お笑いトリオ・トンツカタンの森本晋太郎さんがTV LIFEで連載中のコラム「トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行」。「今年売れる」と言われ続ける中での出来事や本音が綴られた“飛躍を夢見る芸人の備忘録”をwebでも公開します。今回は、『日曜はカラフル2』の新年会でのクリス松村さんの話。（TVLIFE 2025年2月12日発売号より転載）
どうやら最近は3時間睡眠だそうです
先日、準レギュラーとして出演させていただいている『日曜はカラフル2』の番組新年会に参加させていただいた。演者とスタッフ合わせて10人ほどのコンパクトな会で、僕が座った席の隣にアンミカさん、目の前にクリス松村さん、斜め前にラランド ニシダという非常に濃い席次だった。
新年会ということで気持ちも新たにみんなで士気を上げて楽しみたいのにも関わらず、着席するやいなやクリスさんが辺りを見回しながら「あたし絶対インフルになりたくないっ！！」と、まるでここの誰かがウィルスを持ち込んでいるかのような発言でのっけから殺伐とした雰囲気にさせていた。デスゲーム最初の犠牲者みたいな立ち振る舞いだった。
その後も「あたし今日マネージャーにしゃべりすぎるなって言われたから黙る！！…あ、そういえばさ！！」と最速の有言不実行を見せつけたり、提供された料理の説明を店員さんが丁寧にしてくれたあとに「え、なにこの料理！？」と気持ちいいくらい何も聞いていなかったり、「あ！！これサーモンよ！！」と言って指差したのがニンジンだったりと、終始クリス松村ワールドに全員を巻き込み続けていた。しかもあの人はとにかく腹から声が出ているため、厳密には「サーモンよ！！！！！！！！！」くらいの声量で店内中に存在しないサーモンを泳ぎ回らせているのである。
そんな中、特に印象に残っていたのがクリスさんが役者を志していた時のお話。事務所に入って初めてもらったお仕事が大河ドラマのエキストラだったのだが、そこで会心のお芝居を披露したクリスさんは撮影終わりに監督から「エキストラさん、今日よかったよ」とお褒めの言葉をいただいたそう。普通ならそこで大喜びしそうなものだが、クリスさんはそれに対して「わたし、エキストラじゃありませんっ！！」と吐き捨てて帰ったらしい。おそらく当時意表を突かれてなにも言えなかったであろう監督の代わりに僕が責任を持って言わせてもらう。
あんたエキストラだろ！！！！！！！！！
…監督、仇は取りましたよ。
しかし、こういう規格外なことを平然とやってのけるのがスターなのかもしれないとも思った。根っからの規格内芸人である僕には到底辿り着けない領域だ。自分のスケールの小ささを再確認させられながら帰路についた。
今思えば終始クリス松村さん一色の新年会だった。ぜんぜんカラフルじゃない。
森本晋太郎
●もりもと・しんたろう…1990年1月9日生まれ、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。趣味でもあるツッコミに特化したYouTubeチャンネル「タイマン森本」も好評。