『あたりのキッチン!』(東海テレビ・フジテレビ系 毎週土曜 午後11時40分~深夜0時35分)の第9話(12月9日(土)放送)に登場する料理が公開。また、ドラマの美術を手掛けるアートコーディネーター・平田貴幸さんへのインタビューが到着した。
極度の人見知りで他人とまともな会話ができず、目すら合わせられない。コミュニケーション能力ゼロ、ゆえに友達もできず空回りばかりしてしまう大学3年生の辺清美。そんな清美が、唯一可能なコミュニケーション手段は「料理」だった。本作では、料理を通じて清美の成長を描く。
辺清美を演じるのは、女優として目覚ましい活躍を見せる桜田ひより。清美が働く定食店「阿吽」の店主・中江善次郎に渡部篤郎。また善次郎の一人息子で、父親に素直になれずお互いに壁を感じている高校生・中江清正を窪塚愛流が演じる。
第9話には、11歳の男の子が登場。彼は一流料理店「和食おおそね」の料理長の息子・樹(森島律斗)で、なぜか清美にプロポーズをするという展開に…。
そして今宵のおススメは、辛さ控えめだけど大人も満足できるスパイシーお子様カレー。東京・恵比寿「賛否両論」店主の笠原将弘氏が料理監修を行った、ここだけのオリジナルレシピだ。
「子どもの味覚に合わせると、どうしてもお父さんが満足してくれなくて」と、今日もどこかの家庭で起きているに違いない「カレーの辛さをどうするか」問題。そこで清美が選んだのは、本来カレーに使われるスパイスではなく、別のスパイスで爽やかな辛さを目指す、という方法。このレシピなら大人も満足できる辛さがありつつ、子どもでも食べられるカレーにできるはず。
調理におけるポイントの1つ目は「スパイスは辛みが残らないものをチョイス」。唐辛子やガラムマサラなどカレー味を構成するスパイスは、いつまでも辛さが舌に残るものが多い。そこで今回はしょうがとにんにく、七味唐辛子とあらびきコショウでピリッとさせつつも、後味が爽やかな調味料をセレクト。また唐辛子は刻まずに丸ごと鍋に入れ、煮立った段階で取り除くと、ほど良い辛さに仕上がる。
ポイント2つ目は「市販のカレールーは、いつもの半量で」。もちろんしょうがやにんにくだけではカレー味にはならないので、市販のカレールーも使用する。ただし、今回選んだスパイスの風味を引き立たせるため、使うのは普段の半量でOK。また火を止める直前にバターを混ぜ入れると辛みがやわらぎ、人気のバターチキンカレーのようなまろやかな味わいになる。
笠原からはさらに「ご家庭で食べるカレーの辛さをどうするかは、悩ましい問題ですよね。清美さんが選んだスパイス以外だと、粉さんしょうやカルダモンが合うでしょうか。スパイスではないけれど、みそも結構マッチすると思います。また、しょうゆとみりんを少量加えると味に深みが出るので、辛さを補うことができるかもしれません。一方で、『やっぱりもう少し辛さがほしい』という方は、柚子こしょうを加えるとパンチの効いた辛さに仕上がります」といった提案も。
また、本作の舞台である定食店「阿吽」には、「ぜひ一度食べに行きたい」といった声も多く寄せられている。この「阿吽」は実際の店ではなく、セットを組んで撮影を行っている。そこで重要になるのが、アートコーディネーター(美術)の仕事。今回はこの道30年のベテラン、フジアールの平田貴幸さんに、定食店の雰囲気を出すため「阿吽」のセットでこだわった部分について聞いた。
まず、「阿吽」をどういう雰囲気にしたかったのか、コンセプトについて尋ねると「『阿吽』は街の商店街にある、ごく普通の定食屋さん。そして1年前までは夫婦二人で営んでいましたが、奥さんが亡くなってからは善次郎一人で店を切り盛りしている…、という設定です。ただ、どこにでもある定食屋さんとは少し趣向を変えたいと思いました。その理由は善次郎の経歴にあります」と平田さん。
