

松坂桃李演じる文部科学省のエリート官僚・御上が、県有数の進学校である隣徳学院に教師として赴任し、生徒たちと共に日本教育界の腐敗に立ち向かっていく日曜劇場『御上先生』(TBS系 毎週日曜 午後9時~9時54分)。
3月2日(日)放送の7話では、ふさぎ込みがちだった椎葉(吉柳咲良)が抱えていた問題に、3年2組の生徒たちが立ち向かっていくことに。生徒たちと同様に御上から影響を受けていく副担任・是枝先生を演じている吉岡里帆さんが、撮影の感想や7話の見どころを語ってくれました。
◆是枝をどんな先生だと捉えていますか?
前向きな姿勢で生徒と向き合い、御上先生の話を聞くたびに反省し、少しずつ成長していくキャラクターです。御上先生とは違う面から生徒に寄り添っているので、ただ後ろを付いていくのではなく、ちゃんとアシストする関係に見えるよう心掛けています。
◆演じるうえで意識していることはありますか?
周囲の言葉や行動に対する“受け”の芝居が多いので、はっとする瞬間を大事にしています。そういう考え方があったのか、自分は思いもしてなかった、と。御上先生だけでなく、生徒からもはっとさせられるので、送られてくるエネルギーを見逃さないよう、取りこぼさないように注意していて。せりふの量以上に集中しているので、胃がキリキリします(笑)。こういう作品への取り組み方もあるというのは、新しい発見でした。
◆物語も後半に入りましたが、是枝の変化を感じるところは?
御上先生と接することでキラキラ輝いていく生徒を見て、自分も変わらなければいけないと思ってはいるんです。でも是枝はもう大人ですし、子供のときから植え付けられた教育や浴びて来た言葉によって人間としてしっかり形成されているので、簡単には変われない。現実もきっとそういうものだと思うし、そこがポイントの役柄だと思っています。
◆演じながらもどかしさを感じることもありますか?
たくさんあります。今までにも反省し、ふがいなさを感じる役はありましたけど、是枝の場合はそれがずっと、最終話まで続くんです。是枝というキャラクターは自分の気持ちや弱さを認識しながらも、それを卑下することも悲しむこともなく抑え込むようにしているので、演じている私自身も弱ってしまったり。でも、そういう感情になるということは、この役と向き合えてる証拠だとも思っています。


◆松坂さんや御上の同期の官僚・槙野役の岡田将生さんとは、2016年の連続ドラマ『ゆとりですがなにか』でも共演しています。
出演が発表されたとき、ドラマ好きの友達から「ゆとりメンバーやん、アツッ!」って連絡が来ました(笑)。思い返せば、あのときも松坂さんが担任の先生で、私は教育実習生という関係だったんです。並走していくキャラクターを演じていると学ぶことが多いし、『ゆとり』で過ごした時間があるからこそ今の距離感があるのかなと思います。
◆今回、松坂さんと再共演して感じたことはありますか?
相変わらず懐が深くて、人の話を聞いてくださる方だなと。御上先生ってキリッとしていて、あまり表情崩さないのが特徴ですけど、素の松坂さんは面白いことがあると子供みたいな満面の笑みを浮かべるんです。そこがチャーミングでステキですね。
◆岡田さんはいかがですか?
ドラマの『ゆとり』から何年もたつのに、ずっと見た目が変わらないことにビックリしました(笑)。今回は官僚役ということで御上先生と同様にキリッとされてるんですけど、ご本人のキラキラ感やいい意味での抜け感も相変わらずで。現場でもそういう一面を見せてくださるので、岡田さんの周りはいつも楽しい空気で包まれています。


