「ルミネもいいけどルミナもね」トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行【第33回】

特集・インタビュー
トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行
2024年07月17日

お笑いコンビ・トンツカタンの森本晋太郎さんがTV LIFEで連載中のコラム「トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行」。「今年売れる」と言われ続ける中での出来事や本音が綴られた“飛躍を夢見る芸人の備忘録”をwebでも公開します。今回は人力舎芸人たちによるお笑いライブの話。(TVLIFE 2024年7月3日発売号より転載)


ルミネもいいけどルミナもね

4月からプロダクション人力舎が新たなお笑いライブを発足させた。ラバーガールさん、真空ジェシカ、吉住、ザ・マミィなど、人力舎が誇る精鋭たちが名を連ねており、テレビやライブシーンで活躍する芸人たちのネタと企画コーナーが楽しめる激アツライブだ。そしてありがたいことにそこにトンツカタンも参加させてもらっている。

初回の時点ではまだライブ名が決まっておらず、みんなが匿名で考えたタイトルからひとつ選んで決めようという企画コーナーが本番中に行われた。『グミ』『ちぃたま』『ガパ』など、「きっと他の誰かがまともなのを考えてくれているだろう」という心理が全面に出た案が乱立した結果、消去法でラバーガール飛永さんが提案した『ルミナ』が採用された。ちなみにこちらは吉本がライブをやっているルミネから着想を得たとのこと。我々がいかに低いネーミングセンスで争っていたかが伺える結果だ。あまりにヌルッと決定したため、人力舎も公式ではしばらくこのライブを『ルミナ(仮)』と表記していたが、ある日を境に観念したのか(仮)がなくなっていた。

2回目はザ・マミィが企画した『ルミナのリーダーを決めよう』というコーナーを行ったのだが、発案者のふたり曰く人力舎の芸人はどうせリーダーなんかやりたがらないので、自分がいかにリーダーに向いてないかをプレゼンしていき、最も説得力のない人をリーダーにしようというもの。初回と同じくやはり消去法である。みんな自分がこのライブの長になるのが嫌すぎて矢継ぎ早に自らのネガティブキャンペーンをしていく。その中でも僕の相方であるお抹茶がおもむろに前に出てきて誰もピンとこないそこそこ長尺のギャグをやったあとに「僕はおもしろくないのでリーダーに向いてません!」と胸を張って宣言した時は圧巻の消去っぷりだった。その場にいる全員が「この人は選んではいけない」と確信していた。

あれよあれよという間にみんながリーダー戦線から脱落していった結果、最後に残ったスパイシーガーリックのジョンが任命された。芸人仲間から愛されているジョンなら大丈夫だと全員が安堵していると、実はまだ来月のルミナの出演者にスパイシーガーリックが選ばれていないことが発覚し、ものすごいスピードで暗雲が立ち込めたままライブが終演した。

このように過去2回のルミナは人力舎の若手が人力舎たる所以をまざまざと見せつけるような内容となっており、そこがこのライブの唯一無二の魅力になっていくのではと思う。売れてる人もこれから売れていく人も、たとえ芸風が丸っきり違ったとしても纏っている空気感は同じ。好きな人はとことん好きな雰囲気なはずなのでよろしければぜひ一度足を運ぶという選択をしてほしい。消去法で。


森本晋太郎
●もりもと・しんたろう…1990年1月9日生まれ、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。趣味でもあるツッコミに特化したYouTubeチャンネル「タイマン森本」も好評。