お笑いコンビ・トンツカタンの森本晋太郎さんがTV LIFEで連載中のコラム「トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行」。「今年売れる」と言われ続ける中での出来事や本音が綴られた“飛躍を夢見る芸人の備忘録”をwebでも公開します。今回は“味噌番組”の話。(TVLIFE 2024年7月17日発売号より転載)
味噌と向き合おうとしたら自分と向き合えた
ここ最近、週に一回のペースで名古屋に通っている。というのも、7月25日からCBCテレビで『愉快なキャラたちがワイプで見守る話』という番組が10週に渡って放送されるのだが、そこに僕が毎週出させていただくことになったのだ。こんなにありがたい話はないのだが、その内容が『味噌』のみなのである。あらゆるアプローチで味噌の魅力に迫る30分を10回、つまり僕が味噌と300分向き合う様子が名古屋で放送されるということになる。CBCがやけになってしまったのではと心配になる企画だ。
記念すべき初回は街行く人に声をかけ、その方のお家にお邪魔してお味噌汁を作ってもらうというストロング企画だ。もちろんガチでやるので場合によっては名古屋のみなさんに断られてノー味噌でフィニッシュの可能性もある中、心温かい方たちのおかげでなんとか企画を成立させてもらうことができた。たくさんの方に話しかけていく中で何人かは僕のことを知ってくださっていたのだが、そのみなさんに共通するとある特徴に気付いた。
誰も僕に緊張していない。
いくら都心部とはいえ、東京に比べたら名古屋で芸人のロケに遭遇するケースは少ないはず。にも関わらずみなさん僕が話しかけると「おー!トンツカタン森本さんですよね?見てますよー!」と、リラックスした表情で澱みなく会話が続いていく。なんなら知らない人と喋るという点では根の人見知りが発動して僕の方が緊張していたのではないかと思う。一番印象的だったのはコンサートに向かう途中だった男女のカップルに話しかけた際、男性の方がなぜか味噌汁作りに前向きな姿勢を見せてくれたのだが、それに対して彼女さんがあまり芳しくない反応だった。そりゃあ知らない芸人にデートを邪魔されるのは嫌だよなと思いながら「さすがに僕のこと知らないですよね?」と聞くと、
「いや、学生のときトンツカタンのコントをみんなの前でやったことあります」
ネタをカバーしてくれるほど好きだった。そんな芸人が目の前に現れたのにここまで冷静でいられるなんて。トンツカタン森本がいかに人を緊張させないか、そしてあの女性の彼氏さんへの愛がいかに大きいかが伝わったと思う。
そんな良いのか悪いのかわからない気付きもありつつ、名古屋の方々に助けてもらいながら味噌のあれこれを伝えていく前代未聞のバラエティが始まる。
けっこう面白いと思います。手前味噌だけど。
森本晋太郎
●もりもと・しんたろう…1990年1月9日生まれ、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。趣味でもあるツッコミに特化したYouTubeチャンネル「タイマン森本」も好評。