◆現場での生徒役キャストたちの姿を見て、どんなことを感じていますか?
皆さん主体性を持って撮影に取り組まれていて、演じているキャラクターとリンクしながら成長している気がします。多感な時期にしかできないお芝居を見ていると、なんてみずみずしいんだろうと。特別な瞬間に立ち会えているのを感じています。
劇中で描かれている、センシティブな問題提起に対して意見を言う人がいれば、黙って聞いている人もいるという構図は、まさにリアルな学校生活の1シーンだと思うんです。一方で、リラックスしてるときの生徒役キャストたちの姿もリアルで、違う面での学生らしさがあって。普通に悩みを相談してくれるのがうれしいし、かわいいんです。見ていると本当の先生のような気持ちになり、いとおしくなります。
◆一方で、大人キャストの皆さんからは、どんなことを感じますか?
皆さん先輩ですし、生徒役のキャストといるときとは逆に、どこか守られているような感覚になります。養護教諭の一色先生役の臼田あさ美さんとやりとりしていると癒やされますし、学年主任の溝端先生を演じている迫田孝也さんは役柄とは違い、面白くて優しい方で。難しいシーンを撮影しているとき、あえて「楽しいね」って声をかけてくださるところがステキなんです。
◆本作で描かれているテーマを、1人の大人としてどう感じていますか?
撮影が始まったばかりの頃、全員で学校教育監修をされている工藤勇一先生の授業を受けたんです。今、日本がどのくらい世界から遅れを取っているのか、そこに教育がどう関わっているのか。お話を聞いて、日本教育の反省みたいなものを是枝に託せたらと思いました。是枝は真面目だし、頑張ってきたし、仕事ができないわけではないんです。でも、もっと高く飛ぶには足りないものがある。それをうまく表現できたらいいなと。工藤先生は最後に、「今は遅れを取っているけど、まだ巻き返していける」ともおっしゃっていて。そういうさまを見せたいと思いました。


◆そして、7話では椎葉の問題が明かされ、3年2組の生徒たちがそれに立ち向かっていく回となります。
椎葉は今の社会を凝縮したようなキャラクターで、生理や格差、貧困といった問題を抱えているんです。御上先生によって成長した生徒たちが、それらの問題とどう対峙していくのか。椎葉を1人ぼっちにしない、希望も見いだせる回になっていると思うし、同じように戦ってる人にとっても救いになる回にしたいです。
椎葉が心情を吐露するシーンでは、吉柳さんが心に刺さるお芝居をされているので、そこにも注目していただきたいです。吉柳さんは顔合わせのときから、「自分の人生や大切な時間をかけてこの役に挑みたい」と口にしていて、そのパワーに刺激をもらいました。普段の彼女は礼儀正しくて明るく、面白い話もたくさんしてくれるんです。そういう人柄も素晴らしいと思っています。
◆是枝はどういうスタンスで椎葉の問題と向き合っていくんでしょうか?
是枝はまた失敗するんですけど(笑)、結果的に見る人にとって考えさせられるシーンになるかなと。フィクションの中ではみんな悩みや抱えているものを好き勝手に、ドラマチックに話すけど、現実には話せないこともたくさんあると思うんです。恥ずかしかったり、わざわざここで言うことでもないかと自重して。でも一方でその人なりに葛藤し、努力もしている。是枝もその1人ですし、失敗しながらも成長していく彼女を見せることで、何かを感じていただけたらと思っています。


PROFILE
吉岡里帆
●よしおか・りほ…1993年1月15日生まれ。京都府出身。
番組情報
日曜劇場『御上先生』
TBS系
毎週日曜 午後9時~9時54分
<出演者>
松坂桃李、吉岡里帆/岡田将生/迫田孝也、臼田あさ美/及川光博/常盤貴子/北村一輝 ほか
■隣徳学院3年2組
奥平大兼、蒔田彩珠、窪塚愛流、吉柳咲良、豊田裕大、上坂樹里、髙石あかり、八村倫太郎、山下幸輝、夏生大湖、影山優佳、永瀬莉子、森愁斗、安斉星来、矢吹奈子、今井柊斗、真弓孟之、西本まりん、花岡すみれ、野内まる、山田健人、渡辺色、青山凌大、藤本一輝、唐木俊輔、大塚萌香、鈴川紗由、芹澤雛梨、白倉碧空
<スタッフ>
製作著作:TBS
脚本:詩森ろば
プロデューサー:飯田和孝、中西真央、中澤美波
演出:宮崎陽平、嶋田広野、小牧桜
音楽:鷺巣詩郎
脚本協力:畠山隼一、岡田真理
教育監修:西岡壱誠
学校教育監修:工藤勇一
©TBS