第9話で明らかにされるのが、善次郎の過去。実は、かつて料亭で修行をしていたこともある料理人だったのだ。厨房に立つ際、必ず白い調理服を身にまとうのも、そうした経歴を考えるとうなずける。平田さんによると「店内のあちこちに、そうした善次郎の経歴を匂わせる要素を盛り込んでいます」。例えば壁のお品書き。細長く切った模造紙にサインペンで料理名を書くのが定食屋の定番だが、「阿吽」では木の板に毛筆で書かれている点がポイント。「定番メニューが木の板で、季節限定のおススメ料理は和紙に書いています」。
言われてみると、テーブルに置かれたメニュー表やショップカードに和紙を使用している点も善次郎らしい。そもそも「阿吽」のロゴも、ちょっとおしゃれな和食店のような雰囲気を醸し出している。「そうした部分に料亭出身の善次郎らしさを表現しつつ、品書きに書かれた価格を見ると、どれも1,000円以下に収まっています。この辺りには、お客様を思う善次郎の気持ちを表現しました」。ほとんど気付かれないようなこうした部分に気を配るのも、美術の仕事なのだ。
また、「阿吽」の二階には善次郎と清正の部屋があり、厨房の隣には居間がある。住居部分と店がつながっている造りにしたのにも、理由があるという。「例えば厨房で働く善次郎を、清正が居間から見つめるといったシーンなど、撮影のバリエーションも増えるので、こういう造りにしました」。
そして平田さんが特にこだわったのが、住居部分に残る善次郎の妻・朋子(西尾まり)の面影なのだとか。「住居部分にも簡単な台所があるのですが、そこには父子二人暮らしには似つかわしくない、ピンクのフライパンが置かれています。これは善次郎の奥さんが生前に愛用していたものという設定です。奥さんが亡くなってまだ1年。まだ心の整理がついていないだろうし、そういうものを処分する父子ではないということですね」。
あらためて居間を見ると、フライパンどころか大きな鏡台もそのまま残っている。「阿吽」のセットには、善次郎のこれまでの人生や家族への想い、料理に対する姿勢などが見事に反映されていた。そんな部分にも注目すると、『あたりのキッチン!』がより楽しめるに違いない。
番組情報
『あたりのキッチン!』
東海テレビ・フジテレビ系
毎週土曜 午後11時40分~深夜0時35分
出演:桜田ひより、窪塚愛流、工藤美桜、峯村リエ、原沙知絵/渡部篤郎
原作:白乃雪「あたりのキッチン!」(講談社アフタヌーン KC)
企画:市野直親(東海テレビ)
脚本:橋本夏(『わたしのお嫁くん』(フジテレビ系)、『オクトー ~感情捜査官 心野朱梨~』(読売テレビ・日本テレビ系)、『ゴシップ#彼女が知りたい本当の○○』(フジテレビ系)ほか)
ニシオカ・ト・ニール(『賭けからはじまるサヨナラの恋』(U-NEXT)、『イケメン共よ メシを喰え』(テレビ大阪)ほか)
音楽:MAYUKO、眞鍋昭大
演出:岩田和行(『絶対零度~特殊犯罪潜入捜査~』『家族ゲーム』(フジテレビ系)、『黒鳥の湖』(WOWOW)ほか)
菊川誠(土ドラ『リカ』、『純愛ディソナンス』(フジテレビ系)、『悪魔はそこに居る』(Paravi)ほか)
本間利幸(『アイゾウ』『シンデレラはオンライン中!』(フジテレビ)、『左ききのエレン』(TBS)ほか)
木下高男(『ばらかもん』『警視庁いきもの係』(フジテレビ系)、『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日系)
プロデューサー:遠山圭介(東海テレビ)(土ドラ『三千円の使いかた』『おいハンサム!!』『その女、ジルバ』ほか)
貸川聡子(共同テレビ)(『忍者に結婚は難しい』『推しの王子様』『知ってるワイフ』(フジテレビ系)ほか)
制作協力:共同テレビ
制作著作:東海テレビ
番組サイト:https://www.tokai-tv.com/atarinokitchen/
番組Instagram:https://www.instagram.com/dodra_tokaitv/
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