片岡信和「ピアノがただのBGMではなく、僕の弾き語りだからこそ伝えられる天気予報にしていけたら」『有働Times』

特集・インタビュー
2025年03月30日
片岡信和
片岡信和

日曜夜の情報番組『有働Times』で、ピアノの弾き語りをしながら天気予報を伝えるという「弾き語り天気」が話題の片岡信和さん。気象予報士、俳優とマルチに活躍中の片岡さんに、「弾き語り天気」誕生までの経緯や知られざる苦労、今後の目標などを聞きました。

◆初めて片岡さんの「弾き語り天気」を拝見したときは衝撃的でした!

僕も聞いたときは衝撃でした(笑)。放送が始まる3か月前ぐらい前だったと思うんですけど、これは一体どういうことだろうと。最初は「片岡さん、ピアノ弾けるんですよね…?」という話から、だんだん「天気コーナーでピアノを弾きながら天気予報を読めますか…?」という話になって。そのときは本格的な打ち合わせはまだ先だったので、イメージがぼんやりしていました。

◆実際、もともとピアノは弾けたんですよね?

趣味として弾いていました。でも考えてみてください、テレビでピアノを弾く人たちってコンクールに出たりとか、本当にすごい方ばかりじゃないですか。ピアノが趣味の僕がどんなにうまく弾けたとしてもそこには絶対にかなわないし、続かないと思ったんです。でも僕が芸能の仕事を始めてから自分に課している約束事があって。どんなことも「無理です」ではなく、まずは「できます」と言うところから始めようということなんです。だからもう、「余裕です!」みたいなノリでお引き受けしました(笑)。あと、そんな状況をどこかワクワクしている自分もいて、これは自分にしかできないことをやってみよう。考えて考えて考えて…自作曲ならできるかもしれないと思いました。

片岡信和
片岡信和

◆ただ弾きながら「歌う」のではなく「話す」というのは難しくなかったですか?

完全に別物で、弾きながら話し始めた途端に指が止まってしまうんです。ただ、そうこうしているうちに打ち合わせの日が来てしまって。そこでスタッフさんの期待が伝わってきて、何とかしてそれに応えたいという気持ちになりました。その時点では全然できていなかったんですけど、「いけそうです」と話したりして(笑)。でも練習していくうちに、弾きながら少しずつ話せるようなってきたんです。ただ、それだけではまだ安心はできなくて。人に見られるという状況や、グランドピアノを弾くことにも慣れなければいけないので。

◆確かに環境的なハードルもありますね。

それで本番まで2週間を切ったときに“もう間に合わない”と思ったんです。でもその瞬間、僕の脳が限界突破したんですよね。急にスラスラできるようになっちゃったんです。なので、どうしてできるようになったのか、自分でもよく分からなくて(笑)。今振り返ると、毎日5時間以上は練習していたと思います。朝の『羽鳥慎一モーニングショー』のお仕事が終わって、お昼ご飯を食べてから3時間ぐらい練習して。夜はピアノスタジオで2時間ぐらい練習して。ずっとやっていたので体もクタクタで、5キロ痩せました。これだけやって無理だったら、ハードルを下げてイントロだけを弾く形にお願いしようかなとか…そこまで考えるぐらい追い込まれていました。そうしたら、その翌日に“あれ? 話せるぞ…”と思って。ギリギリ間に合ったという感じでした。

◆「いけそうです」と口に出して自分を追い込んだことが、功を奏したんですね。

本当に自己暗示だなと思いました。人間、やめる理由なんていくらでもあると思うんです。それでも「いけます」と言ってトライしたことで、何とかセーフに漕ぎつけることができました。

片岡信和
片岡信和

◆初回の生放送はどうでしたか?

とても緊張しました。冗談抜きでピアノの黒鍵が見えなくなってしまって、全部真っ白に見えるぐらい。どれが「ド」の鍵盤なのかも分からないまま、CMが明けてしまって天気予報のコーナーが始まって。内心はヒヤヒヤだったんですけど、スタッフさんに聞いたらそうは見えなかったみたいです(笑)。実はこれが自分にとっての二つ目の約束事で、「どんなときも口角だけは上げておこう」ということ。タレントとしての心得というのか、やっぱりどんなときでも口角が上がっている方がいい結果になるんですよね。

◆実際、今まで見たことがない、楽しい天気予報が誕生しました。

テレビの天気予報って“ながら聞き”ができることもあって、いくら情報を盛り込んでもその全てが届かないことがあると思っています。それが気象予報士たちを悩ませているところでもあると思うんです。でも弾き語りで天気を伝えたらきっと目を引くと思うし、しっかり届くのではという期待はありました。今までの天気予報を壊すようなものなので拒絶する人もいると思うけど、無関心よりはいいかなと思って。無関心って一番何も響かないし、寂しいじゃないですか。もしこの「弾き語り天気」を見て嫌悪感を抱く人がいて、その人が僕のために意見をしたら最初のステップとしては最高だと思いました。そんなことを想像していたら、初回から温かいコメントがすごく多く届いて。とてもありがたかったです。

片岡信和
片岡信和

◆放送スタートから半年になりますが、調子はどうですか?

