「人生には≠MEの瞬間がつきもので」トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行【第42回】

特集・インタビュー
トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行
2時間前

お笑いコンビ・トンツカタンの森本晋太郎さんがTV LIFEで連載中のコラム「トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行」。「今年売れる」と言われ続ける中での出来事や本音が綴られた“飛躍を夢見る芸人の備忘録”をwebでも公開します。今回は、≠MEのファン感謝祭イベントに出演した話。(TVLIFE 2024年11月13日発売号より転載)


人生には≠MEの瞬間がつきもので

先日、≠ME(通称ノイミー)というアイドルグループによるファン感謝祭イベントのMCをやらせていただいた。事前告知なしのシークレット出演だったのだが、ノイミーとは番組で共演させてもらっているというのもあってファンの皆さまにとても暖かく迎え入れてもらえた。

感謝祭イベントということでなんとなくいつものコンサートの合間に何個か企画コーナーが挟まれるイメージだったのだが、蓋を開けるとライブのほとんどが企画コーナーで、終わりに一曲だけ歌うというなんともストロングな催しだった。別日に行われた姉妹グループのイベントでは曲メインだったらしい。なんで彼女たちだけこんなにもバラエティ強めだったのだろう。

主な内容はというとメンバーもシチュエーションも全てくじ引きで決める『即興演劇』、曲が流れた瞬間全力で踊らなければいけない『ダンシング玉入れ』、あわや衝突するのではないかという激しい競争が繰り広げられた『三輪車レース』など、お笑いライブでもここまでやらないよというハイカロリー企画が目白押しで、こちらも身が引き締まる思いでMCをやらせていただいた。

そんな中、僕が唯一関与しないはずの曲披露で事件は起きた。というのも、当日行われたリハーサルでメンバーから「森本さん、曲中に旗を振りませんか?」というクレイジーな提案をされ、曲の落ちサビ(いまだにちゃんと意味はわかっていない)と共に直前の企画で使用した優勝旗を持ってステージの端で振り回すことになったのである。正直、彼女たちがその日披露する唯一の楽曲で僕が現れることはノイズになってしまうのではないかという懸念があり、ファンのみなさんが芳しく思わないのではと感じていた。しかし、やるからには全力で取り組むのが礼儀だと覚悟を決め、舞台袖から曲が始まるのを旗を持ちながら見守った。

そしていざ落ちサビ(であろうタイミング)に差し掛かった瞬間、スタッフさんからの「今です!」というタイミングと共に優勝旗を持ってステージへと登場した。どんなリアクションが来てもとにかくやり切るつもりだった僕に対して客席からの反応は完全なる「無」だった。それもそのはず、実はこの曲の間は動画撮影が許可されており、会場中がノイミーにカメラを向けていて僕の乱入どころではなかったのである。

それによりステージ上にいる僕の存在はマイナスになることも、かといってプラスになることもなかった。ノイミーは歌と踊りに、お客さんはそのパフォーマンスの享受と撮影に、僕は旗振りにと、それぞれ全力で取り組むことができた。

自分がノイズではなかった、ノイズ≠MEという意味では、あの時の僕は歴としたノイミーの一員だったのかもしれない。


森本晋太郎
●もりもと・しんたろう…1990年1月9日生まれ、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。趣味でもあるツッコミに特化したYouTubeチャンネル「タイマン森本」も好評。

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