7月7日(日)スタートの日曜劇場『ブラックペアン シーズン2』(TBS系 毎週日曜 午後9時~9時54分 ※初回25分拡大)で主演を務める、二宮和也さんにインタビュー。撮影の手応えや、6年ぶりに再集結した共演陣とのエピソードなどを聞きました。
本作は、2018年4月期に二宮さん主演で放送された日曜劇場『ブラックペアン』の待望の続編。海堂尊氏の小説「ブレイズメス1990」「スリジエセンター1991」(講談社文庫)を原作に、シーズン1から6年後の物語を描き、二宮さんはシーズン1で演じた渡海征司郎ではなく、人も金をももてあそぶ悪魔な世界的天才外科医・天城雪彦を演じる。
第1話は、世良雅志(竹内涼真)が佐伯教授(内野聖陽)から、オーストラリア・ゴールドコーストで開かれる学会で“天城”という医師に渡すよう一通の手紙を預かるところから始まる。
◆続編が決まったときの率直な心境を教えてください。
6年もたっていたのかと同時に、6年もたっていたら続編はやらないのかなとも思っていたので、シンプルにすごくびっくりしました。それに、せっかくまた『ブラックペアン』という看板をしょっていいよと言われているのであれば、できる限り同じキャストでやることは、見ている人たちもうれしいんじゃないかなと思ってもいたので。みんなが集まれるタイミングがあれば、ぜひ参加したいですという話をしました。
◆シーズン2では、新しい主人公・天城を演じられますが、その話を聞いたときはどう思われましたか?
僕自身はすごく不思議な感覚ではあったのですが、いろんなことができるのかなととらえました。最初は役が変わっていることを言うか言わないかみたいな議論もあったのですが、これは知ってもらった上で作品を楽しんでもらった方が早いだろうということもあったし、そんな妙な驚きは必要ないんじゃないかとも思っていました。このシーズン2も最後まで見ていただけると、いろんな展開があるので、天城というキャラクターになった意味や意図が分かっていただけると思います。
◆オペ室の悪魔と呼ばれた渡海と、今回演じられる人も金をももてあそぶ悪魔の天城で、どのようにキャラクターの違いを考えて、演じ分けていますか?
ビジュアルも違いますし、キャラクターも違っています。人それぞれだとは思いますが、渡海先生は実はいい人だったんだと僕は思うことができたという感じでした。なので、特段悪いところをデフォルメして、ぐーっと抽出しているわけではないんですけれども、ちょっと角度が違うやり方というか、天城先生の方がちょっと自由奔放にしているのかなと思います。
◆その自由さはどういうふうに表現されていますか?
僕が基本的に天城を動かすときは、監督たちとも話しますけども、わりと自由にアプローチをしていることの方が多いかもしれないです。あと、TPOに合ったムーブをあまりしていないというか、あえてしなかったり、逆にあえてしているところももちろんありますが、基本的に渡海先生よりはもうちょっと能動的に社会とも関わっているような感じです。
◆シーズン1から引き続き同じキャラクターが出てくる中で、前回と今回とで変わったなというキャラクターはいますか?
そもそも「ブラックペアン」シリーズの原作の主人公でもある世良君がいろんな先生にあって成長していくというお話でもあるので、世良君は物語上も6年の間に研修医から先生になって、いろんな担当を持ったり、時に指導したり、後輩を助けたりというような面が見られるのは すごく印象的でしたし、世良君が一番変わっているのではないかなと思います。
◆実際に天城を演じて感じたことはありますか?
僕は基本的にその場に置かれたときにどれだけ異物化できるかというのがひとつのテーマでもあるので、あんまり場になじんでいなかったりするのですが、ただオペのときだけはリーダーになっていくという様が面白いと思っています。オペしているときと、していないときの差というのは、わりと意識しているところかもしれないです。
◆撮影が始まって、大変だったシーンはありますか?
前回とは立場が違うので、オペシーンが大変です。前回は場がピンチになったときに渡海先生が出てきて、ばーとオペをやって帰っていく設定だったので、僕はどちらかというとそこまで大変に感じていなかったのですが、(小泉)孝太郎君や(竹内)涼真はわりと「しんどすぎる」みたいな話をしていて、温度差がすごくあったんです。今回の天城先生は最初から最後までずっとオペをしているので、「このことを言っていたんだな」と分かりました。
◆キム・ムジュンさんと共演されてみていかがでしたか?
すごく頑張り屋だなと思います。異国でいつも通りに仕事をするということがいかに大変かは、僕も何度か経験があるので理解できます。ムジュンの場合は、いつもの制作スタッフ、言葉、俳優さんも違っていて、その3つが違うというのは僕も経験がないので、それをやっているのはすごいことだなと思います。それこそ出てくるワードも難しいので、日常会話というよりかは、術名だったり、 臓器や病気の名前だったりを同時に覚えているし、僕らのせりふもちゃんと頭に入れているので、本当に時間がいくらあっても足らないだろうなと思うぐらい頑張ってくれています。
◆二宮さんも経験があるとおっしゃっていましたが、自分が海外にいる時と重ね合わせるところもあったのでしょうか?
