お笑いトリオ・トンツカタンの森本晋太郎さんがTV LIFEで連載中のコラム「トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行」。「今年売れる」と言われ続ける中での出来事や本音が綴られた“飛躍を夢見る芸人の備忘録”をwebでも公開します。今回は、『ラヴィット!』に出演した話。(TVLIFE 2025年3月12日発売号より転載)
理由なきラヴィットでもいいんだよ
先日、マネージャーから「今度『ラヴィット!』の出演が決まりました」という連絡をいただいた。
実はラヴィットには3年前に『好きな茶色いもの』というテーマの時に先輩の岡野陽一さんが「お抹茶がいるから」という強引なこじつけでネタを披露させてもらったことがある。また優しい先輩が僕らの名前を出してくださったのかなと思い詳細を聞いてみたところ、
「今回はパネラー席でピンの出演です」
一体何事なんだろう。僕のようなネクストブレイク芸人がテレビに呼ばれるにはなにかしらの理由が必要だ。普段深夜のテレビ朝日を主戦場としている人間が突然朝のTBSに呼ばれるなんてことがあるのだろうか。まったく身に覚えがないので、ひょっとしたら放送中になにかしらのドッキリが仕掛けられているのではないかという可能性も視野に入れながら当日を迎えた。
普段の生活リズムじゃありえない時間の起床に苦戦するもなんとか入り時間に現場へ到着。挨拶やメイクなどを終えるとあっという間に本番が近づく。スタジオに入ると、昨日まで男性アイドルが座っていた前列の真ん中がなぜか僕の席だった。森本の相場は後列の端っこだと思っていた。
いつものように『THE TIME』とのクロストークを川島さんが鮮やかにまとめあげるとそのまま流れるようにラヴィットが始まった。
「本日のゲストはパネラー席初登場、トンツカタン森本さんです」
田村アナによる紹介が続く。
「森本さんといえば2021、2022NHK新人お笑い大賞本戦出場。今大注目のネクストブレイク芸人です」
すこし派手さに欠ける古めの戦績に、やはり今年も相変わらずネクストブレイク道を牛歩で進んでいることを実感する。
その後は優しいレギュラー陣に暖かく迎え入れてもらい、強いて言うならチャラいモノボケをタッグで披露する企画で東京ホテイソンたけると組んだ結果とんでもないスベり方をした以外は終始楽しい時間を過ごすことができた。今思うと、せっかくのオファーなのにうっすら疑いながら現場入りしてしまった自分を恥じる。
ネクストブレイクが長いと自分に自信がなくなって自然と卑下してしまうことがある。お笑いを始めた当初は誰もが自らのおもしろさを信じて疑わなかったのに、いつしかそんな自分を徐々に愛せなくなっていってしまう。例外はあれど、自分自身を愛せない人間に誰かを笑わせることはできないんじゃないかと思う。それを思い出させてくれたのが奇しくも『LOVE it!』なんだから、そりゃあ素敵な番組だわ。
森本晋太郎
●もりもと・しんたろう…1990年1月9日生まれ、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。趣味でもあるツッコミに特化したYouTubeチャンネル「タイマン森本」も好評。