フジテレビでは、4月11日から週替わりの企画を送る『ここにタイトルを入力』(フジテレビ系ほか 深夜24時35分〜25時05分ほか)を6週にわたって放送。3週目となる4月25日は、「KING OF ILLUSION」と題し、バカリズムがMCを、朝日奈央、鈴木福、長谷川忍(シソンヌ)がゲストとして登場する、なんとも奇妙なマジックショー番組が放送された。
同番組は、昨年11月と12月に深夜のチャレンジ枠「水曜NEXT!」で放送されたバラエティ番組で、「収録済みのひな壇とリアルタイムのMCの掛け合い」「番組放送中に視聴者の意見を反映」など、あまりにもカオスな番組内容に放送終了後SNS上では「意味がわからない」「シュール」「狂気を感じる」などのコメントが続出。
なんと、若干入社2年目の若手ディレクターが企画を担当しているのも見どころだ。初回放送から小峠英二が半身ずつ2番組に同時出演するという奇妙さで大きな話題を呼び、回を重ねるごとにその名を世にとどろかせている。
第3回として4月25日に放送されたのは、マジックショー番組と思わしき『KING OF ILLUSION』という企画。収録直前、バカリズムのもとにやってきたスタッフは「やる予定だったマジックが、ほぼ全部コンプラに引っ掛かりできなくなった」と告げる。
この時点で、既に「来た、この展開…! 今回は何が来るのだろう」とワクワクした視聴者も少なくないだろう。この男性スタッフの名(珍?)プレーが、ひたすらに毎回すごいのだ。
「水中脱出とか人体切断もできないんですね…」と資料に目を通しながら残念そうなバカリズムだったが、ふと「これ、尺って持つんですか?」とMCならではの質問を。対するスタッフは「マジシャンの方が何とかするとは言っていた。大丈夫だと思う」と、バカリズムに場のフォローを依頼し、そのまま番組がスタートする。
「この距離でマジックショー見るの初めて」とうれしそうな長谷川らゲストの前に、世界的イリュージョニスト・HARAが登場。まずはトランプマジックを、ということでトランプを取り出し、鈴木にカードを1枚選ばせるHARA。
鈴木が引いたのは、「ハートの9」だ。HARAは数字を見ぬままカードの山に戻し、「ハートの9」の場所を分からなくするためシャッフルを始める。いわゆる、よくあるマジックの光景…と思いきや、とにかく長い。
シャッフルがとにかく長いのだ。朝日に好きな数字を聞いてみたり、「ソリティア」のようにカードを並べ始めてみたり、長谷川にもカードをシャッフルをさせみたりと、なんだかんだと理由を続けてとにかくシャッフルを続ける。
最中、長谷川が「チャンネル変えますよ、これ絶対」とぼやくが、まさにその通り。チャンネルを変えようかと思ってしまうほどに単調な絵だ。しかし、そのまま粘って見続けていると、まさかの「CMの後もまだまだシャッフルは続きます!」という斬新なナレーションが入り、そのままCMへ。
「え! まだ!?」と衝撃を受けるが、もはやこのシュールさも3回目ともなるとクセになる。ここまでくると、逆にラストを味わいたくて仕方がなくなるのだからすごい。それに、番組冒頭でスタッフが言っていた「マジシャンの方が何とかするとは言っていた」が、ボディーブローのように効いてくる。
そして、CM明けも続くHARAと長谷川のシャッフル。すると、「2といえば?」というHARAからの質問が。鈴木は「さくらんぼ」、長谷川は「銀」、朝日も「2月」とそれぞれ答えていくと、突然目の前に現れたレモンを半分にカットし始めるHARA。
しかし、果汁したたる切断面をカメラに見せつけたかと思いきや、何も起こることはなく次の場面へ。一体、我々は何を見せられているのか…。ここで、鈴木が引いた「ハートの9」の存在をすっかり私自身が忘れていたことに気付く。
次に現れたのは、まさにマジックショーでよく見るような黒い箱。中からやっと「ハートの9」が出てくるのか、と期待をさせるかのごとくコンコンと箱をたたくHARA。だが中から出てきたのは色違いのトランプのセット、そして袖から謎の2人の女性ダンサーが登場し、音楽に合わせてダンスを披露する。
「踊りを楽しむ時間ですか?」と長谷川がけげんそうにしていると、HARAが「今からハートの9を具現化します」「イメージの世界のカードが現れます」と、長谷川に右手を開かせ、ぱちんと指を鳴らす。
もちろん、総じてこの瞬間も何も起こらない。そのまま「イメージの世界のカード」のリレーをゲスト陣の間で行わされるという奇妙な時間が流れたかと思えば、次に登場したのは人1人が入るサイズの縦型の水槽だ。
なんと、HARA自身がそこに身を沈め、そのまま水中でカードをシャッフルし始める。息苦しそうにしながら、カードを水中に散らしながらもシャッフルを続ける。びしょぬれのまま這い上がってきたHARAは先程のダンサーによってタオルに包まれ、なにやら着替えをしている雰囲気だが、いざタオルが落ちると何も変わっていない。まさに、この番組の代名詞と言える“シュールさ”を“具現化”した画だ。
番組も終盤、鈴木がなにやらケージに入れられ、布をかけられたままスタジオの外へ。朝日もなにやら小さな箱に入れられ、鎖で手首を拘束されてしまう。そして、結論から言うと最後まで「ハートの9」は現れないまま、さらに朝日と鈴木の姿がないまま番組はエンディングへ。
「なんなんすか、これ」と戸惑う長谷川を横目に、HARAは自らの生きざまが描かれた本の発売告知をしっかりと行い、終始HARAのフォローに回っていたバカリズムもどこかホッとしたような表情で番組は終了。
ただただHARAらがシャッフルしている姿や、なんとか時間を稼ごうとするその姿を見ていただけだが、気づけば巻き戻して観てしまうし、最後はなぜか拍手を送りたくなるのだから不思議だ。来週で折り返し、残り3回にも期待したい。
番組情報
月曜PLUS『ここにタイトルを入力』
フジテレビ系ほか
【放送日時】
2022年5月2日(月) 深夜24時45分~25時15分
2022年5月9日(月) 深夜24時25分~24時55分
2022年5月16日(月) 深夜24時25分~24時55分
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