やっぱり海外にときの大変さはすごく感じますし、単純に自分の家に帰れないわけじゃないですか。それがいい意味で価値につながればいいですけど、ストレスにならないように僕らは日本の役者さん以上にケアしていかなきゃいけないというのはあります。ムジュンも来て楽しかったな、日本でこのチームとお芝居をやれてよかったなと思って帰ってもらうのが僕らの目標になってくると思うので、お芝居だけではなく、いろんな経験ができたらなというのは話しています。
◆ムジュンさんから撮影の合間にやったゲームで二宮さんに勝って、ご飯に行く約束をしていると聞きました。
ご飯を食べに行く約束をしました(笑)。ムジュンが食べたいものを聞いたりして、わりと普通のやりとりもしていますし、例えばお芝居のことだったり、韓国語で言うとこれはどうなるんだとかということもやってくれていて。日本語でこういうことを言いたいんだけど、ニュアンスはこれで合っているのかという質問もあったりするので、そこの齟齬がないようにコミュニケーションを取れているのかなと思います。
◆オーストラリアロケでの印象的な出来事はありますか?
現地の方々にすごく協力していただいて、いろんな場所で撮ることができたなと思っていますし、もちろんその撮影に参加もしていただいたりとか、好意的にやっていただけたなと思います。あと、カジノだったり、なかなか普段入れるようなところではない場所でも撮影できました。普段だったらその場所に似ているところだったり、いかに寄せられるかの勝負だったりするのですが、そうではなくて、実際のブリスベンの空港を貸していただけたというのは、本当に行ったかいがあったのではないかなと思います。
◆撮影がオフの時間はどのように過ごされていましたか?
僕はみんなより前に入って、特番の『二宮孝太郎』(TBS系 7月5日(金)放送)のロケをやっていました。そっちは旅行というか、オーストラリアのいろんなところに飛んで、動物園に行ったりしていたので、撮影を切り離して過ごすことができました。
◆リフレッシュにもなったんですね。
そうですね。ただ、みんなは天城先生を探しに来ている話なので、大変そうでした。僕はまだフルタイムで入っていたわけではなかったので、残っているメンバーとご飯へ行ったりできていたんですけど、探している側はカツカツだったので大変そうでした。
◆撮影が始まってから現時点で感じている率直な手応えや、チームワークを教えてください。
チームワークは、どこと比べてというのができないのでおそらくですけど、いいと思います。出ているキャストたちが前作とほぼほぼ一緒なので現場もやりやすいです。だからこそキャストの意見に価値があるのかなとも思っています。前作を経て今作に入ってきているキャストたちは、譲れるものもあれば譲れないものもあり、それを前作とは違うチームで作っているので、そういった時にそれは譲れるけれど、それは譲れないというのは、シーズンを通してきた人たちの感じなんだろうなというのはあります。その分いい形で物が作れているんじゃないかなと思います。
◆天城は二者択一の運試しを迫りますが、二宮さんにとって、大きな二者択一だったなと思うエピソードはありますか?
それで言うと、嵐と『3年B組金八先生』のどっちをやりたいという話をされたときです。僕は金八先生、風間(俊介)はバレーボールをやりたいと言っていたのに、なぜだか知らないけれど、気づいたら逆転していて、今に至るという感じなので、その2択が一番大きかったのではないかなと思います。
◆第1話以降にも二者択一を迫るような展開は出てくるんでしょうか?
基本的にそれが条件となって展開していくので出てきますけど、その条件で運を試すという方々が、本当に毎話すごい方たちばかりなので、そこも合わせて楽しんでいただけると思っています。
◆6年前と現在で、ご自身の役者としての姿勢の変化を、今回の現場に入って感じたことはありますか?
僕が一番不思議というか、面白いなと思った感覚は、これまでにいろんな作品に顔を出させてもらって、いろんな経験をさせていただいていたんですけど、『ブラックペアン』と言われると、あの頃の感じが戻ってくるというか、6年前と同じやり方をしています。現場がそれを許してくださるというのが一番大きいんですけども、僕は現場に入って空気を見て、出てくるもので勝負したいタイプなので、それをよしとしてやらせてもらえるスタッフ力と、それに対応してくれる共演者の人たちというのが、『ブラックペアン』の現場に戻ってきたなみたいな感じがして、むしろ懐かしさすらあったと言いますか、不思議な感覚でした。
◆6年前だったらできなくて、他のいろいろな作品にも出演してきたからこそ、今回の現場でできていると思うことはありますか?
共演している人たちとその日に撮るシーンの話をするようになりました。「ここをこうしたいんだけど大丈夫?」ということを前室などで待っている間に、「じゃあ僕はこうします」「私はこうやります」と役者間でやりとりできるようになったというのは大きいところかもしれないです。僕もそうだけど、みんなも6年たっていて、その間にいろんな現場を経験した人たちなので、そういう人たちが『ブラックペアン』のやり方で今現場をやっているというのが僕はやりやすくて好きなんです。
◆最後に、第1話の見どころと視聴者へのコメントをお願いします。
6年ぶりにシーズン2として『ブラックペアン』が戻って来るんですけれども、やはり『ブラックペアン』の持つ力というのもそうですが、このTBSの日曜劇場という枠の力の強さと言いますか、出てくる役者の幅広さからもエンターテインメントが始まっていると思います。この日曜劇場ってやっぱりすごいんだなとあらためて思ってもらえるように、日曜劇場のファンの方々にも届けばいいなと思っていますので、ぜひ楽しみにしていてください。
PROFILE
二宮和也
●にのみや・かずなり…1983年6月17日生まれ。東京都出身。A型。
番組情報
日曜劇場『ブラックペアン シーズン2』
TBS系
2024年7月7日(日)スタート
毎週日曜 午後9時~9時54分 ※初回25分拡大
<スタッフ>
原作:海堂尊 「ブレイズメス1990」「スリジエセンター1991」(講談社文庫)
プロデュース:伊與田英徳、武藤淳、佐久間晃嗣
番組公式サイト:https://www.tbs.co.jp/blackpean_tbs/
番組公式X&Instagram&TikTok:@blackpean_tbs