うまくなってると思います(笑)。今はまだ伴奏のレベルですが、もっと練習を重ねていって、言葉で伝えづらいものをピアノで伝えられたらと思っています。例えばにわか雨の可能性もある不安定な天気を伝えるときに、途中から低い音を弾いて、西から下り坂になっていくニュアンスを表現したりとか。ピアノがただのBGMではなく、僕の弾き語りだからこそ伝えられる天気予報になっていけたらなと思っています。

◆今後もどんどんパワーアップしていきそうですね!

失敗から学ぶことが多いので、恐れずにどんどんいろんなことに挑戦してみたいです。ただ生放送ですし、天気予報って失敗が許されないんですよね。だから演奏に関しては少しずつ変えていって、でもちょっと違ったなと思ったりして(笑)。毎回それで僕の中で課題を設けては反省するという姿勢でやっています。…真面目でしょ?(笑)あとは予報士としてのプライドもあります。常に自信を持っていないと伝わるものも伝わらないと思うので、“自分が一番しっかり伝えられているんだ”と自信を持って取り組んでいます。それで皆さんの前ではいつも余裕ぶってニコニコしているんですけど、家に帰ったら“やばい…どうしよう”と焦る日々をこの半年間ずっと過ごしています(笑)。でもそんな日々が楽しいんです。スタッフの皆さんが期待してくださっていて、一緒に番組を作っている感じがすごく心地いいです。

◆画面からチームの温かさが伝わってきます。その中心にいらっしゃるMCの有働由美子さんの印象はどうですか?

有働さんは、僕のような人間を自由にさせてくれて、何でも受け止めてくださっていて。且つ、何があっても絶対に助けてくれそうな、大丈夫だと思わせてくださる方です。その安心感があるからこそ、僕も攻めていきたいと思います。やっぱり真ん中にいる人が笑顔でいてくれると、“もっと頑張りたい”と思えるんです。なので“謎かけ”のくだりとかは、有働さんにたくさん笑ってもらいたいと思っています。ちなみに、あれはスタッフさんから言われたわけでもなく、僕が勝手にやっているだけなんですけどね(笑)。

片岡信和
片岡信和

◆そこにツッコミを入れる有働さんとのやり取りが楽しいです。

生放送の尺があって、普通の原稿を読むだけでも時間が埋まってしまうのに、僕が台本にない名言(?)とかを入れ始めたら、ちゃんと反応してくださって。やっぱり生放送にしかできないことがあるし、これからも予定調和ではない生のサプライズを仕掛けて、本気でふざけていけたらと思っています。もし有働さんが笑わなくなったときが来たらやめます(笑)。僕を信じて自由にしてくださっているので、そこは裏切れないなと。僕は多分、笑ってもらうのが好きで、それが自分の人生で一番幸せなことだと思っていて。人を笑顔にすると自分も満たされるんですよね。

◆そんな片岡さんには予報士だけでなく、俳優や体操のお兄さんという肩書もあります。

天気予報を始めたときは、スケジュール的にも厳しいだろうし、役者にはもう戻れないかもしれないと思ったんです。ただ20代からずっとお芝居や演劇、音楽といろいろやってきた中で、そこで得たものが天気予報にも生かされていることに気づいて。いつの間にかストレッチをしていて、気付いたら体操のお兄さんと呼ばれていました(笑)。僕は、肩書というのは何か入口みたいなものかなと思っていて。僕という人間を知ってもらえたら、仕事の内容にこだわる必要はなく、与えられたことにどれだけ一生懸命ベストを尽くせるかということなのかなと思っています。…今いいことを言った気がするので、ここはぜひ使ってください(笑)。

PROFILE

●かたおか・しんわ…1985年7月30日生まれ。東京都出身。B型。2008年、スーパー戦隊シリーズ『炎神戦隊ゴーオンジャー』に出演し注目を集める。2019年、気象予報士試験に合格。現在、『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)にも天気キャスターとしてレギュラー出演中。ドラマ『ワタシってサバサバしてるから2』がNHK総合にて5月5日(月)よりスタート。

番組情報

『有働Times』
テレビ朝日系
毎週(日)後8・56~10・15

●photo/中村 功 text/橋本吾郎

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