奇界遺産フォトグラファー・佐藤健寿 インタビュー
◆佐藤さんは世界中を巡る写真家ですが、コロナ禍で生活はどのように変わりましたか?
1年のうちトータルで3~4か月は海外という生活が10年ぐらい続いていましたが、昨年2月にサウジアラビアから帰って来てから、この状況ですからね。海外に1年以上行かないのは、この20年で初めてです。自分が好きで行くわけですが、仕事でもあるので、常に追われている感覚があったんです。だからコロナ禍で強制的にそれができなくなったのは、ちょっと新鮮でした。この機会に、それまでできなかった本作りの準備をしたり、歯医者に行ったり、いろいろ落ち着いてできるなと。思えば10年以上、人間らしいことをしていなかったので(笑)。
でも、半年たってもコロナの収束が見えなくて、さすがにどこでもいいから外に出たいなって思いましたね。それで、家でできる原稿書きをビジネスホテルに行ってやって、自分の中に無理やりアウェイ感を出したり(笑)。写真集「奇界遺産3」も無事出来上がりまして、これには『クレイジージャーニー』が同行してくれた場所もたくさん入っています。不思議なことに、今思い出すのは撮影したすごいモノ(奇界遺産)よりも、泊まったモーテルのこととかちょっとしたことなんですよね。そういう何げない一つひとつがすごく懐かしい。もちろんコロナが収束したら、行きたいところがたくさんあります。