芥川賞作家・宇佐見りんが語る「推しを頼りに生きる生き方」『世界一受けたい授業』で特別授業

バラエティ
2021年03月26日

『世界一受けたい授業』

3月27日(土)放送の『世界一受けたい授業 大阪桐蔭涙の卒業公演&世界のトップが教える!歴代神授業 3時間スペシャル』(後7・00~9・54)で、「推し、燃ゆ」で芥川賞を受賞した作家・宇佐見りんさんの特別授業を放送する。

宇佐見りん先生が教える「推しの世界」の授業では、芥川賞受賞作「推し、燃ゆ」を入り口に、「自分の力だけで生きることが難しいときに、推しを頼りに生きる生き方もありなのではないか?」とアドバイスを送る。

<第164回芥川賞受賞作「推し、燃ゆ」>
物語の主人公・あかりは、通っている高校でも家庭でも「普通」のことができず、常に生きづらさを感じている。唯一の生きがいは、ある男性をアイドルを推すこと。
推しを推すことがあたしの生活の中心で絶対で、それだけは何をおいても明確だった。中心っていうか、背骨かな。
ある日、その推しがファンを殴ったことで炎上。さらに芸能界を引退すると突然発表する。生きがいである推しを失い、あかりはどう生きていくのかというストーリー。

◆「推し、燃ゆ」、印象的ですてきなタイトルですね。どうやって決まったのでしょうか?

「ありがとうございます。実は『推し、燃ゆ』は、タイトルが決まっていない状態で作品を書き始めて、編集部の担当者さんと愛称として呼んでいたものだったんです。それがいつの間にか正式タイトルになりました。他にもいろいろ案出ししたんですけど、分かりやすいしやっぱりいいよねって」

そもそも「推し」とは推したいメンバー“推しメン”がさらに省略された、一番のお気に入りの人を指す言葉。AKB48のブレークにより、2010年頃から一般に広く知られるようになったといわれている。
今年、21歳の現役大学生で、自身も8年ほど前から推している俳優がいるという宇佐見さんにとっては、小さい頃から身近にある言葉だったに違いない。

◆「推し」をテーマに選んだ理由は、何だったんでしょうか?

「いまは“推しを推す”ことが周知されてきた半面、“妄想上の恋愛”と決めつけられたり、“趣味の一環なのにそんなに入れ込むなんて”と冷ややかな視線がある気がします。でも、推しを推すことは必ずしも恋愛感情とは限らない。いろんな推し方があるし、推すことを趣味以上の生きがいと感じている人たちもいます。そういう人たちが推しの炎上という事件に直面した時、どうなってしまうのか? そこに書けるものがあるなと感じました」

担当編集者も、宇佐見さんから物語の構想を聞かされたとき、推しというテーマだけでなく「いつか推しはいなくなるものだと分かって推している」=「生きがいとしているものを失う予感」から始まる物語は新しいと感じたという。
およそ半年に及んだ「推し、燃ゆ」の執筆期間で、書き出しの一節「推しが燃えた。」は、最後まで変わることはなかったが、そこ以外、エンディングまで書き上げたものを宇佐見さんは、ほぼ全て書き直したという。

「私はプロット(物語の構成)をキッチリと決めてから書いていくタイプではないので、書いているうちにいろいろと変わっていくんです。だからテーマと書き出し以外は最後まで二転三転しました。はじめは主人公のお姉さん視点で書いてたりして、また違う話でしたね」

◆現在、次回作を執筆中とのことですが、書くために大切にしていることはありますか?

「音楽を聴く、匂いがちゃんとある状況にする、でしょうか」

◆匂いがちゃんとある状況というのは?

「窓を開けて雨の匂いや、風の匂いを感じるようにするとすごくイメージが喚起されるんです。結構、鼻で書くようなところがあって。匂いがないと書けないので、散歩に出ていろいろ取り込んでから、その先にある喫茶店で書くことはよくあります」

◆芥川賞を受賞し、「推し、燃ゆ」は現在、47万部を突破する異例の売れ行きとなっています。これからは宇佐見さんが「推される」側になるかもしれませんが?

「これを機に次回作を待っていてほしい、という感じでしょうか。これから何を書いていくかまだ自分自身でも分からないですが、『推し、燃ゆ』は私の中では異色の作品になる予感がしています。別の作品も読んでもらえたらうれしいですね」

慣れないバラエティー番組への出演はどうでしたか?と尋ねると「世界一受けたい授業は、よく見ていた番組だったので作家も呼ぶことが意外で、すごくうれしかったですし、驚きました。収録は緊張しました。でも、皆さんの和やかな雰囲気や、本の内容をわかりやすく紹介したVTRなどにとても感動しましたし、すごく楽しかったです」と笑顔を見せた。

『世界一受けたい授業 大阪桐蔭涙の卒業公演&世界のトップが教える!歴代神授業 3時間スペシャル』
日本テレビ系
2021年3月27日(土)後7・00~9・54

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