お笑いコンビ・トンツカタンの森本晋太郎さんがTV LIFEで連載中のコラム「トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行」。「今年売れる」と言われ続ける中での出来事や本音が綴られた“飛躍を夢見る芸人の備忘録”をwebでも公開します。今回は、パーソナリティを務めていたラジオ番組が最終回を迎えた話。(TVLIFE 2024年10月16日発売号より転載)
別れ方なんてアルファベットの数だけあるから
この業界では別れの季節というものが年に2度訪れる。それが春と秋にある改編期と呼ばれるタイミングだ。そしてこれまでその時期を何度も乗り越えてきた、僕がbayFMで3年半パーソナリティを務めていた音楽番組『ジェネZZ』が9月に最終回を迎えた。
僕がメインのひとりとしてパーソナリティをやらせてもらうのも初めてだったし、レギュラーがこんなに続いたのも初めてだったのでかなり思い入れのある番組だった。最初の1年は≠MEの蟹沢萌子さん、その後の2年半は超ときめき♡宣伝部の吉川ひよりさんとご一緒させていただき、様々なアーティストのみなさん、そしてたまにがっつり身内の芸人をゲストにお呼びしてたくさん盛り上げていただいた。
思えば普段絡むことのなかったアーティストのみなさんにいかにホストとして楽しんでもらえるかに向き合い続けた3年半でもあったと思う。テレビやラジオにゲスト出演するアーティストさんは新曲のプロモーションも兼ねている場合が多いので、スケジュールの合間を縫ってたくさんの番組に出られている。その中のひとつに『ジェネZZ』が入っているありがたみを噛み締めながら、いらしてくれたゲストを精一杯おもてなしすることに注力した。
「ラジオでここまで喋ったの初めてです!」
「すごく楽しかったのでまた呼んでください!」
「もう終わり!?あっという間でした!」
ゲストのみなさんからこんなお言葉をいただく度、自分の仕事に対する姿勢が間違っていなかったという確信が持てた。そんな愛着と感謝を持つ番組の終わりに僕は一体どんな感情になるのか。自分でも楽しみだった。
そして迎えた最終回の収録。なんと諸々のスケジュールの都合でこの番組が終わることを発表するよりも前に録ることに。リスナーの思いの丈を受け止めるつもりで臨んだのだが、蓋を開けたら
「月見バーガー食べましたか?美味しいですよ」
「自分スイカ農家なんですけど、突然変異で細長いスイカができました」
など、よりによっていつも以上にふつおたっぽいふつおたがたくさん届いていた。僕が思い描いていた最終回の雰囲気とだいぶ違う。みんなもまさかこれが最後に読まれるなんて予想だにしなかっただろう。
まるで来週もいつも通り続くような内容を録り終え、『ジェネZZ』は3年半の歴史に幕を閉じた。あまりに悲しさや寂しさからかけ離れた空気感だったため、吉川さんとも「今までありがとね!おつかれっした!」くらいの挨拶でお別れした。
なんだか拍子抜けではあったが、最後だからってしんみりする必要はないし、ましてや月見バーガーや突然変異スイカの話をしてはいけないなんていうルールもない。これくらいドライに完走するのもそれはそれでいいのかもと思った。それにしてもいろんな「かんそう」がありますね。おつかれっした!
森本晋太郎
●もりもと・しんたろう…1990年1月9日生まれ、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。趣味でもあるツッコミに特化したYouTubeチャンネル「タイマン森本」も好評。