられましたか?

前室ではわりと和気あいあいとしていますが、シリアスなシーンで長回しも多いと、カメラが回る前にあまり談笑している場合じゃないなと感じるピリッとした空気感になったりすることがあるんです。そんなとき、「ちょっと静かにしよう」と誰かが言うわけでもなく、皆さんその雰囲気を分かって、本番に向けてぐっと集中力が高まっていく感じ。すごく丁寧に撮影が進んでいきますし、そこは日曜劇場らしいなと感じます。

◆対峙するシーンは事前に話し合われていますか?

たくさんします。監督の演出で「ここはこう撮りたい」ということもありますが、基本的には役者が段取りでやった芝居を撮って、スタッフがカット割りから話し合ってくださっているので、各々を作ってきたキャラクターが味になっている作品だと思います。

◆監督さんとのやりとりで、何か印象に残っていることはありますか?

僕が普段しゃべっているトーンよりも、監督に求められたトーンがだいぶ低かったです。想定よりも低かったのですが、「なるほど」という感じでした。

◆朝ドラの役とのギャップに反響も大きかったと思いますが、ご自身はどう捉えられていますか?

たまたまオンエアがかぶったので、視聴者の方は混乱してしまうかもしれませんが、全然違う役どころなので。ですが、同じ時期に真逆の役ができたというのは自分にとってすごくラッキーなのかなと思います。

◆作品の全体としての魅力は?

作品の魅力は、重厚な脚本です。脚本が面白いというのが作品の良しあしを決める一番大きな要素になってくるとも思うので、まずはそこが盤石であることが、視聴者の皆さんの満足度につながっているのかなと思います。あとはすごく撮り方が丁寧だなと感じていますし、あとは上がってきた映像が映画っぽい質感になっていて、そこも好きです。第2話の上映会で映画館のスクリーンで流れたのを見て、その時に感じました。

◆ここまでの放送で、“追いアンチ”してほしいところはありますか?

物語の理解度を高める上で、何度もご覧になっていただくことはとても重要だと思っています。きっと何度見ても気づけないところもあると思いますが、この先各キャラクターが話をまたいでシンクロしていくんです。5話で緋山が登場したこともそうですが、ただ登場したわけではなく、全部これからのことにつながっていくんです。それは緋山の事件の裁判だけではなくて、この先も全てつながっていくので、最後までご覧になっていただけると、ほかでは得られない満足度がある作品だと思います。

『アンチヒーロー』©TBS

PROFILE

岩田剛典
●いわた・たかのり…1989年3月6日生まれ。愛知県出身。B型。EXILE、三代目 J SOUL BROTHERSのメンバーとしても活躍。現在、日曜劇場『アンチヒーロー』(TBS系)にも出演中。

番組情報

日曜劇場『アンチヒーロー』
TBS系
毎週日曜 午後9時~9時54分

<配信>
◆Netflix 世界配信
日本国内配信中
その後、海外にて順次配信を予定

◆U-NEXT Paraviコーナー
各話初回放送直後配信

◆TVer・TBS FREE
各話初回放送終了直後から最新話を無料配信

<キャスト>
長谷川博己、北村匠海、堀田真由、大島優子、木村佳乃、野村萬斎 ほか

<スタッフ>
プロデューサー:飯田和孝、大形美佑葵
演出:田中健太、宮崎陽平、嶋田広野
脚本:山本奈奈、李正美、宮本勇人、福田哲平
音楽:梶浦由記、寺田志保
主題歌:milet「hanataba」(ソニー・ミュージックレーベルズ)

番組公式サイト:https://www.tbs.co.jp/antihero_tbs/
番組公式X(旧Twitter)&Instagram:@antihero_tbs

©TBS

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